日曜日 2004年3月7日
「バルトの声を聞く」 ロラン・バルト著作集10『新たな生のほうへ 1978-1980』を読んで
テオロスフォーラム 松原道剛
ISBN4-622-08120-2 C1310 ¥4200 昨年12月に配本がはじまった『ロラン・バルト著作集』(みすず書房、石川美子監修)は、3冊の主要な既訳(それぞれ既訳のタイトルは『神話作用』『エッセ・クリティック』『表象の帝国』)のほかは、2002年に改定されたばかりの、バルトのすべてを網羅したとされる5分冊の新しいフランス語版全集を底本とし、フランスでも単行本としてまとめられていなかったものまでも収録されており、そこには、新聞や雑誌に発表されたエッセや展覧会のカタログ、書籍のはしがき、講義録をまとめたものから、インタヴューや対談を収録したもの、テレビ・ラジオで放送されたものまでが含まれる。それらが、どこまでバルトの「著作」であるのかは論議が分かれるところだろうが、一部をのぞいてはじめての日本語訳として、全10冊がそれぞれ「書かれたもの」と「話されたもの」に分けられ、年代順に編集されている。この著作集によって、わたしたちはこれまで28冊の単行本