『リュミエール!リュミエール!』製作は1895年から1905年。 1つの作品の長さは約50秒。 それぞれに題名がある。ときに寄せてはくだける波を、ときにケンカをして泣き出す無邪気なこどもを、シネマトグラフ(cinématographe)を携えたリュミエール兄弟たちはそのありのままの美しさをとらえる詩的な映像に、彼らと同時代を生きたガブリエル・フォーレの楽曲が重なり、私たちはしばし時間と空間を旅していく。前作「リュミエール!」では取り上げられることのなかった珍しい作品の数々……中には100年以上前の日本の街なかの雑踏や歌舞伎役者の華麗な殺陣、小津安二郎監督のようなアングルでうつる日本の家族たちも。映画のナレーションもつとめたティエリー・フ レモー監督は、リュミエール作品を、”Le réalisme,” “Le naturalisme”という言葉で表現する。「そしてこの精神が後にトリュフォーやロメール、ゴダールといったヌーヴェル・ヴァーグの監督たちに受け継がれていきました」と。フレモー氏の大切な思い出のひとつがゴダー ルとの会話だ。「他では決して見ることができないものを見ることができる、それが”映画”なんだ」と語ったゴダールの言葉は、この映画の題名である”L’aventure continue”と同じ意味なのだろう。航海中の船首をとらえた映像は、わくわくする冒険心としみじみした旅情の2つを同時に目覚めさせてくれる。(Mika Tanaka)
監督・ナレーション:ティエリー・フレモー(リュミエール研究所所長、カンヌ国際映画祭総代表)映像1895年-1905年リュミエール研究所/フランス/105分/BD・DVDLumière! L’aventure continue de Thierry Frémaux; films de l’Institut Lumière des années 1895-1905, France, 105 min
『リュミエール!リュミエール!』 Lumière! L’aventure continue