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ミッシェル・アゴスティニ、CNIVAOCワイン業界団体連合)会長
投稿日 2004年11月1日
最後に更新されたのは 2017年5月12日
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ミッシェル・アゴスティニ:「AOC」選ばれたワインたち
 
人々は、ワインを溢れるほどの選択肢の中から選ぶことができますが、その中に生産地が明記されたワインや、AOC(原産地統制名称)とラベルに書かれたワインを目にすることがあると思います。CNIVAOCワイン業界団体連合)の会長、ミッシェル・アゴスティニ氏がこの表示の意味について話してくれました。
 
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フラン・パルレ:あなたの仕事内容について聞かせてください。
ミッシェル・アゴスティニ:フランスの各地方、シャンパーニュやプロヴァンス、ラングドック、ボルドー、アルザス、ボジョレーやヴァル・ド・ロワールなどにあるAOCワイン業界団体を統括する組織がパリにあり、そこの会長をしています。地方ごとにあるこの業界団体は、個々に、マーケットでの規則を決めたり、その土地でできた製品の販売促進などをしています。ボルドーやアルザス、ボジョレーワインのPRがよくあるように、日本でプロモーションをしているのもこの団体です。
 
フラン・パルレ:他の国でもPRをしていますか?
ミッシェル・アゴスティニ:フランスのワイン同業者団体や、ぶどう栽培者、ネゴシアンは活気のあるマーケットにまず目をつけるのが普通で、特にアジアに注目しています。これから面白くなりそうな中国やシンガポール、台湾などのマーケットがあっても、なんといっても一番のマーケットは日本です。
 
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フラン・パルレ:日本では、アルザスやヴァレ・デュ・ローヌのワインの宣伝はよく見かけますが、他の土地のものがないのはなぜですか。
ミッシェル・アゴスティニ:商品を展開させていく戦略が、地方ごとにあるのだと思います。消費者の嗜好の違いもあると思いますし。歴史的にみて、フランスワインや蒸留酒が世界的に発展した先駆けとなったのが、シャンパーニュやボルドー、ブルゴーニュやコニャック地方です。しかし、アルザスワインのように特徴のあるワインが他の土地にもあります。地方ごとに、自分たちの商品に合ったマーケットを探しています。これは、それぞれの団体が独自の方針で決めていきます。
フランスからはるか遠い国日本は、長い歴史があり、伝統的な食文化のある国です。ですから、異なる歴史の異なる食文化をもつ国の製品をこの国で受け入れてもらうには、たいへんな労力と謙虚さ、それから忍耐が伴ってくるのです。
 
フラン・パルレ:新しくAOCに認定されたワインがありますか?
ミッシェル・アゴスティニ:とくに南フランスでは、変化が起きています。テーブルワインを主流としていた土地が、今は高品質のAOCワインを生み出しています。ルシヨンやラングドック、プロヴァンスだけでなく南西部のワインなどがそうです。それぞれAOCワインとなった経緯は違いますが、長い伝統を越えて、今日、あらゆる地域で、新しい商品を作り出しているといえます。それらのワインは、人々の努力の甲斐あって、新たな名声を築きあげたのです。
 
フラン・パルレ:AOCはどのようにして獲得できるのですか。
ミッシェル・アゴスティニ:AOCの獲得は一日で成るものではありません。INAO(全国原産地統制名称協会)という関係官庁と同業者組合からなる政府機関の統制のもと認可されます。土地の選別からはじまって、製品の品質、特徴を認められてこのAOCを得るまでに非常に長い年月が費やされます。
ワイン栽培の歴史のある土地でないと認められないこともあって、少なくともAOCと認められるには、50年ほどの歳月がかかるでしょう。
フランスに、ギリシア人がぶどうの木を初めて植えてできたワインがプロヴァンスのワインです。言ってみれば、その土地のワインがAOCを獲得するまでに2000年もかかったのですから、50年はたいしたことないと言えるのかもしれませんね。冗談ですが・・・。
 
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フラン・パルレ:フランスではワイン消費率が下がっていますね・・・。
ミッシェル・アゴスティニ:フランスでは大昔からワインは「食物」として考えられてきました。それが、食とライフスタイルの変化から、ワインは食べ物としてではなく、食事とともに楽しむものへと変わりました。昔は、生産地名も入っていないそれほど品質の良くないワインが飲まれていました。しかし現在は、ワインは人々の楽しみの一つとなって、特別な味の質の良いAOCワインが好まれるようになりました。
こうしたことから、生産地の記されていないテーブルワインは消え、AOCワインが増加したのです。消費者が求めているのは、確かな品質だけでなく、味の多様性であり、TPOに応じたものになってきたのです。
 
フラン・パルレ:生産地の表記は食品の安全性と関係がありますか。
ミッシェル・アゴスティニ:生産地を記すことと衛生面とは直接関係はありません。他の国でもそうであるように、フランスでも食品衛生を取り締まる政府の機関があり、人々の健康はそれによって守られています。ワイン同業者団体が、自分たちの製品が衛生的な規則に沿っているかを監督するものではありません。しかし生産者やネゴシアンはもちろん細心の注意をはらっています。
評判というものは、築き上げるのに何世紀もの長い年月がかかりますが、それを失うのは、一時間もあればできてしまうことです。ですから、彼らの用心深さは生半可なものではありません。しかし生産地を表示して消費者に商品の保証をすることが、衛生面を保証することと同じではありません。
生産地名が表示されていることは、特別な製品であることを保証しているという意味です。つまり、みんなが同じような格好をして、同じものを食べている今の世の中に、違ったものを大切にし、販売を促進していくことは重要なことだと考えるからです。
私たちは食品の多様性を提案しています。ワインでいうと、どこの畑のぶどうをどのようにワインに造りあげたか。生産地と伝統的な醸造方法が合わさって、はじめて特別な素晴らしい味を演出することができます。だから、AOCと明記されていることで、選ばれたワインだと消費者に分かってもらうことができるのです。
 
フラン・パルレ:フランス以外でもこのような方法をとっているところがありますか。
ミッシェル・アゴスティニ:フランスは、生産地を表記する制度を取り入れるのが早かった国の一つです。しかし歴史のある国では、宣伝されているかどうかに関係なく、法的にも業界からも認可されて、製品と生産地名とを関連付けることをしてきたと思います。日本に「神戸牛」があるように、フランスの隣の国のポルトガルでも、「ポルト」という評判の高いワインを醸造しています。このように世界中で、原産地と製品の質を結び付けて考えてきました。生産地を明記したり、AOCの制度を導入することは、商品の管理をきちんとシステム化することで、それによって消費者が求めている品質の保証を提供することになるのです。また、仲介業者に不当に利益を奪われることなく、生産者の利益を守る手立てとなるのです。
 
フラン・パルレ:ワインを目的に、フランスの地方を観光旅行しますが、どのような影響がありますか。
ミッシェル・アゴスティニ:フランス経済にとって、観光業は最も重要な収入源です。フランス政府観光局によると、ワインを飲んだり、生産地を巡る旅行が人気の第三番目だそうです。ですから旅行業とワイン業は直接に関係があります。旅行者は、ワインに惹かれてフランスにやってきます。世界中の旅行者たち、特に日本人には、国に帰ってからも、素晴らしいぶどうの木でいっぱいの田園を訪れたことや、ワインを飲んだことを思い出して、またそれを日本でも飲めることを思い出してもらいたいと心より願っております。
 
2004年11月
インタヴュー:エリック・プリュウ
翻訳:三枝亜希子



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