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RETURN TO REASON/リターン・トゥ・リーズン』  Return to reason
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RETURN TO REASON/リターン・トゥ・リーズン』  
 マン・レイが初めて映画を手がけたのは、1923年のこと。その100年あまり前の4つの短編映画に” SQÜRL (スクワール)”によるオリジナル楽曲が重なり、本作が完成した。
(※SQÜRLは、映画監督として知られるジム・ジャームッシュと、ミュージシャンであり彼の映画のプロデューサーでもあるカーター・ローガンによるロック・デュオ)。
 
1作目は『ひとで』(1928 年)。焦点がぼやけた映像、さよならと告げる男、刃物、夜空、炎を見つめる女。詩人のロベール・デスノスの詩をなぞった映像には”妖艶”な香りが漂う。続く2作目の『エマク・バキア』(1926年) は、バスク語で2つの意味がある。1つは「ひとりにしてくれ」、もう1つは「平和を与える」だ。バンジョーの演奏に合わせて踊る女のステップ、バスクの海岸、海を泳ぐ魚。躍動感溢れる映像に「生きている」感覚を再認識する。3作目は、本作のタイトルとなっている『理性への回帰』(1923年) 。マン・レイの初監督作品だ。3分あまりの短さの中、無機質な動きが展開されるが、その中で一瞬現れる裸婦の姿が強烈な印象を残す。そして最後が『サイコロ城の謎』(1929年) 。”Un coup de dés jamais n’abolira le hasard.” (サイコロの一振りが偶然を壊すことは絶対にない/字幕翻訳 稲田嵯裕里)という字幕の後、サイコロを振る人々が登場する。車に乗り込みパリを出る2人の旅人。優雅な邸宅のプールで泳ぐ人々。彼らは皆、顔をストッキングで覆い、表情が見えない……不思議さゆえ、画面をじっと見入っているうちに、自分が今いる三次元の世界から離れた場所にいるような錯覚を覚える。
 この映画に主役がいるとすれば、それは、キキ・ド・モンパルナス(モンパルナスのキキ)かもしれない。わずかな表情の変化、少ない動きでありながら、彼女が私たちの心に届けてくれる”ときめき”はとても濃密だ。まるでエコール・ド・パリの時代の華やかな空気が漂ってくるよう。(Mika Tanaka)
監督:マン・レイ
音楽:スクワール(ジム・ジャームッシュ&カーター・ローガン)
2023年/フランス/70分
 
Return to reason de Man Ray; 2023, France, 70 min
 
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