フラン•パルレ Franc-Parler
La francophonie au Japon

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アントワーヌ・プーペル、写真家
投稿日 2006年3月1日
最後に更新されたのは 2023年5月25日
アントワーヌ・プーペル:レンズの向こう側
 
アントワーヌ・プーペルにとって、写真という媒体は手を加え、拡大し、変形する為に存在する材料である。その結果は?絵と写真の境界がぼかしたようになったモノタイプ(一点もの)の作品となる。
 
© Franc-Parler

フラン・パルレ:あなたのカメラとの最初の思い出はどういうものですか?
アントワーヌ・プーペル:それは昔のことです。私が小学生だった頃、大修道院の写真を何枚か撮ったと思います。その他、次のかなり不思議な思い出は、暗室でした。なぜなら一枚の写真を現像する時は、いつも十分に不思議な画像が現れるのですから。それから私は美術学校に入学する前に写真に親しみました。美術学校に入ってからは、研究の方に少し力を入れました。私は写真と絵画の関係について卒論を書きました。
 
フラン・パルレ:それが現在のあなたの作品に反映されているのですね。
アントワーヌ・プーペル:そうです。いつも写真の少し絵画的な側面が現れています。平行して記録的な面も少しは現れていますが。1990年頃、私はある展覧会の為に、それはフランスのあちこちをまわったのですが、一連の人物の肖像写真を撮りました。それらの肖像写真は個性的な有名人と無名な人が混ざっていました。その主旨は彼らの人生における重要な要素を加えて彼らの肖像写真を創ることでした。それで合成写真を創りました。私が出会ったそれらの人物の中には、ジンガロ座の主宰者バルタバスがいて、彼はその後、彼の為に写真集を創ってくれるように私に依頼して来ました。それにクレイジー・ホースの創設者アラン・ベルナルダンにも出会い、彼もまた彼の為の写真集を依頼してきたのです。実際、この芸術的な肖像写真の出会いが次のスペクタクルの扉を私に開いてくれたのです。それらは私の興味をひくスペクタクルでした。何故ならクレイジー・ホースのショーは肉体の上に、光、点と線の構造が投影されていたからです。そして当時私は、既に肉体像の上に色々な構造を重ね合わせる手法をとっていたので、そこで共通点を見いだしたのです。バルタバスについても、大胆な面がとても私は気に入りました。やはりこれはスペクタクルの世界でもかなりユニークなものだからです。彼はこれを騎馬演劇と呼んでいます。何故ならジンガロ座は音楽、物語をもちろん馬を使って表現しているからです。
 
Zingaro, Loungta
Photo: Antoine Poupel

フラン・パルレ:あなたはこれからも同じ題材、同一テーマで撮り続けていかれるのですか?
アントワーヌ・プーペル:クレイジーとジンガロについては、そうです。何故ならこの二つについては、私がそれぞれの主宰者の肖像写真を撮ってからずっと追い続けているからです。今や相当の年数、かれこれ15年位になります。これは面白いものです。なぜなら私は実際にそれらのスペクタクルの形成過程を追いかけているのですから;それがかなり完全なものに近いので、少しは興味深い写真集を創ることが出来るのです。現在、私はジンガロ座の次のスペクタクルについて仕事をしています。それは4月に世界で初めてトルコで上演されます;私はその写真集を創るのです。彼らと長い間仕事をしていると、結束や信頼が確立されます。だからこれらのスペクタクルを取り上げることに関して自由度がますます拡がるのです。平行して私は相変わらず人物の肖像写真の仕事もしています。特に日本人を題材にして。
 
フラン・パルレ:あなたはスキャナーを使っていらっしゃいますが、この技術の利点は何でしょうか?
アントワーヌ・プーペル:それは植物、花、野菜、または人体といった題材を直接通すことが出来るということ、それらをとてもとても高い精細度をもってコンピューターのなかに直接取り込む事が出来るということです。それから次にそれらをもちろんソフトを使って再び手を加えると、それらの画像を完全に再変換することが出来ます。だから次にそれらをとても大きく拡大することが出来ます。
 
フラン・パルレ:それは従来のカメラでは出来ないことなのですか?
アントワーヌ・プーペル:まだですね。デジタルカメラは大変早いスピードで改善しています。でも高い精細度のレベルでいうと、直接スキャンしたほうがまだましです。それから、私が興味を持っている面があるのですが、それはほとんど医学的な面です。一枚の写真をスキャンする時、それは少しレントゲンに似ています。ほら、これをガラス面に乗せると通常の視点からのショットと全く違う関係になるでしょう。
 
Coquelicot
Photo: Antoine Poupel

フラン・パルレ:これらのデジタル画像には、あなたは多くの花、花びら、干し魚などを使っていらっしゃいますね。
アントワーヌ・プーペル:自然の物語…スキャナーで仕事を始めてから、私はそれらを「博物誌」と名付けました。それから、私は肉体を題材に「肌の自然の物語」を創り、そして結局全てが混ざり合ったのです。かなり官能的で性的な面もありますが、それは花が生殖器官であると心得る必要があります。そのように全ては自然と関係があり、それが私にとって面白いと思えるのですが、また加工についても、ソフトが現像所の技術ではとても出来ない大変複雑な変換も可能にしてくれるので面白いです。新しい技術、こういったものもみな私にとって大変興味深いものです。
 
フラン・パルレ:あなたの作品は写真集の形式のみならず壁面にも見られますね。こういった使用方法にあわせて写真を準備されるのですか?
アントワーヌ・プーペル:通常は、違います。私はまず、自分を楽しませる為に画像を加工します。既に私の為です。次にその画像が壁面に据えられるか、冊子に入れられるかで使用方法は異なっています。それは同じ使用方法ではありません。さらにはそれでオブジェを創ったりします。テーブル、照明付きテーブルのために、いくつかの画像を加工したからです。それは画像を見せる、壁面に据えるだけではなく、画像に触れることも出来る、もう一つのアイディアです。なぜなら、テーブルにして面白いのは、画像に触れ、その上で食べたり、飲んだりするからです。付け加えると、スキャナーに回帰するのです。何故ならそれらはスキャナーを使うことから加工された画像であり、それはスキャナーがそうしたように、再びガラス面になったからです。画像をとらえた時、原点に戻るのです。
 
2006年3月
インタヴュー:エリック・プリュウ
翻訳:粟野みゆき
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