『C’est la vie! セラヴィ!』ウェディングプランナー。新郎新婦を、そして大勢の人を幸せな気分にする、憧れの職業。この映画の主人公、マックス(ジャン=ピエール・バクリ)もまた、ベテランのウェディングプランナーだ。この仕事をはじめて30年あまり、そろそろ引退をと考える矢先、17世紀の城を会場にしたウェディングパーティーを手がけることに。依頼主は、やたら注文が多い新郎、ピエール(バンジャマン・ラヴェルヌ)。スタッフは、17世紀の衣装とカツラを身につけさせられ、空中浮遊する新郎の演出をサポートさせられる。舞台裏のハプニングを盛り上げてくれるのは、口の悪いバンドボーカル(ジル・ルルーシュ)、写真を撮らずに女性と料理を追いかけるカメラマン(ジャン=ポール・ルーヴ)、ひげ剃り用のシェーバーの充電のために冷蔵庫の電源を抜き、料理用の肉を全滅させてしまうアルバイト……パーティーの間に次々と問題が勃発、マックスの理性は吹っ飛び、その顔はいたずらっ子にぶち切れる親のよう。それでも、パーティーを無事に終わらせる使命のため、マックスはあらゆる手を尽くす。うるさいゲストにダメなスタッフ、どうしようもない登場人物たちを演じる俳優たちの顔ぶれがすごい。ヴァンサン・マケーニュも、スザンヌ・クレマンも、フランス映画好きなら、「あ、あの映画で見た!」とぴんと来るはず。この映画のアイデアが生まれたのは、2015年11月、パリで同時多発テロが発生した頃だ。不安と悲しみに押しつぶされそうな人々のために、エリック・トレダノ&オリヴィエ・ナカシュの監督コンビは「お祭り騒ぎのような雰囲気で」「思い切り笑える映画」をつくろうと思い立った。題材にしたのは、自分たちが映画の資金稼ぎのためにかつて働いたことのある「結婚式の舞台裏」。映画には多種多様な人物が登場する。出身地が違う、肌の色が違う、年齢もさまざま。摩擦もすごいけれど、力を合わせたときのパワーもまたすごい。とにかく最初から最後まで、笑っていられる良質のコメディ映画。21世紀のフランス映画に万歳!と言ってしまいたくなった。(Mika Tanaka)監督:エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ出演:ジャン=ピエール・バクリ、ジャン=ポール・ルーヴ、ジル・ルルーシュ、ヴァンサン・マケーニュ2017年/117分Le sens de la fête d’Éric Toledano et Olivier Nakache avec Jean-Paul Bacri, Jean-Paul Rouve, Gilles Lellouche, Eye Haïdara, Vincent Macaigne; 2017, France, 117 mn
『C’est la vie! セラヴィ!』 Le sens de la fête