日曜日 2004年3月7日
これは演劇ではない/これは演劇である −太陽劇団『最後のキャラヴァンサライ−荒れ狂える大河』 松原道剛
Foyer de la Cartoucherie
冒頭、アフガン人難民たちが、キルギス人渡守の手引きによって、上手側から下手側に張られた一本のロープを頼りに、国境をへだてる荒れ狂う河を渡ろうとしている。数人が渡ったのちに、ますますひどくなる流れの勢いに、これ以上は危険だから諦めるようにと主張する渡守と、国境警察に捕らえられるわけにはいかないと続行を望む難民たちの怒号のなかで、小さな渡箱に乗った難民が流され、最後には張られたロープも切れてしまう。大音響とともに舞台全面に広げられた数枚に分けられた大きな布が、なかに流れ込む大量の空気と端と隅を上下にはばたかせる俳優たちによって**これは前作『堤防の上の鼓手たち』映画版で彼らが見い出した手法だ。死者たちの血に染まった赤い布ではなく、彼らの逃亡を手助けするかのような暗闇の暗いグレの布**大きく揺れ動くなかで、観客たちはすぐに舞台に引き込まれてしまう。この死と直面した情況下での大音響と怒号と迅速さは、ここではまだ人為的で不条理な権力に対