フラン•パルレ Franc-Parler
La francophonie au Japon

Rédaction du journal:
Rédacteur en chef: Éric Priou
Rédaction: Karen, Mika Tanaka

La francophonie au Japon
Franc-Parlerフランス語圏情報ウェブマガジン フラン・パルレ
〒169−0075新宿区高田馬場1−31−8−428
1-31-8-428 Takadanobaba, Shinjuku-ku, 169-0075 Tokyo

Tel: 03-5272-3440
E-mail:contact@franc-parler.jp
http://franc-parler.jp

Pelures d’oranges édition bilingue français-japonais est paru!
投稿日 2013年2月19日
最後に更新されたのは 2023年5月23日

Des haïkus en français du Québec
カナダ・ケベック州生まれの俳人がフランス語で詠む俳句の数々

pelures d’oranges
les enfants sont venus

et repartis

Enfin…en japonais!
待望の日本語訳!

オレンジの皮 子らの来て 去りし跡

句集 オレンジの皮

カナダ・ケベック州生まれの俳人、アンドレ・デュエムによる俳句集。アンドレ・デュエムは連句や俳句などの日本詩をフランス語で読み続けている俳人である。日本詩の形式をフランス語で再現しながら、あくまでも独自の感性で作品を生み出している。
今回、そのデュエムによる句集、オレンジの皮がフランス・日本語併記という形式で出版された。日本語訳は、フランス語圏情報誌(当時、現在同ウェブマガジン)『フラン・パルレ』が開催した、俳句翻訳コンクールに寄せられた作品である。それらが今回、書道家の市原聴妙の手により、新たな装いのもとに生まれ変わった。
今回の出版は、ケベック州政府在日事務所の協力を得て実現した。俳句という芸術が架け橋となって、ケベックと日本の文化が出会い、結実した作品集である。

アンドレ・デュエム著
エディション フラン・パルレ
A5判
89ページ
価格:本体1300円+税
ISBN978-4-9906930-08

ご注文はフラン•パルレまで
Tel: 03:5272-3467
contact@franc-parler.jp

※※ 句集 オレンジの皮 が雑誌で紹介されました!※※

『俳句αあるふぁ』(毎日新聞社)2013年10-11月号

『ふらんす』(白水社)2013年6月号


À propos de Pelures d’oranges
       村松定史/Muramatsu Sadafumi/Teishi

un cerf-volant noir
pris dans des fils électriques
et la lune

電線に凧黒くあり月昇る

凧は春の季語だが、正月の空にも鮮やかな鍾馗さまの絵凧や奴凧が揚がっていた記憶がある。凧が空中で回らないように、下に細長い紙をたらし、尾の長さや糸の張り具合で高く揚がる工夫をして競う。でも、落ちた凧が電線に掛かっていることもよくあった。日が暮れ、遊び疲れ、電線に黒いシルエットとなっている凧。仰ぐ夕空に月。いずこも同じ薄暮の情景である。

fumant la pipe
dans les montagnes du Vermont
soupçon d’automne

ヴェルモン山パイプふかせば気配秋

ヴェルモン山とは、カナダのケベック州と北米のバーモント州の間のグリーン山脈のこと。フランス語の〔vert(緑の)〕+〔mont(山)〕に由来する地名の英語読みが「バーモント」。千数百メートル級の尾根の連なりは格好のハイキング・コースで訪れるハイカーも多い。夏は湿度が高いが、パイプを吸うと乾いた大気の味がしたのだろう。そこに秋の予感を感じ取っている。


お人形の句によせて

au fond de son tiroir
la poupée mise aux poubelles
trois fois déjà

人形の三度捨てわれ箱の底

眠るときも 散歩のときも お母さんと買い物に行くときも いつも一緒
いつのまにか 真っ黒で べとべとになった お人形でも 子供にとっては大事なお友達それなのに お母さんは 汚いからって言って ごみ箱に捨ててしまう
柱の蔭で見ていた子供は 拾いに行って
そっとおもちゃ箱に見えないように隠してしまう
また お母さんは捨ててしまう
でも 子供にとっては大事なお友達
眠るとき 小さな手が その手を握るお友達
このような子供の情景が目に浮かぶ、詩人アンドレ・デュエム氏の句
でした。暖かい眼差しで家族を見守っていたのですね。
氏に深い尊敬をこめて。

西原直子

qrcode:http://franc-parler.jp/spip.php?article66