フラン•パルレ Franc-Parler
La francophonie au Japon

Rédaction du journal:
Rédacteur en chef: Éric Priou
Rédaction: Karen, Shigehiro Kobayashi, Utako Kurihara, Rika S., Hikaru Taga

La francophonie au Japon
Franc-Parlerフランス語圏情報ウェブマガジン フラン・パルレ
〒169−0075新宿区高田馬場1−31−8−428
1-31-8-428 Takadanobaba, Shinjuku-ku, 169-0075 Tokyo

Tel/Fax: 03-5272-3467
E-mail:contact@franc-parler.jp
http://franc-parler.jp

東京で上映されるフランス語圏映画 2017年10月発信
投稿日 2017年9月29日
最後に更新されたのは 2017年10月20日
logo imprimer
Enregistrer au format PDF

Human Trust Cinéma Yurakucho 03-6259-8608
www.ttcg.jp/human_yurakucho
Shinjuku Musashinokan 03-3354-5670
http://shinjuku.musashino-k.jp/

10月7日(土)より

<span class="caps">JPEG</span> - 74.4 kb
© (2016) Les Productions du Trésor - Studiocanal - France 3 Cinéma - Lunanime - Pauline’s Angel - My Unity Production

『愛を綴る女』 Mal de pierres

心に情熱を秘め、愛し愛されることを求める1人の女性。そんな魅力溢れた女性が、この映画の中では、親に認めてもらえず、周囲に馴染めず、孤立している。1950年代の南仏・プロヴァンス地方の田舎町・バルジュモンで暮らすガブリエル(マリオン・コティヤール)は、近所の人たちから「変わり者」と見られ、親から「病気でヒステリック」と責められていた。小説『嵐が丘』にどっぷり浸かり、「愛を与えて、ダメなら死なせて」と、神の前で祈る日々を送るガブリエル。彼女が両親に押し込まれた箱から解放されるチャンスは、皮肉なことに両親が決めた「結婚」によって訪れる。夫となったのは、彼女の家で雇われ、ラヴェンダー摘みに従事するジョゼ(アレックス・ブレンデミュール)だ。スペイン・カタルーニャ出身のジョゼは、フランコ独裁政権下でレジスタンスに身を投じた過去を持ち、戦争で傷ついた心はまだ癒えていなかった。結婚によってガブリエルは「自由」を、ジョゼは「安定」を手に入れる。ガブリエルは、結婚してからも理想の愛を探し求めることをやめず、1人のインドシナ戦争の帰還兵と恋に落ちるが・・・・・・「実際の世の中にも、自由を奪われたり、なりたい自分になることを許されない人たちがいる」と語る、マリオン・コティヤール。彼女はそんな人たちにかけられた呪縛を、一途な演技で解き放った。ガブリエルの激しさとは対極にある、ジョゼの静かで誠実な存在感も忘れがたい。ガブリエルに否定的な感情を抱く彼女の母親にさりげなく釘をさし、妻となったガブリエルをかばうシーンが印象的だ。はっとする意外な結末は、空よりも広く海よりも深い愛が、実は自分のすぐ近くにあることを教えてくれる。青い鳥のように。(Mika Tanaka)

監督:ニコール・ガルシア
出演:マリオン・コティヤール、ルイ・ガレル、アレックス・ブレンデミュール
2016年/120分/R15+

http://aiotsuzuru.com/

Shinjuku Musashinokan 03-3354-5670
http://shinjuku.musashino-k.jp/

10月14日(土)より

『静かなふたり』 Drôles d’oiseaux
監督:エリーズ・ジラール
出演:ロリータ・シャマ、ジャン・ソレル、ヴィルジニー・ルドワイヤン、パスカル・セルボ

2017年/70分

http://mermaidfilms.co.jp/shizukana...

Bunkamura Le Cinéma 03-3477-9264
www.bunkamura.co.jp/cinema/

10月14日(土)より

<span class="caps">JPEG</span> - 31.2 kb
© 2014 EG Film Productions / Saga Film
© Julian Lennon 2014. All rights reserved.

『ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ』 The price of desire
監督:メアリー・マクガキアン
出演:オーラ・ブラディ、ヴァンサン・ペレーズ、ドミニク・ピノン、アラニス・モリセット
2015年/ベルギー・アイルランド/フランス語・英語/108分

http://www.transformer.co.jp/m/leco...

Ciné Switch Ginza 03-3561-0707
www.cineswitch.com/

9月30日(土)より

<span class="caps">JPEG</span> - 137.1 kb
© Nord-Ouest

『エタニティ 永遠の花たちへ』 Éternité

結婚、出産、病気、事故、徴兵—— 愛する家族の生と死をナレーションが語り、音楽と映像が淡々と流れていく。舞台は19世紀末のフランス。ヴァランティーヌ(オドレイ・トトゥ)は、1度決まった婚約を解消する。しかし、愛は彼女の想像を超えたところにあり、彼女の想像しなかった運命が回り始める……「女性がほとんど権力を持たなかった時代に、パワフルで自由な母親たちを描いた」という、メラニー・ロランの言葉が映画の本質を端的に物語る。(メラニー・ロランは、ヴァランティーヌの義理の娘・マチルドを演じた)。子供を慈しみ、失うことを悲しむ母親たちの姿は、時代を超えて私たちの心を揺さぶる。12歳のとき、故郷の戦争から逃れるため、両親と弟と共にベトナムからフランスへと渡ったトラン・アン・ユン監督。たった4人、異国の地で手を取り合って生きていかなければならなかったからこそ、彼はこんな「大家族」の尊さを撮りたかったのだろう。そして、大家族の根っこにある「男女の愛」の大切さも。男女が共に生きることを誓い、お互いの愛を育む姿。それを、色とりどりの花々と彼の大好きなクラシック曲で演出し、トラン・アン・ユン版「夫婦の愛の讃歌」を完成させた。「自転車に乗らない?」と誘う、少女時代のマチルドの姿が何とも愛おしい。(Mika Tanaka)

監督:トラン・アン・ユン
出演:オドレイ・トトゥ、メラニー・ロラン、ベレニエ・ベジョ、ジェレミー・レニエ、ピエール・ドゥラドンシャン
2016年/フランス・ベルギー/115分

https://eternity-movie.jp

10月21日(土)より

<span class="caps">JPEG</span> - 59.6 kb
© Mandarin Production - FOZ - X FILME Creative Pool GmbH - Mars Films - France 2 Cinéma - Films Distribution

『婚約者の友人』 Frantz

1919年のドイツ。若い女性がショーウィンドーのドレスを悲しそうにみつめ、足早に墓地へと向かう。第一次世界大戦で戦死した婚約者の墓参りのためだ。すると、そこには既に花束がたむけられていた。訪れたのはフランス人だったと、墓守が告げる。婚約者・フランツ(アントン・ファン・ルッケ)を失ったアンナは、1人息子を失ったフランツの両親と悲しみを共有しながら、ひとつ屋根の下に暮らしていた。街中が喪に服すさまが、静かなモノクロの映像で描かれる。フランツの墓を訪れたアドリアン(ピエール・ニネ)は、フランツの父親(エルンスト・ストッツナー)が営む医院を訪れるが、アドリアンが敵国のフランス人であることを理由に話も聞かずに追い出してしまう。彼はフランツの友人ではないかと説得するアンナによって、フランツの両親はアドリアンを家に迎え入れることを決心。アドリアンがフランツとの思い出を語り始めると、映像はモノクロからカラーへと変わり、生命の輝きに溢れ出す。ルーブル美術館をめぐる2人、バイオリンを奏でるフランツ。アドリアンにフランツの面影を重ね、アンナと両親は心癒されていくが……原案となったのは、エルンスト・ルビッチ監督の映画『私の殺した男』(1932年)。フランソワ・オゾン版では、原案の結末のさらに先がある。その先とは、ヒロインのアンナがフランスへ渡ったときの行動だ。アドリアンを探し、ルーブル美術館でマネの絵画に見入る。アドリアンが「フランツのお気に入りだった」と語った作品だ。映画のラストでは、アンナの凛とした表情がカラーで映し出される。1914年から1918年までの4年間、第一次世界大戦は、多くの命を奪い、残された人々は愛と生きる喜びを奪われた。そんな中、アンナが生きる希望を取り戻し、婚約者の両親をいたわることができたのは、「嘘」があったから。真実やわかりやすさが求められる時代だからこそ、「嘘についての映画を作りたかった」と語るフランソワ・オゾン監督。嘘といえば、原題の”FRANTZ”も嘘の綴り。ドイツ語表記では”FRANZ”だが、フランス人がよく間違える”FRANTZ”という綴りをそのままタイトルにしたところが、オゾン監督らしい。嘘をつく必要がない、幸せで平和な世の中がいつか訪れますように。(Mika Tanaka)

監督:フランソワ・オゾン
出演:ピエール・ニネ、パウラ・ベーア
2016年/フランス・ドイツ/フランス語・ドイツ語/113分/モノクロ・カラー

www.frantz-movie.com

Tokyo-to Shashin Bijutsukan Hall
https://topmuseum.jp/

10月28日(土)より
※毎週月曜日、11/11(水)、11/10(金)休映

<span class="caps">JPEG</span> - 144.1 kb
© 2017 - Sorties d’usine productions - Institut Lumiere, Lyon

『 リュミエール!』Lumière!
監督・脚本・編集・プロデューサー・ナレーション:ティエリー・フレモー
プロデューサー:ベルトラン・タヴェルニエ
音楽:カミーユ・サン=サーンス
日本語版ナレーション:立川志らく
2016年/90分/モノクロ

http://gaga.ne.jp/lumiere!/

Human Trust Cinéma Yurakucho 03-6259-8608
www.ttcg.jp/human_yurakucho
Human Trust Cinéma Shibuya 03-5468-5551
www.ttcg.jp/human_shibuya

10月28日(土)より

<span class="caps">JPEG</span> - 71.1 kb
©2016 Everybody on Deck -TF1 Droits Audiovisuels -UCG Images -France 2

『ポリーナ、私を踊る』Polina, danser sa vie

監督:ヴァレリー・ミュラー、アンジュラン・プレルジョカージュ
出演:アナスタシア・シェフツォワ、ニールス・シュナイダー、ジェレミー・ベランガール、アレクセイ・グシュコフ、ジュリエット・ビノシュ
2016年/フランス語・ロシア語/108分/PG12

https://polina-movie.jp

Kadokawa Cinéma Shinjuku 03-5361-7878
www.kadokawa-cinema.jp

10月27日(金)まで

<span class="caps">JPEG</span> - 98.4 kb
© 2016 – G FILMSPATHEORANGE STUDIOFRANCE 2 CINEMAUMEDIAALTER FILMS

『セザンヌと過ごした時間』Cézanne et moi
ポール・セザンヌ(ギヨーム・ガリエンヌ)。そしてエミール・ゾラ(ギヨーム・カネ)。二人の出会いは少年時代にさかのぼる。中学校でいじめにあうゾラをセザンヌが助けたことが始まりだった。銀行家の息子として裕福な生活を送るセザンヌ。貧しい母子家庭のゾラ。そんな離れた境遇を超え、お互いの感性に惹かれ合う二人。エクス=アン=プロヴァンスのさんさんと降り注ぐ太陽のもとで、二人は友情を育んでいく。作家として早々と成功をおさめるゾラに対し、セザンヌはサロンに出品するたびに落選を続ける。父親からの仕送りを断たれたセザンヌを、経済的に支えることで友情を示すゾラ。けんかっぱやく荒れた生活をしながらも、セザンヌは絵筆を手放すことはなかった。そしてまた、ゾラの人生に助言を与える誠実さも失わなかった・・・・・・ギヨーム・ガリエンヌに声をかけたダニエル・トンプソン監督は、当初、彼にエミール・ゾラの役を考えていたという。しかし、ガリエンヌが自ら希望したことからセザンヌ役に変更。生命力と躍動感に溢れるセザンヌを演じたガリエンヌの素晴らしいこと!この映画を観た後、セザンヌの絵画を観に行くことができたら、どんなに豊かな時間を過ごせるだろうか。映画の原題” Cézanne et moi” (セザンヌと私)にあるように、この映画に一貫して流れるのはゾラの視点で、脚本はまるでゾラの小説のよう。セザンヌよりも先に成功し、セザンヌよりも先に死を迎えたゾラ。映画は彼の謎の死に直接触れていないが、映画の後の二人を想像させるほどの奥行きを感じさせてくれる。 (Mika Tanaka)
監督:ダニエル・トンプソン
出演:ギョーム・カネ、ギョーム・ガリエンヌ、アリス・ポル、デボラ・フランソワ、セビーヌ・アゼマ
2016年/114分

www.cetera.co.jp/cezanne

Theater Image Forum 03-5766-0114
http://www.imageforum.co.jp

10月13日(金)まで

<span class="caps">JPEG</span> - 93.3 kb
© Palmeraie et désert – France 2 cinéma

『旅する写真家 レイモン・ドゥパルドンの愛したフランス』 Journal de France

砂漠をゆったりと歩く美女の官能と、母親の死別という試練をみつめるパリジェンヌの葛藤。精神病院で、裁判所で、自分の存在を訴え続ける市民たち・・・・・・「ドキュメンタリー映画」という枠にはめてしまうのがもったいないほど、流れる映像は詩的で美しくて、目を離すことができない。「倉庫に眠る膨大なアウトテイクをつないで、一本の映画にしたい」というドゥパルドンの思いを形にしようと、共に旅する伴侶、クローディーヌ・ヌーガレが奔走し完成されたのがこの作品だ。懐かしい趣きの残る街角や小売店を撮りながら旅をするドゥパルドンの「(個人的な)今」を語る映像と、紛争地域や政治の内幕といった若きドゥパルドンが撮影した「(歴史的な)過去」を語る映像が交互に流れていく。絵はがきに使いたくなるような美しい映像があるかと思えば、後に独裁者となることを誰も知らなかった頃の政治家の映像がある。コラージュを動画にしたような趣きの中で一貫して感じ取れるのが、ドゥパルドンが注ぐ「被写体への愛情」だ。ドゥパルドンは、「カメラで聞き、見つめる」という方法で、大きな歴史の流れの中で必死にもがいて生きる小さな命に光を当て続けた。何の事件もないさりげない日常なのに、そこには愛とドラマの余韻がただよう。だから、この映画に登場する市井の人たちは、さりげなく登場するアラン・ドロンやネルソン・マンデラら、著名人たちと同じだけの存在感を私たちの心に残していく。その中には、若かりし頃の、クローディーヌ・ヌーガレの映像も。ひとめぼれだったんだろうな。彼女のことが愛しくてたまらないという、ドゥパルドンの思いが伝わってくる。芸術と報道。そのどちらも極めたドゥパルドンだが、根底にあるのは「愛」というひとつの信念であるような気がする。(Mika Tanaka)

監督:レイモン・ドゥパルドン、クローディーヌ・ヌーガレ
出演:レイモン・ドゥパルドン、クローディーヌ・ヌーガレ、アラン・ドロン、ジャン=リュック・ゴダール、エリック・ロメール、ジャン・ルーシュ

2012年/100分

https://tabisuru-shashinka.com

Kadokawa Cinéma Yurakucho 03-6268-0015
Kadokawa Cinéma Shinjuku 03-5361-7878
www.kadokawa-cinema.jp
Shibuya Ciné Palais 03-3461-3534
www.mitsuba-inc.co.jp/scp

上映中(渋谷シネパレス10月13日まで、角川シネマ新宿10月14日より)

<span class="caps">JPEG</span> - 844.6 kb
Photo: Julien Panié

『あしたは最高のはじまり』 Demain tout commence

かつて関係を持った女性が自分を訪ねてくる。彼は言う。「やあ元気だった?かわいい赤ちゃんだね」。すると、女性は、「あなたの子よ」と行って赤子を彼の手に預け、去っていく……
その先どうなるか、あなたはどう想像するだろう?  陳腐な展開になりがちな題材、でも俳優たちの生き生きとした演技は決して私たちを裏切らない。いきなり父親にさせられる主人公サミュエル(オマール・シー)の底抜けの明るさと、愛情いっぱいに育った娘のグロリア(グロリア・コルストン)の自由奔放さがたまらなく気持ちいい。オマール・シー出演の出世作『最強のふたり』もそうだったけれど、映画には、影の部分があまり描かれていない。といっても、「人生はいいもんだからがんばろうぜ」的な、脳天気な元気映画でもない。影の部分を描かなくても深みを感じるのは、オマール・シーの演技が、人生の影の部分を塗りつぶしてしまうほど明るい光に満ちているからじゃないかな、きっと。そして、異国の地でシングル・ファーザーとなったサミュエルを支えるベルニー(アントワーヌ・ベルトラン)の存在感。彼がLGBTであるという設定が、嬉しい。アントワーヌ・ベルトランはケベック州出身の、カナダの人気俳優。舞台版『最強のふたり』で、オマール・シーが演じたドリス役を演じたのが縁で、今回の出演に至った。ポジティブ思考だけじゃ、世の中うまくまわらない。確かにそうだ。それでも、彼らのバイタリティ溢れる演技を見ていると、シンプルな前向き人生もいいかなと思い始める自分がいる。 (Mika Tanaka)

監督:ユーゴ・ジェラン
出演:オマール・シー、クレマンス・ポエジー、アントワーヌ・ベルトラン、グロリア・コルストン

2016年/117分

https://ashita-saikou.jp/

Human Trust Cinéma Shibuya 03-5468-5551
www.ttcg.jp/human_shibuya

10月20日(土)まで

<span class="caps">JPEG</span> - 104.1 kb
© Les Films Pelléas, Les Films du Bélier, Films Distribution / ReallyLikeFilms

『あさがくるまえに』Réparer les vivants

フランス・ノルマンディー地方の港町ル・アーブル。夜が明ける前、3人の青年が車で海へ向かう。波乗りに挑み、心地よい疲れとともに帰路に着くが、そのとき、大きな運命の波が押し寄せる・・・・・・脳死とは何か? 脳が死ぬということは、すなわち「死」を意味するのか? 残された者はどのように心を整理していくのか? 息子を失って泣き崩れる母親がいるその向こう側には、死を待つ母親を案じる息子がいる。「臓器移植」は、人の命を救う一方で、遺族が感傷に浸る時間を待ってはくれない。家族に提供を打診する臓器移植コーディネーターの存在が、冷酷で非情にうつっても不思議はない。しかし、コーディネーター・トマ役のタハール・ラヒムの演技は、人間味にあふれ、あたたかい。「彼らが直面する感情的な負担から、どうして彼らは自分を守ることができるのか」を知ろうと、撮影前に、ラヒムは実際に移植コーディネーターを手がけるレジス・ケレ氏を何度も訪ねたという。その結果、ラヒムは、ドナーを静かに導く天使のようなトマを演じ切った。「心臓」が主人公となる群像劇を一編の映像詩のように紡いだ、カテル・キレヴェレ監督の感性はどこまでもしなやか。「この作品では、社会の多様性、人と人との連帯を表現したいと思いました」と語ったキレヴェレ監督。出演者を決めるときも、多様性を念頭に置いた。「それが映画に生き生きとした力をもたらす」と彼女が信じたとおり、生命力にあふれた1本の映画がこうして完成した。(Mika Tanaka)

監督:カテル・キレヴェレ
出演:タハール・ラヒム、エマニュエル・セニエ、アンヌ・ドルヴァル

2016年/フランス・ベルギー/104分/PG12

https://www.reallylikefilms.com/asakuru

Shinjuku Piccadilly 03-5367-1144
www.smt-cinema.com/site/shinjuku/
Ciné Switch Ginza 03-3561-0707
www.cineswitch.com/

上映中(シネスイッチ銀座は10月20日まで)

<span class="caps">JPEG</span> - 66.7 kb
© 2016 LOIN DERRIÈRE L’OURALFRANCE 3 CINÉMARHÔNE-ALPES CINÉMA

『ジュリーと恋と靴工場』Sur quel pied danser

若者の就職難が日本と同じか、あるいはそれ以上に深刻なフランス。20代のジュリー(ポーリーヌ・エチエンヌ)も、その渦中にいた。彼女が正社員の仕事を求めてたどり着いたのは、フランスで長い歴史を誇る高級靴メーカー、ジャック・クチュールの工場だった。強い信念を持たず、安定した生活に憧れる若者——そんなタイプに押し込められがちなジュリーだが、老舗メーカーの人事の目は確かだ。採用担当者は、彼女の素質に賭けることに。ジュリーは靴工場の倉庫係の助手として試用期間の初日を迎える。原題の”Sur quel pied danser” は「どの靴(足)で踊ればいい?」の意味。自分の本質というものに、自分自身は気づきにくい。ジュリーもそうだ。生きていくこと、稼ぐことに必死で、どんな靴が自分らしくどんな靴で人生を歩めばよいのかわからないでいる。しかし、工場の先輩たちと出会い、彼女たちの生きざまを学びながら、ある一足の靴に出会う。ジャック・クチュールの過去の作品の1つ”L’insoumise”、(不服従)だ。映画の中で「戦う女」と呼ばれる、真っ赤なエナメルでできたダービー型の靴は、エレガンスさと動きやすさの両方を兼ね備えたもの。”L’insoumise”を履いて新しい人生の一歩を踏み出すジュリーを、日本の若者たちに見てほしいと思う。頑張って頑張って、それでもうまくいかなくてくじけそうなとき、1本の映画があなたに光をともしてくれますよう。(Mika Tanaka)

監督:ポール・カロリ、コスティア・テスチュ
出演:ポーリーヌ・エチエンヌ、オリヴィエ・シャントロー、フランソワ・モレル、ロイック・コルベリー

2016年/84分

https://julie-kutsu.com/

Human Trust Cinéma Yurakucho 03-6259-8608
www.ttcg.jp
Shinjuku Wald 9 03-5369-4955
http://kinezo.jp/pc/wald9

上映中

『プラネタリュウム』 Planétarium

監督:レベッカ・ズロトヴスキ
出演:ナタリー・ポートマン、リリー=ローズ・デップ、エマニュエル・サランジェ、アミラ・カサール

フランス・ベルギー/108分/PG12

https://planetarium-movie.com/

Yebisu Garden Cinéma
http://www.unitedcinemas.jp/yebisu/...

10月20日(金)まで

『軽蔑』デジタルリマスター版 Le mépris

監督:ジャン=リュック・ゴダール
出演:ブリジット・バルドー、ミシェル・ピコリ、ジャック・パランス、フリッツ・ラング

1963年/フランス・イタリア/フランス語・英語・ドイツ語・イタリア語/102分

Euro Space 03-3461-0211
www.eurospace.co.jp

上映中

<span class="caps">JPEG</span> - 51.7 kb
© LFP‐Les Films Pelléas / Savage Film / Frakas Productions / France 2 cinéma / Jouror Productions

『汚れたダイヤモンド』 Diamant noir

監督:アルチュール・アラリ
出演:ニールス・シュネデール、アウグスト・ディール、ハンス・ペーター・クロース

2016年/フランス・ベルギー/フランス語・ドイツ語・英語/115分

https://www.diamantnoir-jp.com/

Shibuya Ciné Palace 03-3461-3534
www.mitsuba-inc.co.jp/scp

10月6日(木)まで

<span class="caps">JPEG</span> - 67.5 kb
© 2015 SBS PRODUCTIONSSBS FILMSTWENTY TWENTY

『エル』 Elle
ミシェル(イザベル・ユペール)は、新鋭ゲーム会社の社長として君臨、ひとり息子も成人し裕福なひとり暮らしを謳歌していた。ある日、自宅に覆面の男が侵入し、レイプされてしまう。警察への届け出をすすめる、別れた夫や友人たち。しかし彼女はそれを拒み、自らの力で身を守る術を探し始める。自分に恨みを持つ人物と言えば……同僚、部下、そして自分の父親が起こした過去のおぞましい事件の被害者たち。毅然とふるまうミシェルだが、心の中には止まった時計を持つ小さな子供がすすり泣いているのが見える。東京・有楽町朝日ホールの『フランス映画祭2017』で本作が日本で特別上映された際、来日したイザベル・ユペールは「いちばん印象に残っているシーンは?」という会場からの質問にこうこたえた。「小鳥が死にそうなシーンです」と。殺人や暴力、裏切りが大胆に描かれるこの映画の中で、何の違和感のなく登場する何気ないシーン。小さな命を救おうと尽くすミシェルを知ると、人間の心がいかに複雑でいかに繊細かが伝わってくる。原作は『ベティ・ブルー/愛と激情の日々』で知られるフィリップ・ディジャン。当初、ポール・ヴァーホーヴェン監督は、アメリカでの製作を考えていたが、どの女優も主人公ミシェルを敬遠、キャスティングは難航していた。そんな中、イザベル・ユペールから「主人公を演じたい」という申し出があり、この作品は原作者のいるフランスへと里帰りすることになった。一歩踏み外すと血の気の多いサスペンス映画とくくられてしまいがちなストーリー。それが、何層にも積み重ねられた人間ドラマとして完成したところにフランスの土の匂いを感じる。そして、ヴァーホーヴェン監督が第二次世界大戦後のオランダで育ったということも、書き加えておきたい。(Mika Tanaka)

監督:ポール•ヴァーホーヴェン
出演:イザベル・ユペール、ロラン・ラフィット、アンヌ・コンシニ、シャルル•ベルリング、ヴィルジニー•エフィラ
2016年/131分/PG12

http://gaga.ne.jp/elle/

Shimotakaido Cinéma 03-3328-1008
www.shimotakaidocinema.com

10月14日(土)〜20日(金)10:00
『パリ・オペラ座 夢を継ぐ者たち』 Backstage
監督:マレーネ・イヨネスコ
出演:マチュー・ガニオ、アニエス・ルテステュ、ウリヤーナ・ロパートキナ、オニール八
菜、バンジャマン・ペッシュ
2016年/86分

http://backstage-movie.jp/

10月14日(土)〜20日(金)11:50
10月21日(土)〜27日(金)10:00

<span class="caps">JPEG</span> - 76.5 kb
© 2015 MANDARIN CINEMA AEROPLAN FILM MARS FILMS FRANCE 2 CINÉMA SCOPE PICTURES

『夜明けの祈り』 Les innocentes
1945年12月、ソ連侵攻下のポーランド。このときのソ連軍は、ポーランドにとって「英雄」だった。ドイツからポーランドを解放したからだ。その一方、英雄・ソ連軍は多くのポーランドの女性たちの尊厳を奪っていた。その女性たちの中には、神に操を誓った修道女たちも含まれる。主人公のマチルドを演じたルー・ドゥ・ラージュさんは、映画をこう語る。「修道女たちは、ソ連兵に2回、犯されます」と。1つは、彼女たちの体。そしてもう1つは、”誓い”だ。「彼女たちは、神への誓いを犯されてしまうのです」・・・・・・この映画には、マチルドのほかにもう一人の主役がいる。それが、シスター・マリアだ。「信仰の始まりは、子供のようなものです。父親が手を引いてくれる。しかしいつか、その手が離され、暗闇を迷子になる。十字架は喜びの背後に必ずあります」。彼女が口を開くと、ポーランドなまりのフランス語は宝石のような輝きを放ち、若い医師マチルドを静かに導く。「信仰とは、24時間の疑念と1秒の希望です」。ルーさんが、映画の中でもっとも印象に残る言葉として挙げたのが、シスター・マリアのこの台詞だった。『夜明けの祈り』は、フランス映画祭2017で上映された12作品の中で、観客が選ぶベスト作品『エールフランス観客賞』に輝いた。愛もなく宿ったはずの子でありながら、その子たちの誕生シーンはエネルギッシュで希望に満ちてる。

<span class="caps">JPEG</span> - 65.6 kb
Photo: Mika Tanaka

自分の背負ったルーツをはじき飛ばすかのような、その大きな泣き声のなんと尊いこと!子供たちの命とシスターたちの尊厳の2つを守ろうと、最後まであきらめずに行動したマチルドの勇気が胸を打つ。マチルド役のモデルとなったのは、レジスタンス運動にも身を投じた女性医師・マドレーヌ・ポーリアック。この映画がまったくのフィクションではないことを、忘れたくはない。 (Mika Tanaka)

監督:アンヌ・フォンテーヌ
出演:ルー・ドゥ・ラージュ、アガタ・ブゼク、アガタ・クレシャ、ヴァンサン・マケーニュ
2016年/フランス・ポーランド/フランス語・ポーランド語・ロシア語/115分

www.yoake-inori.com

10月28日(土)〜11月3日(金)17:45

<span class="caps">JPEG</span> - 66.9 kb
© 2016/Day For Productions/ARTE France/INA © Atelier Robert Doisneau

『パリが愛した写真家 ロベール•ドアノー<永遠の3秒>』Robert Doisneau le révolté du merveilleux

何て輝いているんだろう!
ドアノーの信念と生きざま、そして彼が生きてきた「時代」から溢れるエネルギー。そのすべてが映画の中で輝いて見える。1912年に生まれ、1994年に他界したドアノーは文字通り、「20世紀」をかけぬけた写真家だ。自由の束縛を何より嫌った「反戦の人」は、パリ解放の希望に溢れた人々の写真をカメラにおさめる。そして、自由を謳歌する人々の写真を数多く残していく。まだ「広告代理店」が存在しなかった頃、ドアノーが撮った家族団らんの写真がさまざまな広告に採用された。被写体だった子供たちが、広告に使われた50年も前の写真をなつかしそうに見て笑うシーン。その中で、ひとりが「カトリック系の雑誌からも、コミュニスト系の雑誌からもまったく同じ写真の依頼が入ったのよ!」と笑う。なんて、自由でおおらかな時代だったんだろう、と思う。美しい数々の写真の合間に現れる、ロベール・ドアノー本人の穏やかな表情と、お茶目ないくつかのコメントが微笑ましい。
日本での上映に向けて、本作の監督であり、孫娘としてロベール・ドアノーと多くの時間を過

<span class="caps">JPEG</span> - 64.2 kb
© Mika Tanaka

ごしたクレモンティーヌ・ドルディルさんが来日。東京都写真美術館ホールでの上映初日、写真家のハービー・山口さん、同じく写真かの平間至さんを交えてのトークショーが行われた。そこで語られたのは、「孤独の人」というドアノーの一面だった。7歳という甘え盛りの年で母親と死に別れ、彼はカメラを持つことで初めて世界と一体化したという。「祖父は、消防士がヘルメットをかぶるように、カメラを手にしました」と語るドルディルさん。不幸せだったからこそ、「幸せを撮る写真家」となりえたのだと。「祖父は、自分のためでなく、人々への贈り物として写真を撮り続けました。私が祖父を愛したように、みなさんも祖父の写真を愛してほしいと思います」。そんな孫娘の愛に満ちたこの映画は、私たちの心をほんのりとした桜色に染めてくれる。(文 Mika Tanaka)

監督:クレモンティーヌ•ドルディル
出演:ロベール•ドアノー、ダニエル•ペナック、サビーヌ•アゼマ、ジャン=クロード•カリエール、堀江敏幸
2016年/80分

www.doisneau-movie.com

Waseda Shochiku 03-3200-8968
http://www.wasedashochiku.co.jp/

9月30日(土)〜10月6日(金)

早稲田松竹クラシックス vol.130 クロード・ルルーシュ監督特集
※二本立て
※連日、最終回の『男と女』本編上映前にルルーシュ監督の幻の短編映画『ランデヴー』の上映あり。(上映時間:約9分)

『男と女』製作50周年記念 デジタル・リマスター版 Un homme et une femme
監督:クロード・ルルーシュ
出演:アヌーク・エーメ、ジャン=ルイ・トランティニャン、ピエール・バルー
1966年/104分/DCP

『愛と哀しみのボレロ』 Les uns et les autres
監督:クロード・ルルーシュ
出演:ジョルジュ・ドン、ダニエル・オルブリフスキ、ロベール・オッセン
1981年/フランス語・英語・ドイツ語・ロシア語/185分/DCP




チップお問い合わせ チップ管理ページ チップ

RSS

1998-2017 © フラン•パルレ Franc-Parler - All right reserved/Tous droits réservés
SPIP で制作されたサイト
使用したテンプレートは ESCAL-V3
バージョン: 3.87.39