ケベックから世界へと羽ばたく歌姫、悩める政治家、フランス革命前夜を生きる料理人、ファンタジックなアニメーション、フランスの目から見た「東洋の魔女」……今年のフランス映画祭も、多様性に富んだ作品が並ぶ。
上映作品のひとつ『ウイストルアム - 二つの世界の狭間で -』(OUISTREHAM)では、清掃員として働く人々の日常生活が描かれる。原作は、作者自身がフェリーの清掃員として働きながら執筆したノンフィクション、フランスで大成功をおさめた1冊だ。監督のエマニュエル・カレール(Emmanuel Carrère)は、この原作に架空の人物クリステルを登場させ、情感豊かな1本に仕上げた。クリステルを演じるのは、エレン・ランベール。「クリステルは誇り高い女性です。そして内面に“怒り”の感情を秘めている。それは、演じるエレン自身の内面にも感じられるものでした」。昨年に引き続き、監督や俳優たちの来日は叶わなかったが、カレール監督はフランスからオンラインで熱いメッセージを届けてくれた。ジュリエット・ビノシュをはじめ、素晴らしい俳優たちが繰り広げる人間模様には、確かな”絆”がある。フェリーの清掃員として実際に働いていた人たちもまた、この映画で清掃員の役を演じている。プロの俳優とそうでない人たちとの共演をまとめ上げる過程にも、きっと多くのドラマがあったのだろう。映画祭会場は埠頭のすぐ近く。天気がよければぜひ、海風に吹かれてから会場に入ってほしい。<フランス映画祭2021 横浜 開催概要>期間: 11月11日(木) 11月14日(日)会場: みなとみらい21地区 ほか主催: ユニフランス
フランス映画祭2021 横浜 Festival du film français au Japon 2021