フラン•パルレ Franc-Parler
La francophonie au Japon

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2013年7月フラン•パルレ文庫
投稿日 2013年7月26日
最後に更新されたのは 2023年5月23日

星の王子さま 澤登翠朗読CDブック

アントワーヌ・ド・サンテグジュペリ著
小島俊明訳
澤登翠朗読
湯浅ジョウイチ音楽
Le Petit Prince d’Antoine de Saint-Exupéry
第三書房
価格:4500円+税
ISBN978-4-8086-0649-7

創刊70周年を迎える、サンテグジュペリの名作、『星の王子さま』。本書は『星の王子さま』の日本語による全文朗読CDブックである。
朗読するのは、活動弁士、澤登翠。活動が国際的に注目されている活動弁士で、日本ばかりではなく西欧やアジアの国々で、幅広いファンから支持されている。本書の朗読では、語り手の飛行士をはじめ王子さまやそのほかすべての登場人物になりきって、みごとな「語り」を披露している。また、長年、澤登と共に仕事をしてきた楽士、湯浅ジョウイチが音楽を担当している。多彩な語り口と、詩情あふれる音楽によって、『星の王子さま』の世界が、生き生きと立ち現れてくる。
現在もなお色あせない魅力を放つ『星の王子さま』の新たな面を発見でき、より深い理解が出来る一冊となっている。


物の時代 小さなバイク

ジョルジュ・ペレック著
弓削三男訳
Les choses, Ouel petit vélo à guidon chromé au fond de la cour ? de Georges Perec
文遊社
価格:2800円+税
ISBN978-4-89257-082-7

奇想にみちた文体で実験的な小説を生み出し続けたジョルジュ・ペレックの初期の2作品。
『物の時代』は、1960年代を舞台に、物への欲望に取り憑かれた若いカップルの幸福への憧憬と失望を描いた、ペレックの長編第一作である。所有への情熱によって、人々の人間性が失われてしまっている消費社会への鋭い社会学的分析であるとともに、言語と形式への配慮によって、一個の芸術作品として昇華した作品となっている。
『営庭の奥にあるクロムめっきのハンドルの小さなバイクって何?』。人を煙に巻くような長い題名を持ったこの作品は、アルジェリア戦争たけなわのころ二十歳前後であった若者たちの徴兵拒否を描いた喜劇である。単純な筋立てでありながら、様々な文体上の実験や言葉遊びをちりばめた奇想天外な作品である。
その後、『失踪』や『人生 使用法』など、壮大な言語的実験を展開する事になるペレックの初期の姿勢や問題意識が、かいま見れる2作品である。


大いなる酒宴

ルネ・ドーマル著
谷口亜沙子訳
La grande beuverie de René Daumal
風濤社
価格:2800円+税
ISBN978-4-89219-368-2

風濤社より刊行がはじまったシリーズ、「シュルレアリスムの本棚」。生粋のシュルレアリストだけではなく、広くその周辺の作家も紹介していく興味深い試みとなっている。その第一回配本は、ルネ・ドーマル『大いなる酒宴』である。
本作品は、未完小説『類推の山』で知られるドーマルの唯一の完成小説だ。内容は三部に分かれていて、知に飢えた語り手が、真実の言語、知恵にたどり着こうと遍歴する姿を描いた寓意小説として読むことができる。それぞれの部は第一部の知に飢えた酩酊状態の言語、第二部の『人工天国」におけるまやかしに満ちた言語、第三部の「真の言語」への希望、と、語り手が到達した境地に従って、文体を変える。中でも、偽りの科学や芸術を攻撃する第二部は、奇想天外な展開の中で、既成の価値観を笑い飛ばす風刺小説としての面白さに満ちている。
だが、本書の最大の魅力は、読む人や読む時によって、様々な解釈を生み出す内容の豊穣さである。様々に形を変える尽きない読書の楽しみを与えてくれる作品となっている。


サン=ジェルマン大通り一二五番地で

バンジャマン・ペレ著
鈴木雅雄訳
Au 125 du boulevard Saint-Germain de Benjamin Péret
風濤社
価格:2800円+税
ISBN978-4-89219-369-9

シュルレアリスムの重鎮、バンジャマン・ペレによる短編集。
ここに収められたペレの作品は、意味や辻褄といった通常の小説の土台ともいえるものを無視しながら展開する。意味不明な単語がそこかしこに登場したり、直前に書かれたこととは矛盾する記述があったりというように、首尾一貫したストーリーや意味を期待する読者は常にはぐらかされ、途方に暮れることになる。しかし、単に思いついた言葉を並べただけのようなペレの文章には、恣意的な言葉を発する純粋な幸福感に満ちている。奇想天外で支離滅裂な作品の数々でありながら、言いようのない魅力を放っているのは、そうしたペレの規則に縛られない自由さによるところが大きい。
発足当時からのシュルレアリストで、生涯グループにとどまったシュルレアリスムの理念の体現者、ペレ。本書はそんな彼の不条理でユーモアにみちた作品世界を深く味わうことができる一冊となっている。

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