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2004年4月 フランスのオーガニックワイン〜Vin Biologique〜
投稿日 2004年4月7日
最後に更新されたのは 2023年5月23日

フランスといえばワイン、ワインといえばフランス。
ワインはフランスの代名詞といっても過言ではないでしょう。
ワイン好きが嵩じてフランスにのめりこんでいった人も決して少なくはないと思いますが、そんな人たちの間でもオーガニックワインについては、まだまだ未知の分野なのではないかと思います。

オーガニックワインとは、簡単に説明すると、
1)微生物がきちんと活動している畑の土で、化学肥料や合成化学農薬を使用せずに作られたぶどうを使い、
2)醸造過程においても香料、合成タンニン、調味料などといった合成化学物質を加えずに造られた

ワインのことをいいます。つまり、土と造り手の「力」や「個性」がはっきりとワインに現れます。ぶどうの栽培にも醸造にも厳しい規定があり、それに則って造られたものだけが正式なオーガニックワインといえます。

オーガニックワインを造っていくということは、ぶどうを育てる土作りに始まり、病気の予防や除草など、大変な手間とリスクを背負うということです。化学肥料を使ってぶどうに直接栄養を与えるのではなく、ぶどうが土から栄養を吸収できるよう、しっかりと生命活動が行われている土を作らねばなりません。病気になったとき、農薬をまくわけにいきませんから、病気になった枝は切って捨てるしかないのです。

こんな苦労を背負っても、オーガニックワインを造ろうという生産者たちは、やはり信念があります。個性もとても豊かです。彼らがなぜ、オーガニックで造っていこうと決意したのか、質問してみたことがあります。すると次のような答えが返ってきました。

・個人的な喜びの追求と地球を守るため、これまでとは違った形での生産者と消費者という関係において、高い品質の製品を提供するため。
・そうした生き方の選択。環境のための契約だと思っている。
・人間の健康と植物・大地の関係をはっきりと意識したこと。それは地球規模の話であり、当然生き方にも通ずる。
・化学物質が小さな動物を殺し、例えその量を減らしても植物や人間、大地の健康を害することは明らかだと思ったから。私たちと同じ権利をもつ未来の世代のことも考えなくてはならない。
・土にいつまでも残ってしまう化学物質を使わず、子孫達に美しい地球を残していくため。
・化学物質による中毒と視神経の麻痺という事態に陥ったため。
・化学合成物質のない場所で、暮らし・働くため。また私たちの美しい大地を救い、守っていくため。
・私たちの環境を守るため。健康的な製品を販売したかったから。汚染されていない場所で暮らす喜びを追求したため。

最近でこそ、特にヨーロッパではオーガニック食品も市民権を得て、スーパーの棚でもよく見かけるようになりましたが、ひと昔前までは、オーガニック農業をやっているというだけで、近所からは村八分にされたり、圧力をかけられたりもしたと聞きました。けれどもその固い意志を曲げず、圧力にも屈せずに、ずっとそうやって造ってきた人の畑は、明らかに生きています。冬の日でも草が茂り、春に向かって着々と準備しています。ぶどうだけではなく、他の生命も一緒に生きている。共存が成り立っているのです。

あるオーガニックワイン農家の人は、「昨年の春、自分の畑で鹿が生まれた」と報告してくれました。自然がどんどん壊されていく中で、自分の畑には虫や鳥や小動物がわんさと集まり、さながら行き場を失った動物たちの港のようだ、と。また、別の人も言っていました。オーガニック農業をするようになって、ばらばらだった家族や人とのつながりが取り戻されてきたのだ、と。オーガニックをやっている人たちは決してお金持ちではないかもしれないけれど、いつ訪ねても温かく迎えてくれるわよ、分かち合うことが好きなのね、と。

今どきの効率第一主義から見れば、もどかしく、面倒なことを率先してやっているようにさえ見える、こんな生産者たちがこの春来日します。彼らのワインをぜひ味わってみませんか?話を聞いてみませんか?

ポーレットは御年77歳ですが、それは元気!誰よりもパワフルに動きます。アランはワインのほか、小麦にひまわり、最近ではオリーブもオーガニックで栽培するようになりました。ヴァンサンはシャンパーニュでは本当に珍しいオーガニックの生産者。ここのヴァンダンジュ(収穫)チームは、息もぴったりの最高に気のいい人たち。この人のシャンパーニュがなぜこんなにあたたかいのかがわかります。ジャン=リュックは、オーガニックを語らせたら止まらない熱い人。数々のメダルを総なめにするすごいボルドーを造っています。

新年度、空気まで桜色になるような4月の初め、オーガニックワインの生産者に会って、彼らが丹精こめたワインを口に含んでみれば、なぜ彼らがそんな面倒なことをやっているかの答えがきっと見つかることでしょう。

オーガニックフェスタイン東京2004年
日時:4月2日(金)10:00〜19:00
4月3日(土)10:00〜20:00
4月4日(日)10:00〜17:00
場所:晴海アイランドトリトンスクエア グランドロビー
(地下鉄大江戸線勝どき駅下車徒歩4分)
http://www.organicfesta.com
オーガニックワインについてのさらに詳しい情報は、
オーガニックワイン専門店マヴィ http://www.mavie.co.jp

記事作成:長谷川 浩代

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