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アラン・ウゲット監督(Alain Ughetto)、来日インタビュー
投稿日 2022年12月16日
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アラン・ウゲット監督(Alain Ughetto)、来日インタビュー
 
2022年12月1日から12月4日まで行われたフランス映画祭2022 横浜では、3年ぶりに海外からの多くのゲストが来日し、華やかなオープニングセレモニーが行われた。来日ゲストのひとり、アラン・ウゲット監督が手がけた作品は『イヌとイタリア人、お断り!』(原題:Interdit aux chiens et aux Italiens)。茶目っ気あふれる人形たち、樹木に見立てたブロッコリー、段ボールでつくった家……ストップモーション・アニメーションの映像は、ごっこ遊びや工作にいそしんだ子供時代を思い出させてくれる。
「この映画は、祖母へのオマージュです」と語る監督。小さかった頃、祖母がグリュイエールチーズを焼いて食卓に出してくれたときの香りや味が彼の心の奥で大切にしまわれていて「プルーストのマドレーヌのように」チーズを食べるときはいつもその温かい記憶を思い出すのだそう。だから、作品の中に登場する家族の食事シーンに、彼は特別な思い入れがある。
 この映画にとって大切なもうひとつのものが「手」だ。
「祖父の手はすごく大きかったそうです。だから、祖父の人形をつくるときは、手を大きくするようにリクエストしました。また、映画に登場する実写の手は私自身のものです」。映画でお祖母様のチェジーラが「お祖父さんの手にそっくり」と監督の手に向かって語るシーンがある。お祖父様は工作の技をお父様に伝え、ウゲット監督はお父様からその技を学んだ。親から子へと引き継がれた”職人魂”と、イタリア移民としてフランスに渡った”家族の歴史”、この2つが軸となって『イヌとイタリア人、お断り!』は完成した。映画の舞台は20世紀初頭のイタリアの小さな村。ウゲット監督のお祖父様とお祖母様は第一次世界大戦を経験し、その後フランスへ移住する。タイトルが示すように、当時のフランスでイタリア移民は差別の対象だった。21世紀となった今はどうか?
「今のフランスではイタリア移民への差別を感じることはほとんどありません。ただ、マグリブ諸国の人たちへの差別がまだ続いています。また私が恐ろしいと感じているのは、ファシズムの気配がイタリアで再燃していてフランスに飛び火するのではないかということです」。
日本にもまだまだ根強い差別が残り、ヘイトクライムが後を絶たない。未来を生きる子供たちのために、大人である私たちは何ができるだろう?
「祖母や両親は、自分たちの国籍やお金、仕事について私に話すことは決してありませんでした。それは”子供を守りたい“という思いがあったからなのでしょう。でもこれからの時代は、情報を開示し積極的に子供とコミュニケーションを取っていくことが大事だと思います」
 ウゲット監督が教えてくれた。アフリカのある国に「お年寄りが亡くなることは、図書館がひとつなくなること」という言葉があるそうだ。フランス生まれのウゲット監督は、イタリア出身のお祖父様の”魔法の手”をお父様から受け継いだ。日本もまた、親から子へと、”家族の宝物”が静かに引き継がれる国であってほしいと願う。
 
2022年12月1日、横浜市にて
聞き手:田中明花
通訳:田中映美
 
アラン・ウゲット(Alain Ughetto)
1985年 短編『La Boule』にてセザール賞最優秀短編アニメーション賞を受賞。
2013年 70年代後半のテヘランを舞台に自身の恋愛を描いた『Jasmine』を監督。
2022年 『イヌとイタリア人、お断り!』では、祖父と祖母の物語を通し、フランスへ渡ったイタリア移民の歴史を語る。
フランス映画祭2022 横浜 公式サイト
 
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