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『ルイ14世の死』 La mort de Louis XIV

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『ルイ14世の死』

 舞台のほとんどはルイ14世の病床だ。
 ろうそくが映し出す、ルーベンスの絵画のような色彩。その高貴さとは対称的な、遠回しで空虚な会話。こんなに淡々とした展開でありながら、俳優たちの重厚な演技が、観客を飽きさせずに導いていく。
「映像において、ものを考えている人の顔ほど美しいものはない。しかも俳優の頭の中にあることが単に脚本から得ただけのありふれた考えでないときは本当に美しい映像になる」。アルベルト・セラ監督のこんな美意識によって、映画は完成した。主人公のルイ14世を演じるのは、ジャン=ピエール・レオ。トリュフォー監督の映画でアントワーヌ少年を演じ続け、ヌーヴェルヴァーグの申し子と言われた伝説の俳優だ。愛犬をいつくしむまなざし、女性の話題でわずかに明るくなる表情……  彼の茶目っ気のある演技は、まるで魔法のように、いかめしいカツラとやたらに豪華なベッドを喜劇の小道具に変えていく。セラ監督がジャン=ピエール・レオに託したのは、太陽王の崇高な死ではなく、死の淵までをも干渉され続けなければならなかった1人の男の悲哀だったのではないだろうか。 (Mika Tanaka)

監督:アルベルト・セラ
出演:ジャン=ピエール・レオ、パトリック・ダスマサオ、マルク・スジーニ、イレーヌ・シルヴァーニ、ベルナルド・ベラン、ジャック・エンリック
2016年/フランス・ポルトガル・スペイン/115分

La mort de Louis XIV d’Albert Serra avec Jean-Pierre Léaud, Bernard Belin, Patrick d’Assumçao, Marc Susini, Irène Silvagni; 2016, France, Espagne, Portugal, 115 mn

www.moviola.jp/louis14/

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