『バベルの学校』パリ市内にある中学校の適応クラスでの出来事を追ったドキュメンタリー。アイルランド、セネガル、ブラジル、モロッコ、中国…。20もの国籍の11歳から15歳の24人の子どもたちがフランスにやってきた。子どもたちはこれから1年間、パリ市内にある中学校の同じ適応クラスで一緒に過ごすことになる。24人は、家庭的な事情でやってきたもの、つらい母国の生活から逃れてきたもの、亡命をもとめてやってきたもの、または単によりよい生活を求めてやってきたものなど理由は様々。そんなクラスの担任を務めるのは、ブリジット・セルヴォニ先生。国籍も宗教もフランスに来た理由も違う子どもたちを、変わらないあたたかな眼差しで導いていく…。監督は『パパの木』、『やさしい嘘』(カンヌ映画祭批評家週間賞)のジュリー・ベントゥチェリ。本作は彼女の一年間の密着取材の末に生まれた。彼女の映し出す子供たちは、カメラを意識することなく、自然な表情を見せている。それも、彼女が、子供たちを外から観察するのではなく、クラスの一員として見守っていこうという視点で撮影しているからだろう。様々な背景を持つ子供たちは皆、個性豊かで、それぞれが必死に、時には感情をあらわにしながら様々なことを学んでいく。そんな子供たちが、ぶつかりながらも様々な壁を乗り越えて友情を育んでいく姿は、胸に迫る。人種差別による社会問題や事件が深刻化している現在だが、お互いの国籍や宗教の違いを受け入れながら共に成長していく子供たちの姿は、私たちに未来への大きな希望を見せてくれる。監督:ジュリー・ベルトゥチェリ2013年/フランス語/89分La cour de Babel documentaire de Julie Bertuccelli; 2013, France, 89 mn
『バベルの学校』La cour de Babel