フラン•パルレ Franc-Parler
La francophonie au Japon

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Rédacteur en chef: Éric Priou
Rédaction: Karen, Mika Tanaka

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東京で上映されるフランス語圏映画Les films en français à Tokyo
投稿日 2018年1月31日
最後に更新されたのは 2025年4月25日


ヒューマントラストシネマ有楽町 03-6259-8608
ヒューマントラストシネマ渋谷 03-5468-5551
新宿シネマカリテ 03-3352-5645

4月25日(金)より

La bête
La bête
Crédits : ©Carole Bethuel

『けものがいる』  
 永遠の愛は存在するのだろうか。たとえ生まれ変わっても、前世に愛した人を探し続けることができるのだろうか?
 2044年。ガブリエル(レア・セドゥ)は、大半の仕事をAIが担い失業率が67%に達した社会で生きている。自分には知識も能力もある。しかし、AIと同じレベルで働くためには、「DNAの浄化」というセッションを受けなければならない。DNAの浄化とは、現世の潜在意識に刻み込まれた前世からのトラウマを消し去ること。「我々は、君の感情の排除を手助けできるのだ」。面接官のAI( 声:グザヴィエ・ドラン)の乾いた声に戸惑いながらも、職を得るためにと、ガブリエルはセッションに身を投じる。セッションでは、前世の記憶を再現しなければばならない。浄化のために必要なのだ。それがつらい作業であるとしても。
 1910年、パリ。ピアニストとして活躍するガブリエルには、人形製造工場を経営する夫(マルタン・スカリ)がいる。しかし、常にある不安(不吉な予感)にさいなまれ心は晴れない。ロンドンからやってきた青年ルイ(ジョージ・マッケイ)に紹介され、予知能力を持つ不思議な女性(エリナ・レーヴェンソン) を訪れると、彼女はこう語る。「けものがいる」と。「男がひとり見える。彼は夢の中でしか愛を交わせない」 。
 2つめのセッションは2014年、ロサンゼルス。ガブリエルは女優を志している。日々の生活は決して華やかではない。建築家の豪邸で留守番の仕事をしながら、オーディションに参加する毎日。心にぽっかりと空いた穴の正体がつかめず、孤独を紛らわそうとクラブに通うが、友達も恋人もできない。あるとき、偶然みつけた「ジーナの占い」というサイトにアクセスする。占い師のジーナ(マルタ・ホスキンス) はオンライン越しにこう語る。「あなたが心配。彼は夢の中でしか愛を交わせない 」
 ラブ・ストーリーとSFとスリラーと……さまざまな要素が混ざり合いながら、ゆらゆらとした情緒を醸し出す。人形とハト、蝶々夫人やロイ・オービソンの曲といった小道具、冴え渡る役者たちの演技をあますことなくとらえた映像に息を呑む。
 ベルトラン・ボネロ監督は映画の中で、1910年のパリの大洪水と2014年のロサンゼルスの地震を取り上げている。そして2044年に起こるのは、天災ではなく人災。ボネロ監督の警鐘を、私たちはしっかりと受け止めることができるだろうか。(Mika Tanaka)

監督・脚本:ベルトラン・ボネロ
出演:レア・セドゥ、ジョージ・マッケイ、ガスラジー・マランダ、ジュリア・フォール、ダーシャ・ネクラソワ、面接官(声)グザビエ・ドラン
2023年/フランス・カナダ/英語語・フランス語/146分

À partir du 25 avril

La bête de Bertrand Bonello avec Léa Seydoux, George MacKay, Guslagie Malanda, Julia Faure, Dasha Nekrasova, Xavier Dolan (voix); 2023, France, Canada, anglais, français, 146 min
https://www.kemonogairu.com/

シネスイッチ銀座 03-3561-0707
アップリンク吉祥寺 0422-66-5042

上映中(アップリンク吉祥寺は4月24日まで)

La nouvelle femme
La nouvelle femme
Crédits : © Geko Films – Tempesta - 2023

『マリア・モンテッソーリ 愛と創造のメソッド』
 原題は”La nouvelle femme” 、「新しい女性」だ。
映画の舞台となった1900年代、教養があり自立した女性をこう呼んでいた。マリア・モンテッソーリ(ジャスミン・トリンカ)は、この言葉を体現するような人物だっ た。しかし、新しい女性であり続けるために彼女が払った代償は決して小さなものではなかった。
 男性に劣ることのない知識や技量、鋭い観察力を持つマリアは、一般の学校では受け入れられなかった子供たち(障害を 持つ子供たち)を教育する研究所を運営し、めざましい成果を上げていく。しかし、称賛を浴びるのはいつも男性である研究所のパートナー、 ジュゼッペ。それどころか、彼女には報酬や給与は一切ないのだ。そんな彼女の光となるのが、もう1人の「新しい女性」、リリ(レ イラ・ベクティ)。結婚し、子供を産み大切に育てていたリリだが、娘のティナが障害児であることがわかり、双方の親の判断で離縁させられ る。リリはティナ(ラファエレ・エスポジト)を母親に預け、自身はクルチザンヌ(高級娼婦)として人生を再スタートする。
 ティナの存在を隠すためパリからローマへやって来たリリは、マリアの研究所を訪れる。ティナを預かってもらい、自分 は仕事に専念するためだ。出会った当初は反発し合っていたかのような2人だが、距離は徐々に縮まり、いつしかお互いになくてはならない存在となっ ていく……モ ンテッソーリ教育の祖であるマリアは、決して無敵で完璧な女性ではなかった。彼女がはらむ矛盾やトラウマを丹念に描き出したのは、レア・トドロフ監督。これが初めての長編映画となる。遺伝性の病気を持った娘の誕生が、この映画の制作するきっかけだった。それゆえだろうか、子供たちの描写に愛が溢れている。子供たちのキャスティングには時間をかけ、入念にワークショップを行ったという。「障害児」といって も、その障害にはたくさんの種類があり、ひとくくりにはできない。モンテッソーリ教育が提唱する「観察」をトドロフ監督は実践し、その結 果子供たちの素晴らしい演技を引き出すことに成功したのだろう。「障害のある子供たちに多くを期待しないということは、それを見捨てるこ とになってしまうと思うのです」と語るトドロフ監督の言葉に、マリア・モンテッソーリの姿が重なる。(Mika Tanaka)

監督・脚本:レア・トドロフ
脚本:カトリーヌ・バイエ
出演:ジャスミン・トリンカ、レイラ・ベクティ、ラファエル・ソンヌヴィル=キャビー、ラファエル・エスポジト、ピエトロ・ラグーザ、アガト・ボンゼール
2023年/フランス・イタリア/イタリア語・フランス語/99分

À l’écran
La nouvelle femme de Léa Todorov avec Jasmine Trinca, Leïla Bekhti, Rafaëlle Sonneville-Caby, Raffaele Esposito, Agathe Bonitzer; 2023, France, Italie, français, italien, 99 min

http://maria.onlyhearts.co.jp/

下高井戸シネマ 03-3328-1008

4月19日(土)〜25日(金) 9:30 

『不思議の国のシドニ』
監督・脚本:エリーズ・ジラール
出演:イザベル・ユペール、伊原剛志
2023年/フランス・ドイツ・スイス・日本/96分

4月19日(土)〜25日(金) 11:25 

『オークション 盗まれたエゴンシーレ』
監督・脚本:パスカル・ポニゼール
出演:アレックス・リュッツ
2023年/フランス/91分

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