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ジャン=リュック・プトー、世界最優秀ソムリエコンクール優勝者
投稿日 2000年11月1日
最後に更新されたのは 2017年6月21日
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ジャン=リュック・プトー:世界一のソムリエ、ワインの楽しみ
 
「ワインからなにか印象を受けたらすぐに書くことだ。」ジャン=リュック・プトーが考案した学習法は3年に1度の世界最優秀ソムリエコンクールでの優勝をもたらした。彼はこの方法で大勢のソムリエを育ててきた。日本人初の世界最優秀ソムリエ・チャンピオンになった田崎真也もその一人。現在は有名なグラン・ヴァン仲買業者のコンサルタントを勤めている。
 
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フラン・パルレ:今のお仕事の内容は。
ジャン=リュック・プトー:私はものすごく恵まれているんです。ブドウ畑をあちこち見て回る機会があるのでね。実際に行くのはフランスが多いのですが外国にも行ってます。そこでそういう暇や機会のない人たちにもこの特権をおすそ分けしようという意味で、行ってきたブドウ畑の特徴などを人にお話ししています。テロワール(畑とその土壌)やワインなどの話ですね。ワインがどこで生まれたか、どんな人が作ったのか知っているということはとても大切ですから。瓶に顔がつくんです。これはとても大切なことです。こういうチャンスに恵まれているので、私は自分が生産者と消費者をつなぐ絆の一番端のところに位置しているのだと思っています。ソムリエをしていた頃、お客さまに尋ねられたものです。「週末はどこへ行ってたの?」ってね。そこで私は行ってきたブドウ畑の話をして、お客様によだれを流させるんです。それぞれの畑の歴史も話します。日本人のソムリエを何人か世話しましたが、その人たちにも同じ話をしています。
 
フラン・パルレ:世界最優秀ソムリエコンクールはどのように行われるのですか。
ジャン=リュック・プトー:私は1980年から毎日準備をしていました。各国の大使館に行って資料やワインをもらうことを自分に課していました。つまり2年間は自由時間のすべてを注ぎ込んで勉強し、コンクール当日をいわばXデーのように迎えたわけです。私は1983年の世界大会に出場し、一位になりました。世界最優秀ソムリエコンクールに出るには本で仕入れた大量の知識が必要ですが、テイスティングとなると、世界中のワインを知っていると豪語するわけにはいきません。5種類のワインを目隠し方式で、また世界中のブランデーとリキュールをやはり目隠し方式で試飲します。一番大事なのはどんなコメントをするかです。セパージュを当てたり、生産年度を当てたりします。また料理とワインの調和を試す種目もあります。レストランにみえるお客様がワインをすべてご存知とは限りませんし、外国からみえた方ならなおさらのことです。お客様は「この料理にするつもりだけど、ワインはどんなものが合うかな」と尋ねます。そこでソムリエはその晩の食事が華やかなものになるように按配しなければなりません。またソムリエはどのくらいの価格帯のワインを勧めればお客様に喜ばれるか見て取れるだけの推察力がなくてはなりません。プルミエクリュを選ぶことも出来ますが、それがお客様の予算外なら不快な思いをされるでしょう。ソムリエは会食がどんなコンテクストで行われるのかを見定める必要があります。お客様の立場を理解し、うまく判断せねばなりません。なぜならお客様は招待客たちの手前、「だめだめ。高すぎる」とは言えないからです。だから会食のコンテクストをちゃんと判断することが出来なければならないのです。お勧めするワインが心もち安いものであっても構いません。そのときはお客様は「だめだめ、この人たちにはもっといいのをご馳走しないと」と言うことができます。お客とのパートナーシップ、協力の精神がいるのです。
 
フラン・パルレ:ワインについて語るには、詩心も必要ですね。
ジャン=リュック・プトー:自分が感じたままを表現するだけのことです。いいですか、ワインには無数のアロマがありますし、歴史もあります。それぞれのワインの歴史なり地理的要素なり、味わいなりを活かしてやらねばなりません。ワインが料理に添えるために作られていることも忘れてはなりません。だから、ワインが与えてくれる楽しみを余すことなく引き出すように努めることが大切なのです。私は自分の周りにあるもの、自然の中にある要素を集めようと努めています。アロマとか花とか、ミネラルとか。古いワインなら動物的な要素もあります。毛皮の匂いやなめし皮の匂い、野獣を思わせるようなの匂いもします。新しい樫の大樽で熟成させたワインなら、煙の匂いや焚き木の匂い、コーヒーの匂い、焙煎の匂いがします。朝露が降りたときの薔薇の香りをかいだことがありますか?えもいわれぬ香りです。これと同じ匂いがGewurztraminerにはあるんです。素晴らしいですよ。
 
フラン・パルレ:よくテロワールの話をされますが、どういう意味があるんですか。
ジャン=リュック・プトー:これはワインの品質にとって絶対に欠かすことの出来ない、第一条件、おそらく品質の90%を決める条件です。残りの10%は人間の仕事です。テロワールというのは大変なものです。同じテロワールに他の人間がやってきても同じワインにはなりません。10人のコックに卵を6個ずつ渡してオムレツを作らせると、いろいろな味のオムレツが出来るでしょう。セパージュが同じでもテロワールが少し違うとするなら、ニュアンスの違いはテロワールから来るんです。ブルゴーニュを例にとってみましょう。ブルゴーニュには、5,6種類の銘柄があります。ピノ・ノワールという一種類のセパージュが石灰と粘土の混じった土壌の丘に植わっています。このブドウ畑は、とても小さな区画に分かれているので、その区画の一つ一つが、隣り合っていようが、同じ持ち主のものであろうが同じ村のものであろうが明らかに違うニュアンスを持っているんです。世話する人が同じで、葡萄の摘み方が同じでもね。では違いを生み出すのは何か。それはテロワールです。もし優秀な醸造者がいればテロワールからその精髄を引き出すことができます。でも無能な栽培者や醸造者を連れて来れば決してグラン・ヴァンにはなりません。フランスのグラン・ヴァンはテロワールと人間、才能ある人間の組み合わさったものです。
 
フラン・パルレ:テロワールは伝統も意味するわけですか。
ジャン=リュック・プトー:ええ。歴史的な側面ですね。古いものはどれもいいテロワールです。良くないときは潰すか、葡萄以外のものを植えるかします。ボルドーのグラン・クリュをご覧なさい。200年も300年もかけて、少しでも劣る区画は手放し、いいものに買い換えながら最高のテロワールを選び抜いているのです。
 
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フラン・パルレ:近代的な技術はどうですか。
ジャン=リュック・プトー:ワイン醸造学はかなり進歩しました。醸造者の腕はどんどん上がっており、ワインの質は絶えず改良されています。進歩しようとしない人は、隣の人たちに比べて相対的に後退してゆくことになります。これが10%の人的要素のなかに入ってくるわけです。たしかに昔に比べるとワインはぐっと美味しくなっています。もちろん「昔のような味がしなくなった」という言い方も可能ですがね。それはそうかも知れませんが、昔はボルドーワインを飲むのには10年待たねばなりませんでした。飲み頃の時期は数年間で、その後は味が落ちていきました。今はもっと飲みやすいワインを作っています。より早く飲み頃にすることが出来ます。おそらくブドウ栽培や収穫の日や発酵温度をよりよくコントロールできるようになったからでしょう。それに昔はワインの熟成は樽でおこない、経験と勘に頼って期間を加減していました。でも今は樽の風味の度合いを自在に調節することができます。
 
フラン・パルレ:ソムリエは職業として将来性がありますか。
ジャン=リュック・プトー:フランスではソムリエが不足しています。というのはこの職業がレストラン以外の分野にも開かれているからです。大手の流通業者に雇われているソムリエも増えていますし、仲買業者がソムリエを雇って営業に役立てている場合もあります。レストランやホテルと顔をつなぐためですね。
 
2000年11月
インタヴュー:エリック・プリュウ
翻訳:大沢信子



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