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『ぼくは君たちを憎まないことにした』 Vous n’aurez pas ma haine
Vous n'aurez pas ma haine
Vous n’aurez pas ma haine
Crédits : ©2022 Komplizen Film Haut et Court Frakas Productions TOBIS / Erfttal Film und Fernsehproduktion

『ぼくは君たちを憎まないことにした』
 
 ある日突然、ママの姿が見えなくなる。会いたくてたまらないのに、抱っこもキスもしてくれない。パパに頼んでも、ママを連れてきてくれない。それどころか、ママに会いたいと主張すると、パパは怒り出す。行き場をなくした小さな子供が母親の残り香が漂うクローゼットの中にうずくまる姿が切ない。
ある日突然、愛する妻エレーヌ(カメリア・ジョルダナ)を失い、息子のメルヴィル(ゾーエ・イオリオ)と2人で生きていくことになったアントワーヌ(ピエール・ドゥラドンシャン)。妻を奪ったテロリストに対し「ぼくは君たちを憎まない」と、憎しみの連鎖を断ち切ることをSNSで宣言すると、一晩で20万回以上のシェアという大きな反響を呼び、翌朝の『ル・モンド』の一面を飾ることに。一方、多くの人から注目され、励まされ、共感されても、アントワーヌの心に開いた穴が埋まるわけではない。そしてその喪失感を分け合うには、かけがえのない息子のメルヴィルではまだ幼い…… 2015年11月13日。パリ同時多発テロで妻を失ったアントワーヌ・レリスが、事件から約2週間の体験をつづった原作は、世界的なベストセラーとなる。映画化のオファーが次々と届く中、アントワーヌが選んだのが、プロデューサーのヤニーネ・ヤツコフスキとキリアン・リートホーフ監督のチームだ。「これからは君たちの物語だ」とアントワーヌから渡されたバトンを受け取り、リートホーフ監督は撮影に挑んだ。犠牲者やその家族を再び傷つけてしまうような映像を避け、 映画では語られないアントワーヌの生い立ちや思いを胸の奥にとどめ、原作にできる限り忠実につくり上げていった。
この映画は実話がベース。テロ襲撃で多くの被害者が出たバタクラン劇場は一時閉鎖されたが、「テロに屈しない」パリ市民の強い思いを受け、改装を経て1年後に再オープンした。主人公のアントワーヌも、父親として私たちと同じ世界で今も生きている。当時まだ2歳になっていなかったメルヴィルは、今はどれぐらい背が伸びただろうか。何が好きで、何が得意だろうか。映画を見終えた後、彼らのこれからの人生に思いを馳せる自分がいた。(Mika Tanaka)
 
監督・脚本:キリアン・リートホーフ 原作:アントワーヌ・レリス 
プロデューサー:ヤニーネ・ヤツコフスキ
出演:ピエール・ドゥラドンシャン、カメリア・ジョルダナ、ゾーエ・イオリオ
2022年/102分/ドイツ・フランス・ベルギー
 
Vous n’aurez pas ma haine de Kilian Riedhof avec Pierre Deladonchamps, Camélia Jordana; 2022, France, Allemagne, Belgique, 102 min
 
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