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『アスファルト』Asphalte
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© 2015 La Camera Deluxe - Maje Productions - Single Man Productions - Jack Stern Productions - Emotions Films UK - Movie Pictures - Film Factory
『アスファルト』Asphalte
 
舞台は、フランスの郊外にあるマンション(= バンリュー/ Banlieue)。
映画では、このマンションに住む人々の、異なる「3つの物語」が繰り広げられる。
物語1の主人公は、スタンコヴィッチというさえない男と、夜勤の看護師。
住民が渋い表情で団地の一室に集まっている。トラブル続きのエレベーターを交換するための話し合いのためだ。たったひとり、費用を負担したくないと声をあげたスタンコヴィッチに、”民主的”な話し合いが出した結論は……「塞翁が馬」のような展開が、ほっとした気分にさせてくれる。
物語2の主人公は、十代の学生シャルリ(ジュール・ベンシェトリ)と、彼の部屋の隣に越してきた女優のジャンヌ・メイヤー(イザベル・ユペール)。親子ほどに歳の離れた2人が、同じ方向に視線を向けて、お互いに高め合っていく。年上の女性に惹かれる青年の映画はフランス映画に多いけれど、「どろどろ」ではなく、「さわやか」に描いたところが新鮮。
物語3の主人公は、アルジェリア系移民のマダム・ハミダと、宇宙飛行士・ジョン・マッケンジー。宇宙からアメリカのNASAに帰還するはずだったロケットが、なぜかこの団地に着陸してしまう。自分がどこにいるかもわからず、「電話を貸してほしい」とドアを叩くと、そこにいたのがマダム・ハミダだった。服役中で家を留守にする息子の服を貸し、手料理のクスクスをふるまうマダム・ハミダ。フランス語がわからないジョンと、英語がわからないマダム・ハミダだけれど、少しずつ、少しずつ、心が通じあっていく……「宇宙服のアメリカ人」が登場するところこそが、この映画のすばらしいところのような気がする。アメリカとフランス。この2つの国がこんなふうにほのぼのとした関係でいてくれたら、世界の争いや貧困は、もっと少なくなるのではないかなと、そんな希望を描いてみた。
淡々と流れるピアノ曲、ヘリコプターの音、そして最後のシーンで映し出される「魔の音」の正体……映像はもちろん、「音」がとても詩的で、今でも心に余韻が残る。
(Mika Tanaka)
 
監督: サミュエル・ベンシェトリ
出演:イザベル・ユペール、ジュール・ベンシェトリ、ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ、ギュスタブ・ケルヴァン、マイケル・ピット、タサディット・マンディ
2015年/フランス語•英語•アラビア語/100分
 



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