『天使にショパンの歌声を』 La passion d’Augustine舞台は、カナダ・ケベック州。どっと押し寄せる近代化の波は、学校教育にも広がった。多くの公立学校が設立され、その反動で、とある修道院が運営する音楽学校は閉鎖に追い込まれそうになる。総長は、学校の指針を「音楽」から「良妻賢母」になるための教育へと転換するよう修道女のオーギュスティーヌに促す。しかし彼女は、その圧力に毅然と立ち向かう。「私は、生徒たちにいつも言っているんです。高い理想を持てと」。ショパンの「別れの曲」、リストの「愛の夢 第3番」、バッハの「平均律クラヴィーア曲集 第1巻~第2曲 ハ短調」・・・・・・美しい調べとケベックの雪景色が、疲れた心に優しい。「わが主は耳が遠いのです、だから自力で努力する必要があります」。オーギュスティーヌが電話口で放つこの言葉が印象的。信仰とは、神にすがることではなく、自立することなのだということを教えてくれる。(Mika Tanaka)監督:レア・プール出演:セリーヌ・ボニアー、ライサンダー・メナード、ディアーヌ・ラヴァリー、バレリー・ブレイズ2015年/カナダ/フランス語/103分/PG12
『天使にショパンの歌声を』 La passion d’Augustine