Frère et Sœur Crédits : ©︎ 2022 Why Not Productions - Arte France Cinéma 『私の大嫌いな弟へ ブラザー&シスター』なぜなのか?いつからなのか?はっきりとはわからない。でも、姉は自分を憎んでいる。ルイ(メルヴィル•プポー)はそう感じている。そして姉のアリス(マリオン・コティヤール)もまた、詩人であるルイが自分への憎しみを作品に込めていると思っている。ルイの本を手にしたアリスは、彼の記述に苦しみ、控室の鏡の前で自分の顔を傷つけ、舞台出演をためらう。すれ違う恋人同士の関係と似ているようだが、似ていないようにもみえる。同じ両親を持ち、同じ家に暮らしていた3人の姉弟。アリスの下には、長男のルイと次男のフィデルがいる。フィデルも両親も、アリスとルイの関係に介入することはなかった。というより、できなかったのだろうか。きょうだいというのは、好きや嫌いという感情とは違う次元で生きるのだと思っていた。でも実は、どんな関係よりも繊細で複雑で修復が難しいのかもしれない。アリスの演技に魅入られてルーマニアから訪れた1人のファン、ユダヤ教徒のルイの妻、フィデルの男性のパートナー……デプレシャン監督の映像に現れる人物たちにそれぞれの物語があり、それぞれの色彩を放っている。さりげない日常をかけがえのない芸術に変化させるデプレシャン監督の魔法。人間の”愚かさゆえの愛おしさ”がじんと伝わってくる。(Mika Tanaka)監督:アルノー・デプレシャン出演:マリオン・コティヤール、メルヴィル・プポー、ゴルシフテ・ファラハニ、パトリック・ティムシット2022年/110分/フランスFrère et Sœur d’Arnaud Deplechin avec Marion Cotillard, Melvil Poupaud, Golshifteh Farahani, Patrick Timsit; 2022, France, 110 min