『12日の殺人』彼女の名はクララ(ルーラ・コットン・フラピエ)。21歳。友達の家のパーティーから帰る途中、突然何者かにガソリンをかけられる。翌日、焼死体となった彼女のもとに、捜査隊が駆けつける。冷静沈着な班長のヨアン(バスティアン・ブイヨン)、かっとなりやすいマルソー(ブーリ・ ラネール)。ひと癖もふた癖もあるとチームを構成するのはすべてが男性。容疑者として浮上するのもまた、男性ばかりだ。「火あぶりになるのはいつも女。ジャンヌ・ダルクもそうだった」とつぶやくマルソー。「クララが殺された理由?それはクララが女の子だったからよ!」と怒りをぶつけるクララの親友・ステファニー(ポーリーヌ・セリエ)。女性であったがために、自由奔放に生きていたがために、それが理由で彼女の命が奪われてしまったのだとすれば……実在の未解決事件に基づいたこの映画には、絶望と同じだけの希望もある。迷宮入りした捜査は、3年後に現れた女性判事(アヌーク・ グランベール)によって再開となり、チームには女性捜査官のナディア(ムーナ・スアレム)が加わることに。クララの亡霊に取り憑かれたかのように悩み苦しむヨアン。彼の心に少しずつ光が差していく過程を見ていると、未解決事件に苦しむ被害者の家族たちの心も少しだけ救われるのではないかと思う。どうか、実在のこの事件がいつか「未解決事件」と呼ばれなくなりますように。(Mika Tanaka)原案 : ポーリーヌ・ゲナ「18.3. Une année passée à la PJ」監督 : ドミニク・モル脚本 : ドミニク・モル/ジル・マルシャン出演 : バスティアン・ブイヨン、ブ―リ・ランネール、テオ・チョルビ、ヨハン・ディオネ、ティヴー・エヴェラー、ポーリーヌ・セリエ、 ルーラ・コットン・フラピエ114分/2022年/フランスLa Nuit du 12 de Dominik Moll avec Bastien Bouillon, Bouli Lanners, Théo Cholbi, Johann Dionnet, Thibaut Evrard, Pauline Serieys, Lula Cotton-Frapier; 2022, France, Belgique, 114 minhttps://12th-movie.com
『12日の殺人』 La Nuit du 12