フラン•パルレ Franc-Parler
La francophonie au Japon

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ヴェロニク・ペステル、シンガーソングライター
投稿日 2008年1月1日
最後に更新されたのは 2016年12月9日
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ヴェロニク・ペステル:言葉を歌にのせて
 
大々的に知られてはいないけれど、ピアノソロ、ピアノデュオ、またはカルテットで、と自在な編成。シンガーソングライター、ヴェロニク・ペステルは20年くらい前からハイチや日本までもその声を届けている。日本では彼女の歌の一つが日本語になったばかりだ。
 
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©Ulrich Schuwey
フラン・パルレ:あなたはどちらかというと左岸派*のアーティストですよね...
ヴェロニク・ペステル:そうね...そうだというでしょうね...たしかに私にとって、左岸派はとてもとても昔のことで、今はもはや通用しない。フランスには現在いくつものスタイルの歌があり、たしかに私は自分を左岸派だと定義したことは一度もありません。私にとってそれは殆ど...自分は今日の(音楽ジャンルの)流派だと言おうと思っているので、当然過去の流派には思い及びません。だから今日では、もはや左岸派は存在しないのです。
 
フラン・パルレ:私はあなたのことを化石のように言っているのではありません、何故ならあなたの歌はとても現代的ですし…
ヴェロニク・ペステル:そう、だからなんです。それはまるでアンヌ・シルベストルに、今も左岸派の歌手だと言ったようなものです。彼女にとっては、その年齢にも拘らず、そう言うことが何の意味も無いと私は確信します。つまり左岸派シャンソンに所属していた人たちも、今ではそれを引き合いに出す事はもうないだろうと、私は確信するのです。それは意味のないことです。いずれにせよ、私にとっては意味がないのです。
 
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フラン・パルレ:あなたは時々とてもジャズっぽくなりますね…
ヴェロニク・ペステル:それです、それは出来るのです。でも私はジャズピアニストでもなく、ジャズ歌手でもありません。私は歌詞重視のシャンソンを歌う歌手としてジャズっぽいので、ブギウギやタンゴ、ボサノバも同じように歌えます。この意味では、私はジャズのスペシャリストではないのです。それに対して、(一緒に仕事をしている)ミシェル・プレカステリはそうです。次の公演では、私の歌はむしろジャズっぽく、とことんジャズ寄りにしたものになるでしょう。
 
フラン・パルレ:あなたは様々な声色を使われますね。コンサートでは、毎回違うタイプの歌を混ぜるのですか?
ヴェロニク・ペステル:そうです、何故なら私の歌がそういうものだからです。それはまさにあなたが左岸派と呼んでいるシャンソンであり、私が歌詞重視のシャンソンと呼んでいるものです。私がこの用語に再び立ち返るのは、ただ何について話しているか分かるためです。私は、歌詞重視のシャンソンと言っているけれど:私の流派にはアラン・ルプレスト、ジルベール・ラファイユ、ミシェル・ベルナールがいます。これで、何について話しているかが分かるでしょう、でもまったく同じ事を話していると思うのだけど。このシャンソンの特徴は、とてもとても音楽的なところです。歌詞重視のシャンソンと言っていても、です。だからこそ、例えばギター、ベース、打楽器を使うロックに比べて、ずっと多くの種類の音楽を用いるのです。今ではアコーディオンを使いますが、これがとても進化して、フランスでは「船乗りのシャンソン」という風に呼んでいますけれど、これはシャンソンとロックのミックスなのです。それは音色が2つか3つしかない他のシャンソンに比べてより多様になるでしょう。たしかに歌詞重視のシャンソンにおいては、歌詞で使えるあらゆるものを利用するのです。
 
フラン・パルレ:あなたは色々な人たちをたたえるのがお好きなようですが、女性たちも…
ヴェロニク・ペステル:私は自分に似ているものに影響を受けていると思います。敬意を払うことがそこまで好きということではなくて、私が好むものを分かち合いたいということなのです。ある意味で、見返りを求めない心とか教える事とかだけではなく。それは何故なら私のことを話すための私のスタイルでもあります。私は実際に女性であるので、女性のことを語ることが出来るのです。私は老いについて話すのが好きです。何故なら時の移ろいは、多くの人々のように、私がいつも非常に感動を受けたことだからです。これはとてもありきたりなテーマ、もちろんシャンソンのテーマではあります。詩人について語る事もあります、私も詩人サイドの人間なので。このスタイルはあまり「私」と言わないスタイルだと思います。そして私が「ヴァニナ」を語るとき、モディリアーニの妻であったジャンヌ・エビュテルヌを語るとき、私は、これが誰にも語られない人々のためのシャンソンなのです、と言って締めくくるのです。私は今までずっとメディアに取り上げられないアーティストのことも語ってきています。そしてそれらの歌を通して、私は「私」と言っているのです。一方、私はアーティストの傍にいる人々で、しばしばとても報われる事が少ない位置に居る人々についても語っています。私はエビュテルヌとモディリアーニのことを語りながら、私が感動するこの二つの事柄について語っているのです。
 
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フラン・パルレ:声、声なき声、言葉は、あなたの歌やアルバムタイトルにかなり頻繁に出てきますね…
ヴェロニク・ペステル:だから私は歌詞重視のシャンソンと言っているのだし、これが私にとってものを言うスタイルなのです。今までのよりずっとヴォーカル重視、音楽重視になるであろう次の公演についても、歌詞を書いている最中です。それはとてもとてもとても...結局は歌詞なのです。3つくらいの言葉を戦わせるのではないのです、それはスープだけの音楽という感じですから。歌詞は実際文章になるのです。私はそのスタイルから抜け出すのが難しいのです。なぜなら、ここでも私が、言葉を必要とするからです。他の人たちにとって言葉が当然重要であると思っている、ということではないのです。
 
フラン・パルレ:あなたの音楽、歌は、聴衆によって歌われるものというよりは、むしろ聴く為の作品なのですか?
ヴェロニク・ペステル:そんなことはありません。それらは歌う為の作品と思っています。そうですね、逆にそれを歌うことによってもっと入り込めるし、その点ではたしかに今のフランスの人々はとても歌うことが好きですね。日本のように、歌の教室が沢山あります。フランスでも同じで、つまり人々は楽しみの為に、自分が成長する為に歌いたいので、必ずしも職業にするためにではなく、ダンスや太極拳をするように、歌いたいのです。だから、多くの教室が私の歌をやりたいと言ってきますし、かなりの生徒が『ヴァニナ』、『マミーティス(混血のおばあちゃん)』や『シャンソン・デ・サン・ヴォワ(声なき声の歌)』を歌っています。私が生徒という時は、彼らが15歳だという意味ではなくて、もっと年上の人たちの可能性があります。
 
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©B. Bernal
フラン・パルレ:あなたの最新アルバム『カニ・ブル』についてお話いただけますか?
ヴェロニク・ペステル:その話をするためには、その前の『バブル』について話すのがいいと思います。それは私が90〜95年にかけて感じた社会の変化を中心に据えた作品でした。私は人々が仕事をしている中で不幸になって行くのを感じたのです。とりわけ企業の世界や、行政との関わりの中で。その結果、自閉症になったり、自宅で引きこもってしまいたい気分になっていったのです。だからこの作品ではただ、私は自閉症になったりしない、自宅に引きこもったりしないようにする、と言っていたのです。このとても金儲け主義の社会で私が感じた苦悩にもかかわらず。そしてそれよりは芸術の価値や、美、音楽、詩、愛、友情、自然といった方に目を向けるように、と。故に、『バブル』はそういったことを少し語っていたのです。そして『カニ・ブル』では、それを実現したと思います。『カニ・ブル』はむしろ私の思いそのものとなるアルバムなのです。これがあなたの質問への答えです。
 
*Chanson Rive gauche:左岸派文学的シャンソン
 
作詞家ではなく、詩人の作品に曲をつけた文学的シャンソン。セーヌ川左岸のシャンソンライブで好まれた。歌詞重視のシャンソン。
 
2008年1月
インタヴュー:プリュウ・エリック
翻訳:粟野みゆき



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