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ドミニック・シャルドン、SOPEXA(フランス食品振興会)会長
投稿日 2005年6月1日
最後に更新されたのは 2017年4月7日
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ドミニック・シャルドン:食は文化の伝道師
 
私たちの食生活は、日々変化しつつあります。ボジョレーワインやチーズ、フランスの美味しい食品が、世界のテーブルを飾るのは、SOPEXAがフランス製品の宣伝に年月を費やしてきたことの成果であると言えます。SOPEXA会長、ドミニック・シャルドン氏に、東京で開かれた「FOODEX2005」(アジア最大の食品見本市)会場で話を聞きました。
 
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フラン•パルレ: SOPEXAとは?
ドミニック・シャルドン:SOPEXAは、フランスの農産物と農産加工物の宣伝を担うフランスの機関です。食料品に関するもの全てです。世界中に39ヶ所事務所があり、日本をはじめ経済的に発展している国のほとんどにスタッフがいます。PR担当、見本市でのフランスブース担当、マーケティング担当など、役割はいろいろです。フランス政府の依頼で業務を行い、フランス食品のイメージを世界中に広めています。また、ワインやチーズ、肉や乳製品業界の団体から依頼を受けて、SOPEXAの事務所がある国でPRやキャンペーン、小さな見本市を開催します。
 
フラン•パルレ:SOPEXAの創立はいつですか?
ドミニック・シャルドン:43年前です。農業や農産加工食品が盛んな国のほとんどは、私たちの宣伝方法を真似てきました。SOPEXAのPRの結果、フランス食品の輸出がここまで広がったのですから。輸出されている農産加工物の行き先は、75パーセントがヨーロッパの国々です。この事実は、フランスが農産業においても大国であることを示しています。フランスといえば、工業製品やエアバス、またはシャネルなどのモードや香水といった華麗な製品のことばかり思いつきがちです。しかし、シャンパンやワイン、他にも有名な食品のブランドはたくさんあります。
フランスは、地方ごとに特色がある多様で多彩な国です。例えばブルターニュ地方の中だけでも、さらに小さな地方に分かれているようなもので、食文化の集まりといってもいいほどです。フランスの生産者たちは、外国の食文化を尊重しています。例えば、ワインで言うと、日本人が食べているものに合うようなワインを提供するようにしています。食文化の話で、なぜ日本について話すのかというと、フランスと日本という国は、アイデンティティーが非常にしっかりと確立された国だと思うからです。言語はもちろんのこと、歴史や地理だけでなく、料理からもはっきりとその特徴が表れていると思います。国民とその国の食文化は、密接に深く結びついているものです。
 
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フラン•パルレ:SOPEXAはどのようにして創られたのですか。
ドミニック・シャルドン:元々は、農業団体と政府との間で生まれたものです。製品の宣伝は、長い間ほとんどが政府によるものでした。60年代、人々は「我々の生産している農産物は、国の財産だ」と強く考えるようになりました。70年代には、農業という資源を、石油に例えて「pétrole vert:緑の石油」と言うようになりました。農業は、国の立派な財産で、農業を営む人や加工業界の人々の生活を守るものでなくてはなりません。40万人の農業関係会社で働く人々に60万人の農民、それに農家で働く人を加えれば、フランスで最も就労人口が多い産業です。また、付加価値を最も産出する産業でもあります。
 
フラン•パルレ:あなた自身、無農薬有機農業をしていますね。それについて聞かせてください。
ドミニック・シャルドン:はい、私は農民です。トゥール出身で、22年前に南仏に移り住みました。妻と、二人の子供たちと40ヘクタールの土地で無農薬有機農業を営んでいます。無農薬有機栽培は、以前はアウトサイダー的な存在で、今やっと世間に認められ始めました。ここまでくるのは簡単ではありませんでした。フランスではこの業界は危機にさらされましたが、やっと乗り越えたところです。今日、食品に対する安全志向が益々高まってきています。人々は、無農薬有機栽培というと、安全なものと考えますが、数ある食品の中の一部に過ぎません。生活の中で、一つのものばかりにこだわるようになってはいけないと私は思っています。無農薬有機栽培は、人間の健康のため、植物や動物のため、そして地球環境のためであると同時に、生き物に対する思想とも繋がっています。つまり、私も含め、無農薬有機農業を営むものは、生き物に対するある考え方をもっています。トレーサビリティ(食品履歴)を考えるだけでなく、食品の中の生き物の部分に注目したいと思っています。なぜなら、私たちは生あるものを扱っているからです。トレーサビリティといった技術的なことよりも、食品が出来るまでのストーリーに私は関心があります。食品一つ一つに生命があります。殺菌して清潔なことだけが大切なのではありません。味が肝心で、その味は、自然な発酵作用からできるものでもあるのです。これも生あるものに対する一つの考え方です。
 
フラン•パルレ:SOPEXAでは、主としてどのような製品を扱っていますか。
ドミニック・シャルドン:ワインやアルコール飲料が半分です。SOPEXAでは、長い間、ワインの宣伝をしてきました。フランスは、世界で一番のワイン生産国でした。SOPEXAのPRの努力で、フランスワインの輸出に成功しているとも言えるでしょう。日本のソムリエは最初、SOPEXAによってトレーニングを受けました。人々にメッセージを伝えるジャーナリストや他の職業の人の研修も、SOPEXAではやっています。ワインについて話をしましたが、他に乳製品、肉、野菜、それから魚介類、お菓子などを扱っています。でも、ワイン業界のPRが最も多いですね。
 
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フラン•パルレ:生産者や流通業者は、輸出先に合わせて製品を変えていきますか?
ドミニック・シャルドン:やらざるを得ません。誰が誰に合わせるか? 企業が、メッセージを受ける側の消費者に合わせていくのです。消費者が全てを決めるのです。実際、その国純粋の食文化というものは存在しません。食文化は、常に他の国のものと混ざりあってできるものです。日本の食文化も、中国やポルトガルのものとミックスされてできていると言えると思います。フランスも同じです。常に変化していくものです。フランスでは30~40年前、クスクス料理は知られていませんでしたが、今ではすっかりフランスの食文化の中に入っています。元々は、フランスのものではないのにです。
もう一度言いますが、生産者は、消費者の趣向に合わせていかなくてはいけません。日本でワインを飲むようになったのは、フランス人によって道が開かれたからです。フランス社会で、ワインは大切なものです。フランスは、日本人に、醸造家の誇りやソムリエの才能を伝え、ワインの勉強に生産地を訪ねたり、ぶどう栽培の土地を理解することの大切さを上手に伝えていったのです。今日、私たちの食生活は、非常にバラエティに富んでいます。多様で多彩な食品を尊重するか、それともシンプルにするために画一化するべきか。これは現代社会の大きなテーマです。
多彩な食品を受け入れ、取り入れていくことが大切だと私は思います。食を規制でしばって、一様に同じにしてしまうことほど恐ろしいことはないのではないでしょうか。
 
2005年6月
インタヴュー:エリック・プリュウ
翻訳:三枝亜希子



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