フラン•パルレ Franc-Parler
La francophonie au Japon

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イリス・ブドロ、BD(バンド・デシネ)作家
投稿日 2017年7月31日
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ケベック・バンド・デシネ(漫画)の大躍進
 
一枚の絵の方が、だらだらとした長い演説よりも効果的だ。そこで、ケベック州の本質をより深く理解するために、地元の、しかもアンチミスト的バンド・デシネを耽読してみようではありませんか? バンド・デシネ作家、イリスさんのご案内で、貴方がたは、たちまちのうちに、ケベック方言 や、より標準語に近いフランス語を使って、受けごたえ出来るようになりますよ。
 
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© Franc-Parler
フラン・パルレ:ちょっとプライベートなことを色々お聞きしてもよろしいですか? お仕事は、どこで、また、どんな風になさっていらっしゃるのですか?
イリス・ブドロ:家で、お台所で仕事をしています。だって、私の住んでいるモントリオールのアパートは、とても狭いのですもの。一番大きなお部屋が、お台所なので、そこで仕事をしているという訳なのです。そうなると、講演会で、たびたび言っているように、ちょっと問題が生じるのです。それは、しょっちゅう何か食べることになるからです。インスピレーションが湧かなくなると、私の後ろには、冷蔵庫がありますからね。もう、ひっきりなしに、モグモグと口を動かしていることになります。
 
フラン・パルレ:もし、バンド・デシネにシミがあったら、それは、意図的?或はもしかして…
イリス・ブドロ:意図的ということはないでしょう。でも、そうですね、ビスケットの小さなシミとか、コーヒーの丸い小さな汚点とか。なにしろ、家で仕事をするのですから。
 
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フラン・パルレ:貴女は、こんな風に、突如彗星の如く、バンド・デシネ作家になろうと決めたのですか?
イリス・ブドロ:ずっと前からです。小さい時からです。でも、子供の時って、時々いいますよね。「獣医さんになりたい、消防士になりたい、宇宙飛行士になりたい」と。でも、それって、必ずしもそのようになりません。わたしの場合、少々それに似ていたかも......だから、私にとって、それは単なる夢であって、少し大きくなってからは、実現可能な夢とも思っていませんでした。それから、CEGEPを終えた時、フランスでは、CEGEPは何に相当するのかしら.....カナダでは、大学入学準備課程のことで、大学に先行する2年間を指します、それを終了した時、アニメーションをやってみたいなあ、アニメーションのイラストをやってみたいなあと考えたのです。そこで、私の周辺で、アニメーション映画を教えているところはないか探しました。でも、英語での授業だけで、他にはありませんでした。それから、こう考えたのです。「ほら、バンド・デシネコースのBACがあるじゃないの」と。ケベック州でのBACとは、大学の最初の三年間にあたります。バンド・デシネコースのBACには、アニメーションの講義もあります。よし、それをとろう、それで十分だ、と思ったのです。結局、そのバンド・デシネコースのBACを終了しましたが、アニメーションは選ばず、バンド・デシネをやることにしたのです。
 
フラン・パルレ:それは、アニメーションを先延ばしにしたということではないのですか。
イリス・ブドロ:アニメーション映画とは何か、アニメーション映画を創作するとは何かを少々詳しく知ったあとで、もう私には興味が失せてしまったのです。バンド・デシネ、それは、本当に長いですが、アニメーションはもっと長いからです。
 
フラン・パルレ:私は、フランス人ですから、バンド・デシネの流派については、フランス・ベルギー流(スタイル)に関して、多少よくわかっているのですが。そこで、ケベック・バンド・デシネの現状は、どうなっているのですか?
イリス・ブドロ:貴方のご質問は、バンド・デシネの現状についてですか?それともバンド・デシネのスタイルについてですか? 
 
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フラン・パルレ:スタイル、内容といったものです……
イリス・ブドロ:そのことについてでしたら、……私が、ここでする講演会の主要テーマは、とりわけバンド・デシネのスタイルについてですから、そのことについて、何時間でも話すことが出来ると思います。ケベックのバンド・デシネについては、言いたいことが山ほどあります。ケベックでバンド・デシネ専門の出版社が現れたのは、それほど昔の事ではありません。2000年当初位からでしょうか。それ以前は、バンド・デシネをちょっとだけ扱う出版社はありましたが、バンド・デシネだけを出版することはありませんでした。でも、今では、バンド・デシネだけを出版する出版社がいくつか出てきました。ここ約10年間に、そのような出版社が、ゼロから10社位になりました。ですから、ケベックのバンド・デシネ業界も、本当に、発展しつつあり、バンド・デシネ作家もますます増えています。バンド・デシネに興味を抱く人達も、年々増加しています。だから、私達にとって、正に上向きで、とても嬉しいです。次に、ケベック・バンド・デシネのテーマ或はジャンルについてですが、市場は極く小さいので、バンド・デシネ作家達はそれでは食べていけません。どちらかというと、副業としてやっています。出版社は、彼等のビジョンを押し付けるわけにゆかず、作家たちに、大衆に気に入るようにとか、もっと商売を考えて、売れそうなものを書けと、プレッシャーをかけたりはしません。ですから、バンド・デシネの傾向は、かなりアンチミスト的になり、作者にかなり近いバンド・デシネ……極めて個人的なテーマを扱ったバンド・デシネになると思います。
 
フラン・パルレ:貴女自身が手がけるバンド・デシネが、正にそうですね。
イリス・ブドロ:ええ、そうです。でも、私のやっていることは、ケベックで一般的に行われているイメージから、それほど外れているものではありません。ジャンル別バンド・デシネを描く作家やイラストレーター達もいます。例えば、SFものとか、ミステリーものとか……ケベックでは、この種のバンド・デシネの出版は、まだ始まったばかりです。今まで、これらのバンド・デシネ作家たちは、どちらかというと、ヨーロッパで本を出していましたね。そのほうが、出版しやすく、その上、市場ももっと大きいですから。それに、フランスやベルギーで出版した方が、生活しやすいですし。彼等は、ケベックに住んでいるとしても、作品を外国に輸出しているのです。
 
フラン・パルレ:貴女ご自身の作品は、例えば、パステーク社から出されていますね。その出版社は、他社に属さない独立系のバンド・デシネ出版社ですよね。
イリス・ブドロ:そうです。ケベックにある一番大手のマンガバンド・デシネ出版社です。昨年か一昨年に、創立15周年を迎えたと思います。それに、資金力も一番の出版社なので、望めば、カラー刷りのバンド・デシネやハードカバーの表紙をつけてくれます。そこでの本は、しばしば、本の背が布で製本されたとても美しい書物に仕上がっています。パステーク社が大成功を収めた理由の一つは、ミシェル・ラバグリアティという作家の存在があるからです。ケベックの一番のバンド・デシネ作家と言えば、彼のことで、とても有名な人です。街の中で、ちょっと通行人に、ケベックのバンド・デシネについて話をしてごらんなさい。きっと、こう言いますよ。「そうですねぇ、ミシェル・ラバグリアティだったら、知っていますよ」と。
 
フラン・パルレ:反面、貴女は、しょっちゅう旅をしていらっしゃるということではないのですか?
イリス・ブドロ:ミシェルの人生に深く関与しようとは思いませんが、ミシェルは、飛行機に乗るのがちょっと怖いのだと思います。でも、最近は…彼は、アングレームに行ったことがありましたが、それは、ある賞にノミネートされたからであって、飛行機に乗るのが好きな人ではないと思いますよ。ミシェルは、ポールと呼ばれるシリーズ物を作っています。もちろん、主人公の名前は、ポールといい、「浜辺のマルチーヌ」のように、「田舎のポール」、「ポールの夏仕事」といったようなシリーズになっています。ケベック人は、ポールの連作バンド・デシネが大好きなのです。それは、ケベック文化に深く根を張ったシリーズ物なのです。即ち、ポールは、典型的なケベック人で、ケベック人のようにしゃべり、ケベック人がそうするように、物事に対処して生きるので、人々の共感を得るのです。
 
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フラン・パルレ:貴女ご自身の作品には、登場人物に、少々フェチっぽい動物達、例えば、猫といったものが出てきますね。
イリス・ブドロ:そうです。私は、バンド・デシネの中で、しばしば猫達を取り上げます。例えば、私の作った中で一番成功したバンド・デシネ、同僚のズビアンヌ、同僚であり友達であるズビアンヌと制作したバンド・デシネは、「オスチー(ostie)猫」という題です。「ピュタン(putain)猫」(いたずら猫)と同義語で、実際、そういう意味に使っています。
 
フラン・パルレ:また、ostie は、tabernacle(聖体のパン、聖櫃の意)と同じ意味ですね。
イリス・ブドロ:そうなんです。正に。 ですから、オスチーostieは、一種の暗喩です。その上、そのタイトルにこだわってはいけません。そのバンド・デシネ・シリーズでは、猫は殆ど重要ではないのですから。それは、むしろ、一匹の猫をシェアして飼っている二人の若者達の人生を物語る口実になっているのです。
 
フラン・パルレ:貴女の本は、バンド・デシネ専門出版社、パステークで出されていますが、同時に、ヨーロッパの大手の出版社、デルクールのようなところでも出ています。この二つの国にまたがって出版されることで、貴女にとってなにか違いでもあるのですか?さらに、自費出版までも。
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イリス・ブドロ:ええ、色んなことをやっています。その上、ケベックでは、数か所の出版社から出してもらっています。はっきりしていることは、ケベックの女性バンド・デシネ作家にとって、フランスで出版されることによる第一の違いは、お金がもっと稼げるということです。フランスやフランス語圏のヨーロッパの出版社は、もっと沢山の資金をもっています。だから、彼等は、前金を払ったり、順当な額の印税を払うことも可能です。ケベックでは、出版社が、例えそれを望んだとしても、資金がないのです。だから、その点が私にとって第一の相違点です。次に、販売網です。明らかに、印刷部数も多く、流通網でも…フランスでは、バンド・デシネ専門の本屋が沢山ありますので、もっと大勢の大衆に読んでもらえるわけです。それはさておき、デルクール社で出版された「オスチー猫」は、さっきお話した「シリーズ・ポール」と同じく、とても、とても、ケベック的なのです。物語は、モントリオールで起った話で、登場人物達は、モントリオール人のようにしゃべります。モントリオールでは、今日、私は余り沢山のケベック言葉を使用しませんが、「オスチー猫」では、そうではないのです。郷土色を出したいと思ったからです。その上、叢書担当部長のルーヴィス・トロンドハイム氏がそのことを受け入れて下さり、こうおっしゃったのです。「いいよ、いいよ、そのまんまでいいよ」と。でも、実際は、ある種の読者の不興を買い、「ひどい書き方だ、異国情緒でも何でもない。」と。あげくに、「ああ、全く興味なし。」と言ったのです。結局、このバンド・デシネは、フランスのデルクール社で出版されたのですが、とりわけ、ケベックで、売られたのです。言うまでもなく、ケベックで再販売されたからです。
 
フラン・パルレ:貴女は、ケベックのバンド・デシネを、ケべックに輸入したわけですね。
イリス・ブドロ:そうなんです。私は、フランス経由で、私のバンド・デシネをケベックに持ち帰ってきたのです。でも、そうはいうものの、評価して下さったフランスの読者がわずか100人位だったとはいえ、100人ものフランス人読者が、私を知って下さったのです。それも、文学作品の売り場を使って、とても大切なセールス役を担って下さった本屋さん達のお蔭です。その上、私は旅行までさせて頂きました。
 
フラン・パルレ:ところで、貴女のバンド・デシネは、全体的に、総じて、ややもすると、ある側面、少し暗いところがありますね。貴女にお会いしてみると、誰もそんな人柄だとは思わないでしょうけど。
イリス・ブドロ:ああ、それは、私が本当の自分を隠しているからです。そうですね、私は、自分のバンド・デシネのイメージに少々似ています。ニコニコして、朗らかで、冗談をよくいいます。でも時に、内心はそうではないのです。それで、私のバンド・デシネは、多少これに似たところがあります。一般に、私は、かなり可愛く、面白可笑しく書きますが、時には人に指摘されるように、対照的になったりします。
 
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フラン・パルレ:貴女は、バンド・デシネ作家としてのお仕事に加えて、ポスターの仕事もなさっていますね。
イリス・ブドロ:ええ。でも、大抵は、イラストレーターの仕事をしています。ポスターを作製したりするのは、ポスター作りが好きだからなのです。それ程ひんぱんに注文がくる訳ではありませんが、楽しみのためにしています。最近では、中世の絵から想を得た、ポスター、絵、デッサンから成る美術展を開きました。それは、大成功を収めましたから、この美術展をまた開きたいと思っています。ところで、昨日、北斎美術館を訪問しました。富嶽三十六景を製作した方です。そこを訪問したのは、お気づきになったかどうか知りませんが、私の日本ツアーの絵はがき或はポスターが、北斎のある絵から想を得ているからなのです。そして、私は、中世の絵からヒントを得たように、北斎の絵をもとに、アレンジ画展をまたやってみたいと思います。
 
東京、2017年3月
インタビュー:エリック・プリュウ
翻訳:井上八汐



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