金曜日 2004年5月7日
ジャック・ラサール演出『ガリレイの生涯』(B・ブレヒト作) 松原道剛 1992年にヴァチカンは、ガリレオ・ガリレイの異端審判に過ちがあったことを350年を経て認め、二千年紀のこの春には、この一千年間を振りかえるなかで、あらためてこのことに触れていた。かといって、もちろん、ブレヒトの『ガリレイの生涯』の主人公を実在の人物と重ね合わせることにどれほどの意味があるのか、疑ってみる必要がある。 ガンベッタの広場からひとつ入った広くない通りに面している、このコリーヌ国立劇場の大きいほうのホールは奥行きと比べるとやけに間口が広い、この地でもとかく批判される横長のプロポーションのステージであり、そこから対面式の急なスロープの客席が広がっている。左右に二段あるバルコニーは、客席への出入口などになっていて椅子は並べられていない。 その間口の広い、そしてそれ自体が奥行きのあるプロセニアムにおろされた紗幕に、ワープロのように台本にもある各場の要約が光で打ち込まれていくなかで、幕があがって開演である。「パドヴァの数学教師であるガリレオ・ガリレイは、コペルニクスの宇宙体系についての新学説を立証しようとす