Crédits : © 2020 ZAZI FILMS – CHAPKA FILMS – FRANCE 2 CINEMA – MARVELOUS PRODUCTIONS 『MISS ミス・フランスになりたい!』フランスの、とある小学校。黒板の前で、9歳の子供たちが自分の将来の夢を語っている。おもちゃの修理屋、スターかパン屋さん、サッカー選手、ボクサー、目は生き生きと輝いている。「私は大統領になります」と宣言した少女の後で、アレックスが言う。「僕の夢はミス・フランスになることです」。その直後、「バカじゃない?」と教室中で嘲笑が沸き起こる。時は過ぎ、大人になったアレックス(アレクサンドル・ヴェテール)はパリの小さなアパートでひとくせもふたくせもある住民たちと共同生活を送っている。ボクシングジムで働いているが、生活は楽ではなく、下宿代にも事欠く毎日だ。あるとき、彼は小学校の同級生エリアス(クエンティン・フォーレ)と職場で再会する。エリアスが自分の夢を叶えてボクサーになったことを知り、アレックスは自分がかつて心の奥底にしまい込んだ夢を思い起こす……男性でありながら、女性らしさに惹かれ、ミス・フランスを目指すアレックス。「完璧と普通の距離は、ほんの数ミリ」と厳しい言葉を候補者たちに投げかける、ディレクターのアマンダ(パスカル・アルビロ)。「他人に自分の価値を決めさせるな!」と応援する下宿屋の主人ヨランダ(イザベル・ナンティ)。「最後まで頑張って!私も負けない」と爽やかなライバル宣言をする、パカ(ステフィ・セルマ)。彼女たちの芯の強さに本当の女性らしさが垣間見える。しかし、そんな「らしさ」を超越してしまうところにこの映画の魅力はある。コンテストに応募するとき、アレックスが真っ先に協力を求めるドラァグクイーンのローラ(ティボール・モンタレンベール)も、アレックスの精神面の鍛錬に力を貸すボクサーのエリアスも、映画にはなくてはならない存在だ。多様性の中で人と人とが支え合う感じが、嫌味なくさりげなく表現されているところが、とても素敵。(Mika Tanaka)監督:ルーベン・アウヴェス出演:アレクサンドル・ヴェテール、イザベル・ナンティ、パスカル・アルビロ、テスティ・セルマ/2020年/107分Miss de Ruben Alves avec Alex Wetter , Isabelle Nanty , Pascale Arbillot; 2020, France, 107 min

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