フラン•パルレ Franc-Parler
La francophonie au Japon

Rédaction du journal:
Rédacteur en chef: Éric Priou
Rédaction: Karen, Shigehiro Kobayashi, Utako Kurihara, Rika S., Hikaru Taga

La francophonie au Japon
Franc-Parlerフランス語圏情報ウェブマガジン フラン・パルレ
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東京で上映されるフランス語圏映画Les films en français à Tokyo
投稿日 2017年12月28日
最後に更新されたのは 2018年1月22日
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Yebisu Garden Cinema 0570-783-715
 
上映中
 
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© 2017-FILM-IN-EVOLUTIONLES PRODUCTIONS BALTHAZARBITTERS END
『ライオンは今夜死ぬ』
 
「僕も死んだお父さんに会えるの?」
 1人の少年が、老年の俳優に問いかけるシーンが忘れられない。
 舞台は南仏のコート・ダジュール。老年の俳優・ジャン(ジャン=ピエール・レオー)がどのように「死」を演じたらよいか、悩むシーンから始まる。撮影の合間、ジャンがかつての恋人が住んでいた屋敷を訪れると、突然、恋人だったジュリエット(ポーリーヌ・エチエンヌ)が現れる。若い頃のままの姿で。幽霊と呼ぶにはあまりにも生き生きとしたジュリエットを、ジャンは抱きしめ、愛を語る。そんな恋人との奇妙な日々と同時進行ですすめられるのが、こどもたちとの交流だ。「僕たちの映画に出演してくれませんか?」という誘いを快諾、ジャンは映画づくりのノウハウを後輩に伝授し始める。ジャンはこどもたちに恋人の話を語り、こどもたちは真剣に耳を傾ける・・・・・・映画のタイトル、「ライオンは今夜死ぬ」は、ジャン=ピエール・レオー自身が好きな歌で、劇中、ロケハンに中のバスでこどもたちと一緒に歌うシーンが流れる。また、ジャンとジュリエットの会話の一部は、ジャン=ピエール・レオーの父ピエール=レオーが書いた戯曲から取り入れた。子役はすべて、映画制作に興味を持つ子どもたち。劇中の映画制作は本当のワークショップで、彼らは脚本にしばられることなく、自由に映画づくりと自分たちの役柄を演じている。十代からトリュフォーの映画に出演していた、ジャン=ピエール・レオーが、子どもたちを通して、あらためて映画の素晴らしさに気づかされるという演出のなんと粋なこと!きらきらと光る湖のシーンがものすごく綺麗で、ものすごく切ない。数々の粋で詩的な演出を思いついたのが、日本出身の諏訪敦彦監督であることを誇りに思う。(Mika Tanaka)
 
監督:諏訪敦彦
出演:ジャン=ピエール・レオー、ポーリーヌ・エチエンヌ、イザベル・ヴェンガルテン
2017年/フランス・日本/103分
 
À partir du samedi 20 janvier
 
Le lion est mort ce soir de Nobuhiro Suwa avec Jean-Pierre Léaud, Pauline Étienne, Maud Wyler, Isabelle Weingarten; 2017, France, Japon, 103 mn
 
 

 
Bunkamura Le Cinéma 03-3477-9264
Human Trust Cinéma Yurakucho 03-6259-8608
Cinéma Qualité 03-3352-5645
 
1月27日(土)より
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© MOVE MOVIESTUDIOCANAL - NJJ ENTERTAINMENT
『ゴーギャン タヒチ、楽園への旅』
 
芸術家というのは、どうしていつもこうなんだろう。貧しくて孤独、いつも愛を渇望し、作品が賞賛されたとしても、人間としてはうとまれる……ポール・ゴーギャン(ヴァンサン・カッセル)も例外ではなかった。パリで株式仲介人として働いていた頃のポールは、妻と子どもたちにも恵まれ、満たされているかのように見えた。しかし、1882年、株式市場の大暴落は、彼に大きなチャンスを与えた。画家として生きる道だ。しかしそのチャンスには、苦しみや孤独がもれなくついてくる。家族から見放され、また、同業の芸術家たちからも奇異な目で見られるようになったポールが求めた地は、ポリネシアのタヒチだった。より野生的なもの、より神秘的なものを求めて、島の中心地パペエテからさらに奥へ奥へと向かうポール。そしてついに、彼が思い描く楽園にたどり着き、理想の女性、テフラ(原音はテハアマナ)(ツイー・アダムス )と出会う。村の長の声かけで、見つめ合う2人。テフラはポールを気に入ったらしい。母親は、ポールに告げる。「月の満ち欠けが一回りしても幸せにできなければ娘は去る」と。西洋文明に飼いならされていない奔放で無垢な少女は、ポールの創作にとってなくてはならないミューズとなり、孤独な彼の心に寄り添うイヴとなった。絵筆で魔法をかけるように、ポールは斬新な絵画を生み出していく。しかし、南の小島の生活にも金は必要で、彼を貧しさから解放することはなかった。港で働き、彫刻を堀り、必死で生活の糧を得ようとするポールのそばで、テフラの心はゆらいでいく。「私も白い服を来て教会に行きたい」とねだるテフラの罪のない言葉が痛い。
  映画で描かれるポールは「芸術に心奪われた男」というより、「愛を求め続ける不器用な男」に思えてならない。なぜ、彼はフランスから遠く離れたタヒチまで向かわなければならなかったのだろうか。映画を観た後、『我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか』(D’où Venons Nous Que Sommes Nous Où Allons Nous)という、彼の作品の名が胸をよぎった。(Mika Tanaka)
 
監督:エドゥアルド・デルック
出演:ヴァンサン・カッセル、ツイー・アダムス、マリック・ジディ、プア・タウ・ヒクティニ
2017年/102分/R15+
 
À partir du samedi 27 janvier
 
Gauguin - Voyage de Tahiti d’Édouard Deluc avec Vincent Cassel, Tuheï Adams, Malik Zidi, Marc Barbé; 2017, 102 mn, R15+
 

 
Toho Cinemas Chante 050-6868-5001
 
上映中
 
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© Final Portrait Commissioning Limited 2016
『ジャコメッティ 最後の肖像』
 
舞台は1964年のパリ。ジャコメッティが、友人のアメリカ人作家、ジェイムズ・ロード(アーミー・ハマー)にモデルを依頼するところから映画は始まる。2日程で完成するという言葉を信じ、ロードは帰国を延期してジャコメッティのアトリエでポーズを取る。本能のおもむくままに生き、信念を決して曲げない芸術家は、「肖像画とは決して完成しないもの」という不吉な言葉をロードに投げかける。3日、4日…… まるで迷宮に迷い込んだかのように、終わりの見えない作業。帰りの便を何度も変え、ロードは着替えもせずに同じ服装でカンバスの前に座る。そんなロードの不安と疲れを癒すのが、ジャコメッティの弟・ディエゴ(トニー・シャループ)の存在だ。決して満足しない、まるで幻を追い求めるかのような兄を、さらりと交わして受け止めるさまは、まるで仏さまのよう。仏だけではない。この映画にはミューズも出演する。ジャコメッティお気に入りのモデル&娼婦・カロリーヌ(クレマンス・ポエジー)が登場したとたん、映像のトーンがガラリと変わり、色彩が豊かに。「彼の晩年に焦点をあてることで、ジャコメッティという人間やその人生について、伝記映画と同じくらいか、それ以上のことを探求したい」とスタンリー・トゥッチ監督は映画への思いを語った。わずか18日という制作期間を切り取り、ジャコメッティの本質をずばり表現できてしまうところに、映画の魅力とトゥッチ監督の力量を感じる。重々しい題名とはうらはらに音楽は軽やか、コメディ映画なので肩の力を抜いてご覧あれ。さりげない終わり方は、さらに軽やか。(Mika Tanaka)
 
脚本・監督:スタンリー・トゥッチ
出演:ジェフリー・ラッシュ、アーミー・ハマー、トニー・シャルーブ、シルヴィー・テステュー、クレマンス・ポエジー、タカツナ・ムカイ
2017年/イギリス/英語・フランス語・イタリア語/90分
 
À partir du 5 janvier
 
Final portrait de Stanley Tucci avec Geoffrey Rush, Armie Hammer, Tony Shalhoub, Sylvie Testud, Clémence Poésy; 2017, Grande-Bretagne, anglais, français, italien, 90 mn
 
 

 
Human Trust Cinéma Yurakucho 03-6259-8608
Shinjuku Musashinokan 03-3354-5670
Yebisu Garden Cinéma 0570-783-715
 
上映中
 
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© Fondation Maurice Béjart, 2015 © Fondation Béjart Ballet Lausanne, 2015
『ダンシング・ベートーヴェン』
 
ドイツの巨匠、ベートーヴェンの「交響曲第9番 ニ短調作品125」。その第九が演奏される中、大勢のバレエダンサーが音を体で表現していく。オーケストラと合唱が響き渡るステージで、まるで五線譜の河を泳ぐ魚のように・・・・・・20世紀を代表するフランスの振付家、モーリス・ベジャールは、耳が聞こえない人に第九を目で聞かせるかのように、音に大胆で美しい動きを添えた。難聴に苦しんだベートーヴェンがベジャールの舞台を見たら、どれだけ歓んだことだろうか、と思う。ベジャールの死後の2007年以降、上演は難しいとされていたこの「第九交響曲」の舞台だが、後継者によって再び上演されることになった。その舞台裏をとらえたのが、この映画だ。監督は、スペイン出身のアランチャ・アギーレ。クラシック音楽が大好きで、バレエが大好きだった十代の少女アランチャは、ブリュッセルに渡り、ベジャール・バレエ団のスクールでバレエを学ぶ。そして大人になった彼女が選んだのは、ゆかりあるベジャール・バレエ団のドキュメンタリーを撮影するという道だった。映画の冒頭で映し出されるスイスの雪景色と中盤で流れる紺碧の海のシーンは、まるで人間の心の奥底を映し出すよう。汗を流し、悩みながら人生を歩むダンサーたちのドラマと、ベジャールが追い求めた”Fraternité”の精神が絡み合って混ざり合って、美しい色彩の1作が完成した。Fraternité……私たちはこの言葉をどう訳し、どう理解したらよいのだろうか。日本語の既
存の単語に置き換えるのはとても難しいけれど、この映画は”Fraternité”そのものを、私たちの心にダイレクトに届けてくれる。「旧約聖書の時代から、カインとアベルのように兄弟が殺し合う話があります。だからこそ、人間が持つべき理想として、Fraternitéの精神がフランスから生まれました」とアギーレ監督は語る。さらに、それが遠いフランスの精神ではなく、古くから日本で大切にされてきたHarmonisation (「調和」の精神)と通じることも教えてくれる。「Fraternitéは、Harmonisation(他者との調和)があって初めて成立します」と、アギーレ監督。本作には、日本で撮影されたシーンがいくつかある。東京バレエ団の練習風景、そして、評論家の三浦雅士さんのインタビューのシーンだ。三浦さんはそこで、ベジャールが日本文化や禅の精神に関心を持ち理解を深めていったこと、それらがベジャールの作品に影響を与えることになったことを指摘する。クラシック音楽が、harmonie(音の調和)によって美を生むように、人間もまた、人と人との調和が、大きな何かを生み出していく。ドイツで生まれた交響曲が、フランス人のベジャールによって舞踊となり、スペイン出身の監督によって映画となった。それぞれの創作の過程で、作者の溢れんばかりのFraternitéの思いが伝わってくる。21世紀。戦争が続いても、テロが耐えなくても、地球の気候が大きく変わり続けても、私たちには「希望」が残されている。そんなことを感じさせてくれる映画。(Mika Tanaka)
 
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アランチャ・アギーレ監督(2017年11月22日撮影)
© Mika Tanaka
 
振付:モーリス・ベジャール
監督:アランチャ・アギーレ
音楽:ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲『交響曲第9番 ニ短調 作品 125』
出演:マリア・ロマン、モーリス・ベジャールバレエ団、東京バレエ団、モーリス・ベジャールバレエ団 芸術監督 ジル・ロマン、イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団音楽監督 ズービン・メータ
2016年/スイス・スペイン/83分/フランス語・英語・日本語・スペイン語・ロシア語
 
À l’écran
 
Beethoven par Béjart d’Arantxa Aguirre avec Malya Roman, Gil Roman, Piotr Nardelli; 2016, Suisse, Espagne, français, anglais, japonais, espagnol, russe, 83 mn
 
 

 
Human Trust Cinéma Yurakucho 03-6259-8608
 
上映中
 
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© ANDOLFI - GRANIT FILMS - CINEKAP - NEED PRODUCTIONS - KATUH STUDIO - SCHORTCUT FILMS/2017
『わたしは、幸福フェリシテ』
 
舞台はコンゴの首都、キンシャサ。1000万人の人口を超えるアフリカでも有数の大都市だ。レイプや虐殺が発生し明日の食事にも事欠く人もいれば、一流ブランドのスーツで闊歩する人もいる。むっとする空気が流れるバーでは、男が女を口説きまくり、女は好みの男を探る。そこで、聞こえてくるのが、本能を揺さぶるフェリシテ(ベロ・チェンダ・ベヤ)の歌声だ。フェリシテは、歌うことで生計を立てるシングルマザー。自立し自信に溢れた彼女の生活を変えたのは、彼女の携帯電話に入った1本の知らせだった。彼女の1人息子、サモ(ガエタン・クラウディア)が交通事故に遭ったのだ。フェリシテが病院にかけつけると、サモは脚に大きな怪我を負い、うつろな目で宙をみつめている。すぐに大金を用意しないと手術ができない。わが子を救うため、フェリシテはなりふり構わず資金の調達に動き出す。大切なプライドを次々と手放していく彼女に、どんな救いが待っているのだろう……アラン・ゴミス監督が映画のインスピレーションを得た「カサイ・オールスターズ」のプリミティヴなビートと、地元の教会で奏でる地元のアマチュア楽団「キンバンギスト交響楽団」の温かいハーモニーが、脚本のように主人公の心を語っていく。キンシャサの町の人々を支えているのはキリスト教の精神だが、フェリシテの心模様は、仏教の曼陀羅(マンダラ)のようにも見える。コンゴの深い森から現れる不思議な動物「オカピ」のあどけない目が忘れられない。彼女がなぜ「フェリシテ(幸福)」と名付けられたのか、その由来を知ったとき、映画で描かれる運命が別の意義を持って輝き出してくるような気がする。映画を見終えた後、あなたの心の中にある「フェリシテ(幸福)」がめざめますように。(Mika Tanaka)
 
監督:アラン・ゴミス
出演:ヴェロ・ツァンダ・ベヤ、ガエタン・クラウディア、パピ・ムパカ、カサイ・オールスターズ
2017年/フランス・セネガル・ベルギー・ドイツ・レバノン/129分/リンガラ語・チルバ語・フランス語
 
À l’écran
 
Félicité d’Alain Gomis avec Véro Tshanda Beya, Gaetan Claudia, Papi Mpaka, le Kasai Allstars; 2017, France, Sénégal, Belgique, Allemagne, Liban; lingala, tshiluba, français, 129 mn
 
 

 
Yebisu Garden Cinéma 0570-783-715
 
1月26日(金)まで
 
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© 2016-Alfama Films Production-Neue Road Movies
『アランフエスの麗しき日々』
 
 こんなに自由に、こんなに軽やかに1作の映画を撮ることができるなんて!しがらみから解き放たれた映画は、すっきりとしていて、繊細で、斬新なのに懐かしい。 ときに財源確保のために、ときに配給会社の気を引くために、映画監督は「自分の思い」以外の要素を映画にのせていかなければならない。でも、この映画は違う。「自分の思いを最後まで貫いて作り上げることができた初めての作品」と、ヴィム・ヴェンダース監督はこの映画を語っている。
  ある夏の日。かつてサラ・ベルナールが住んだことのある、パリ郊外の家が舞台だ。部屋では作家らしき人物が、タイプライターの前で、愛と孤独に思いをめぐらせている。作家の視線の先には小さなテラスがあり、男女が何気ない会話を繰り広げる。静寂の中で木々がざわめき、庭師は黙々と自分の仕事をしている。この男女は、作家が創造した登場人物らしい。3Dカメラが、現実と創造のはざまを撮り続けていく。たった10日間という短い撮影期間で、いったいいくつの魔法が生まれたのだろうか。男女は意気投合するわけでもなく、言い争うこともなく、淡々と会話を続ける。それだけのことなのに、なぜこんなにも濃密な空間が生まれるんだろう。なんという信頼関係なんだろう。2人が共有しているのは、2人が発する言葉ではなくて、夏の匂いだったり、通り過ぎる飛行機や木々の葉擦れの音だったり、まるで止まっているかのようにぽっかりと浮かぶ時間の感覚なのかもしれない。部屋に置かれたジュークボックスから、ときおりBGMが流れる。冒頭の曲はルー・リードの『パーフェクト・デイ』だ。英語の歌とフランス語の会話とのコントラストが心地よい。映画がすすむにつれ、ジュークボックスの存在は大きくなり、ニック・ケイヴの『Into My Arms』が聞こえる頃、ヴェンダース監督は映画に素敵な魔法をかけてくれる。映画の最後を飾るセザンヌの絵画にヴェンダースが重ねた思いを、いつか聞いてみたいと思った。(Mika Tanaka)
 
監督:ヴィム・ヴェンダース
出演:レダ・カテブ、ソフィー・セミン、イェンス・ハルツ、ニック・ケイヴ
2016年/フランス・ドイツ・ポルトガル/97分
 
À l’écran
 
Les beaux jours d’Aranjuez de Wim Wenders avec Reda Kateb, Sophie Semin, Jens Harzer, Nick Cave, France, Allemagne, Portugal, 97 mn
 
 

 
Iwanami Hall 03-3262-5252
 
2月2日(金)まで
 
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© TS PRODUCTIONS (PHOTO MICHAEL CROTTO)-AFFICHE NUITDECHINE
『女の一生』
 
  自然主義文学の立役者のひとり、モーパッサンのこの長編小説はあまりにも有名で、それゆえ、紋切り型のこんなイメージが先行しているような気がする。「世間知らずのお嬢様が運命に翻弄されながら不幸になる話」。もし言葉をうのみにして映画を観たら、印象はだいぶ変わるのではないだろうか。舞台は19世紀初頭のノルマンディー。自然豊かな故郷で、ジャンヌ(ジュディット・シュムラ)は、自らの意志で伴侶を選ぶ。この時代には珍しいことだ。そして、自ら選んだ夫の不誠実さによって苦しむ。その苦しみの責任を誰に押し付けるでもなく、ジャンヌは自分自身の心で受け止めた。神父の導きを受け入れることもあれば、かたくなに拒むこともある。子供を盲目的に溺愛しているようにも見えるが、ジャンヌの子育て論は理にかなったところもある。「だまされている」と言われながらも、子供の言葉を最後まで信じる……私が思っていた『女の一生』は、受け身的な女性が流されるまま生きる人生だったけれど、ジャンヌの生きざまはそれとは真逆だった。ステファヌ・ブリゼ監督がどれだけジャンヌを愛おしく思っていたか、ジャンヌの美しい横顔からそれが伝わってくる。今でも心に強く残っているのは、「真実と嘘」について語る神父と、迷いながらも自分の意志を曲げないジャンヌのシーン。このときのジャンヌに『婚約者の友人』の主人公・アンナを重ねた。また、原作者のモーパッサンは『セザンヌと過ごした時間』にエミール・ゾラと活動をともにし、『ロダン カミーユと永遠のアトリエ』のロダンと同じ時代を生きた人だ。もしも自由な時間が丸1日取れることがあったら、ここに挙げたすべての作品をまとめて観てほしいと思う。(Mika Tanaka)
 
監督:ステファヌ・ブリゼ
出演:ジュディット・シュムラ、ジャン=ピエール・ダルッサン、ヨランド・モロー、スワン・アルロー、ニナ・ミュリス
2016年/119分
 
À l’écran
 
Une vie de Stéphane Brizé d’après Guy de Maupassant avec Judith Chemla, Jean-Pierre Darroussin, Yolande Moreau, Swann Arlaud, Nina Meurisse; 2016, France, 119 mn
 
 

 
Bunkamura Le Cinéma 03-3477-9264
 
1月26日(金)まで
 
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© 2017 LFP-Les Films Pelléas - Bande à part Films - France 2 Cinéma - Opéra national de Paris - Orange Studio - RTS
『新世紀 パリ・オペラ座』
 
監督:ジャン=ステファヌ・ブロン
出演:オペラ座総裁 ステファン・リスナー、バレエ団芸術監督 バンジャマン・ミルピエ、音楽監督 フィリップ・ジョルダン、オペラ演出 ロメオ・カステルッチ、オペラ歌手 ブリン・ターフェル、バレエダンサー アマンディーヌ・アルビッソン
2017年/111分
 
À l’écran
 
L’opéra documentaire de Jean-Stéphane Bron; 2017, France, Suisse, 111 mn
 
 

 
Waseda Shochiku 03-3200-8968
 
1月20日(土)〜26日(金)
<早稲田松竹クラシックス vol.133 クシシュトフ・キェシロフスキ監督特集>
※二本立て
 
20日(土)、22日(月)、24日(水)、26日(金)
 
『トリコロール/青の愛』
出演:ジュリエット・ビノシュ、ブノワ・レジャン、エレーヌ・ヴァンサン、フローレンス・ペルネル
1993年/フランス・ポーランド・スイス/99分/Blu-ray
 
Les 20, 22, 24 et 26 janvier
Tricolore Bleu de Krzysztof Kieślowski avec Juliette Binoche, Benoît Régent, Hélène Vincent, Emmanuelle Riva; 1993, France, Pologne, Suisse, 99 mn, blu-ray
 
『ふたりのベロニカ』
出演:イレーヌ・ジャコブ、フィリップ・ヴォルテール、サンドリーヌ・デュマ、ルイ・デュクルー
1991年/フランス・ポーランド・ノルウェー/98分/Blu-ray
 
La double vie de Véronique de Krzysztof Kieślowski avec Irène Jacob, Philippe Volter, Guillaume de Tonquédec; 1994, Suisse, France, Pologne, 92 mn blu-ray
 
21日(日)、23日(火)、25日(木)
 
『トリコロール/白の愛』
出演:ジュリー・デルビー、ズビグニエフ・ザマホフスキ、ヤヌシュ・ガヨス、イェジィ・シトゥール
1994年/スイス・フランス・ポーランド/92分/Blu-ray
 
Les 21, 23 et 25 janvier
Tricolore Blanc de Krzysztof Kieślowski avec Julie Delpy, Zbigniew Zamachowski, Jerzy Trela, EJerzy Stuhr; 1994, France, Pologne, Suisse, 92 mn, blu-ray
 
『トリコロール/赤の愛』
出演:イレーヌ・ジャコブ、ジャン=ルイ・トランティニャン、フレデリック・フェデール、ジャン=ピエール・ロリ
1994年/スイス・フランス・ポーランド/96分/Blu-ray
 
Les 21, 23 et 25 janvier
Tricolore Rouge de Krzysztof Kieślowski avec Irène Jacob, Jean-Louis Trintignant, Jean-Pierre Lorit, Samuel Le Bihan; 1994, France, Pologne, Suisse, 96 mn, blu-ray
 

 
K’s cinema 03-3352-2471
 
1月20日(土)〜26日(金)
<ジャン=ピエール・メルヴィル監督特集上映>
 
20日(土)13:00、22日(月)18:20、23日(火)15:40、25日(木)18:20
『影の軍団』
出演:リノ・ヴァンチュラ、ポール・ムーリス、ジャン=ピエール・カッセル
1969年/フランス・イタリア/145分
 
20日(土)15:40、22日(月)13:00、24日(水)18:20、26日(金)13:00
『いぬ』
出演:ジャン=ポール・ベルモンド、セルジュ・レギアニ、ジャン・ドザイ
1962年/フランス・イタリア/モノクロ/109分
 
20日(土)18:20、22日(月)15:40、24日(水)13:00、26日(金)18:20
『仁義』
出演:アラン・ドロン、ブールヴィル、イヴ・モンタン、ジャン=マリア・ボロンテ
1970年/フランス・イタリア/140分
 
21日(日)13:00、23日(火)18:20、26日(金)15:40
『賭博師ボブ』
出演:ロジェ・デュシェーヌ、ダニエル・コーシー、ギー・ドコンブル
1956年/モノクロ/100分
 
21日(日)15:40、24日(水)15:40、25日(木)13:00
『モラン神父』
出演:ジャン=ポール・ベルモンド、エマニュエル・リヴァ、イレーヌ・トゥンク
1961年/フランス・イタリア/モノクロ/128分
 
21日(日)18:20、23日(火)13:00、25日(木)15:40
『ある道化師の24時間』(短篇)
出演:ベビー(道化師)、マイス(道化師)
1946年/モノクロ/18分
『海の沈黙』
出演:ハワード・ヴェルノン、ニコル・ステファーヌ、ジャン=マリ・ロバン
1947年/モノクロ/87分
※併映
 

 
Shimotakaido Cinema 03-3328-1008
 
1月23日(火)〜29日(月) 14:25
 
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© (2016) Les Productions du Trésor - Studiocanal - France 3 Cinéma - Lunanime - Pauline’s Angel - My Unity Production
『愛を綴る女』
 
心に情熱を秘め、愛し愛されることを求める1人の女性。そんな魅力溢れた女性が、この映画の中では、親に認めてもらえず、周囲に馴染めず、孤立している。1950年代の南仏・プロヴァンス地方の田舎町・バルジュモンで暮らすガブリエル(マリオン・コティヤール)は、近所の人たちから「変わり者」と見られ、親から「病気でヒステリック」と責められていた。小説『嵐が丘』にどっぷり浸かり、「愛を与えて、ダメなら死なせて」と、神の前で祈る日々を送るガブリエル。彼女が両親に押し込まれた箱から解放されるチャンスは、皮肉なことに両親が決めた「結婚」によって訪れる。夫となったのは、彼女の家で雇われ、ラヴェンダー摘みに従事するジョゼ(アレックス・ブレンデミュール)だ。スペイン・カタルーニャ出身のジョゼは、フランコ独裁政権下でレジスタンスに身を投じた過去を持ち、戦争で傷ついた心はまだ癒えていなかった。結婚によってガブリエルは「自由」を、ジョゼは「安定」を手に入れる。ガブリエルは、結婚してからも理想の愛を探し求めることをやめず、1人のインドシナ戦争の帰還兵と恋に落ちるが・・・・・・「実際の世の中にも、自由を奪われたり、なりたい自分になることを許されない人たちがいる」と語る、マリオン・コティヤール。彼女はそんな人たちにかけられた呪縛を、一途な演技で解き放った。ガブリエルの激しさとは対極にある、ジョゼの静かで誠実な存在感も忘れがたい。ガブリエルに否定的な感情を抱く彼女の母親にさりげなく釘をさし、妻となったガブリエルをかばうシーンが印象的だ。はっとする意外な結末は、空よりも広く海よりも深い愛が、実は自分のすぐ近くにあることを教えてくれる。青い鳥のように。(Mika Tanaka)
 
監督:ニコール・ガルシア
出演:マリオン・コティヤール、ルイ・ガレル、アレックス・ブレンデミュール
2016年/120分/R15+
 
Du 23 au 29 janvier
Mal de pierres de Nicole Garcia avec Marion Cotillard, Louis Garrel, Àlex Brendemühl; 2016, 120 mn, R+15
 
 
1月23日(火)〜29日(月) 16:50
 
『あさがくるまえに』
監督:カテル・キレヴェレ
出演:タハール・ラヒム、エマニュエル・セニエ、アンヌ・ドルヴァル
2016年/フランス・ベルギー/104分/PG12
 
2月6日(火)〜16日(金)
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© 2017 ARCHES FILMSCURIOSA FILMSMOANA FILMSPATHE PRODUCTION - FRANCE 2 CINEMA - AUVERGNE-RHONE-ALPES CINEMA
 
『永遠のジャンゴ』
 
ミュージシャンには、二通りのタイプがある。
  問題意識が強く、社会活動に積極的なタイプ。そして、社会の動きを気にすることなく、芸術の頂点を目指すタイプ。彼はどちらのタイプだったのだろうか……
  ジャンゴ・ラインハルト。ベルギー出身、ジプシーの旅芸人を両親に持つ彼は、大やけどで障害を負った手でありながら、独自の演奏で多くのジャズファンを虜にし、多くのギタリストから崇拝されてきた。ステージから降りると、釣りをたしなみ相棒の猿・ジョコと奔放に過ごすジャンゴ(レダ・カテブ)。彼を支えるのは、交渉に長けた母、理性的な妻、そして彼の芸術を理解する愛人だ。強い女性たちに囲まれたジャンゴは、第二次世界大戦にも、ナチスの動きにも無頓着のようにみえた。しかし、大切なジョコを失い、ナチスに虐げられるジプシー仲間たちを目の当たりにし、彼の心で何かが変わり始める。「ジャンゴ」という名前はジプシーの言葉で「私は目覚める」という意味。エチエンヌ・コマール監督はこの言葉に思いを込め、原題をそのまま”Django”とした。ジプシー文化の中で育ったジャンゴが神父と知り合い、教会のパイプオルガンを奏でるシーンは、まるでステンドグラスから差し込む陽の光のようにきらきらと輝いている。映画のラストで画面いっぱいに映し出される多くの写真は、すべて実在の人物によるもの。身体測定のときに使われた、フランスのジプシーたちの登録写真だ。(Mika Tanaka)
 
監督:エチエンヌ・コマール
出演:レダ・カテブ、セシル・ドゥ・フランス
2017年/117分
 
À l’écran
 
Django d’Étienne Comar avec Reda Kateb, Cécile de France, Bea Palya; 2017, 117 mn
 



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