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VORTEX
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VORTEX
 
 横長のスクリーンが2つに分割され、画面が左右に表示される。「スプリットスクリーン」と呼ばれるこの手法で映画は始まる。2つの視点で、私たちは老夫婦に訪れた最期の日常を追体験するのだ。
 夫(ダリオ・アルジェント)は心臓疾患、妻(フランソワーズ・ルブラン)は認知症を患っている。夫の職業は映画評論家。「夢と映画」をテーマに新作を執筆しているが、妻の予測不能な行動に振り回され、なかなか集中することができない。妻は、元精神科医。わずか3週間で坂を転げ落ちるように症状は悪化し、もはやその面影は感じられない。離れて暮らす息子(アレックス・ルッツ)が介護施設の入居をすすめるが、夫は「この家にはすべてがある。過去を捨てたくない」と拒絶する。「この家は悪夢だ!」と叫び声を上げるほどに追い込まれているにも関わらず。
 若者向けの過激な描写で知られるギャスパー・ノエ監督だが、彼が今回挑んだテーマは、「病」と「死」、それらと向き合う「家族」だ。彼自身が脳出血のため生死の境をさまよったこと、コロナ禍のロックダウン中に数々の日本映画に触れたこと(溝口健二、成瀬巳喜男、木下惠介、黒澤明、篠田正浩監督等の作品)は、この作品にさらなる深みを与えるこ とになったのだろう。死へと向かう妻と夫、やんちゃで生命力溢れる孫……老いと幼さが映像に強烈なコントラストを与える。映画の最後で、孫の質問に答える息子の言葉が印象的だ。
(Mika Tanaka)
 
監督・脚本:ギャスパー・ノエ
出演 : ダリオ・アルジェント、フランソワーズ・ルブラン、アレックス・ルッツ
148分/2021年/フランス
 
VORTEX de Gaspar Noé avec Dario Argento, Françoise Lebrun, Alex Lutz; 2012, France, 148 min
 
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