『危険な関係』何てスタイリッシュ!ジャズとモノクロの映像、シャネルの服と個性際立つ俳優陣。背徳的な題材がこんなにも品よく展開していくのは、映画の魔法ゆえだろうか。原作の舞台は18世紀のフランスの貴族社会。本作が発表されてからも、多くの映画人に愛され、さまざまな国で映画化されてきた。それだけ人を魅惑するテーマなのだろう。といっても、この題材を扱うにあたっては、監督の品性や力量が試される。この映画を見ていると、ロジェ・ヴァディム監督がどれだけ映画の神様に愛されていたか、よくわかる。残酷なストーリー展開なのに、ジェラール・フィリップの茶目っ気とジャンヌ・モローの奔放さが華麗に交わしていく。観客に媚びないモンクやアート・ブレイキー達のジャズの音も素敵。ジェラール・フィリップの遺作として見るのも、昨年(2017年)他界したジャンヌ・モローへの追悼の思いで見るのもおすすめだけれど、ジャン=ルイ・トランティニャンの若かりし頃の姿に出会えるのも、フランス映画ファンにとって貴重な体験ではないかと思う。(Mika Tanaka)原作:コデルロス・ド・ラクロ監督:ロジェ・ヴァディム音楽:セロニアス・モンク アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ出演: ジェラール・フィリップ ジャンヌ・モロー アネット・ヴァディム ジャン=ルイ・トランティニャン1959年→2018年/フランス/ 102分/R15+Les Liaisons Dangereuses 1960 de Roger Vadim avec Gérard Philipe, Jeanne Moreau, Annette Vadim, Jean-Louis Trintignant, 1959, 2018, France, N/B, 102 mn, R+15
『危険な関係』Les Liaisons Dangereuses 1960