舞台は現代のアルジェリア。元テロリストだった人物に襲われ、大怪我を負ったバレエ・ダンサーのフーリア(リナ・クー ドリ)は、踊ることができなくなったことに加え、事件のショックで声が出なくなってしまう。踊ることと話すこと、自己表 現の2つの手段を同時に失った彼女を救ってくれたのは、同じように声を発することができない女性たちのグループだった。 彼女たちは、手話を使ってそれぞれの思いを語り、労わりあい、少しずつ絆を深めていた。ある女性は孤児として育ち、ある 女性は離縁され、またある女性は内戦で子供を失っていた。踊ることから遠ざかっていたフーリアが再び踊り出したとき、彼 女は裸足だった。アルジェリアの大地のエネルギーを感じ、伝統的なバレエから解き放たれたかのように命を謳歌するフーリ アは、彼女を見守るグループの女性たちにダンスを教えることに……1990年代に起きたアルジェリア内戦の傷跡は、20 年以上を経てなお、多くの人々を苦しめる。それでも、生き残った人たちの人生は続く。「芸術は、私たちが生き残り自由を 獲得する手助けをしてくれる」という、ムニア・メドゥール監督のメッセージが体じゅうに沁み渡ってくる。(Mika Tanaka)監督:ムニア・メドゥール出演:リナ・クードリ、ラシダ・ブラクニ、ナディア・カシ2022年/99分/フランス・アルジェリアHouria de Mounia Meddour avec Lyna Khoudri, Rachida Brakni, Marwan Fares ; 2022, France, Belgique, Algérie, 99 min
『裸足になって』 Houria