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『私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰?』 La syndicaliste
La syndicaliste
La syndicaliste
Crédits : ©︎2022 le Bureau Films - Heimatfilm GmbH + CO KG – France 2 Cinéma

『私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰?』
 
 彼女はただ、正しいことをしたかった。不当な扱いを受ける労働者たちを守りたかったのだ。しかし、そんなまっとうなことがまっとうにできないことがある。そしてあるとき、強すぎるほどの圧力が正義を粉々に砕いていく。
CFDT(フランス民主労働組合連盟)で活動するモーリーン・カーニー(イザベル・ユペール)は、フランスで有数の原子力企業アレバ(現オラノ)社の欧州労働評議会の代表でもある。あるとき、彼女のもとにアレバ社に関する機密情報が届く。それは、非常に多くの雇用が脅かされかねないものだった……「彼女は労働組合員であって軍隊を率いる者ではありません。でも自身の内部に小さな王国を築いたのです」。主人公を演じるイザベル・ユペールはモーリーン・カーニーをこう表現する。そして、こうも語る。「結果として、世界から孤立してしまいます」と。実際、彼女は、多くの人から信じてもらえず、自分は取るに足らない存在であるかのように、おとしめられていく。
監督はジャン=ポール・サロメ。 ツイッターに投稿された“LA SYNDICALISTE”(「組合活動家」/ カロリーヌ・ミシェル=アギーレ著)という本の紹介が、映画化への始まりだった。財務省、ランブイエの病院、ヴェルサイユの法廷などの撮影は実在の場所で行われ、2つの裁判の陳述答弁も忠実に再現されている。法廷シーンでは、実際に裁判を傍聴したアレバ社の従業員がエキストラとして出演。正義を貫いた1人の女性に対するサロメ監督の敬意が、映画の細部に感じられる。
モーリーン・カーニー自身は「現実は映画よりもっとひどかった」と語る。それでも彼女は前を向いて生きる。「辛抱強く、あきらめなければ、最後は必ずそこにたどり着く」という母親の教えを胸に。心が壊れても、友情を信じること。愛と優しさがあれば、誇りを取り戻すことができる。映画を見終わったとき、そんな彼女の言葉が聞こえてきた気がした。
(Mika Tanaka)
 
監督:ジャン=ポール・サロメ
出演:イザベル・ユペール/グレゴリー・ガドゥボア/フランソワ=グザヴィエ・ドゥメゾン/ピエール・ドゥラドンシャン/アレクサンドリア・マリア・ララ/ジル・コーエン/マリナ・フォイス/イヴァン・アタル
2022年/121分/フランス・ドイツ
 
La syndicaliste de Jean-Paul Salomé avec Isabelle Huppert, Grégory Gadebois, François-Xavier Demaison, Pierre Deladonchamps, Alexandra Maria Lara; 2022, France, Allemagne, 121 min
 
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