『パリ、恋人たちの影』L’ombre des femmesヴェルヴェット・アンダーグラウンドのニコの主演作品を多く撮ったことで知られる、フィリップ・ガレル監督が描く、モノクロームの世界。ドキュメンタリー映画の監督、ピエール(スタニスラス・メラール)は、彼の才能を信じる妻マノン(クロチルド・クロ)に支えられて生活をしている。あるときピエールは、研修生のエリザベット(レナ・ポーガム)と惹かれ合い、肉体的な関係を持つ。2人の女性のどちらかを選ぶことができないピエール。そして、愛する人の妻の秘密を知ってしまうエリザベット。「映画」というアートにはめ込まれ、「パリ」というパッケージに包まれると、もつれあう男女の糸がまるであやとりのように、繊細で美しい形を織りなしていく。撮影を手がけたレナ・ポーガムは、ジャン=リュック・ゴダール監督やエリック・ロメール監督の作品も手がけ、ルイ・マル監督の『さよなら子供たち』では、セザール賞撮影賞を受賞している。ヌーヴェルヴァーグに夢中だった世代の人はもちろん、ヌーヴェルヴァーグをリアルタイムで知らないけれど興味があるという若者にも、見てほしい映画。(Mika Tanaka)監督:フィリップ・ガレル出演:クロティルド•クロー、スタニスラス•メラール、レナ•ポーガム2015年/73分/モノクロ
『パリ、恋人たちの影』L’ombre des femmes