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『ジェラール・フィリップ 生誕100年映画祭』

 『ジェラール・フィリップ最後の冬』
『ジェラール・フィリップ最後の冬』
Crédits : © Temps noir 2022

ジェラール・フィリップ 生誕100年映画祭
 太陽がさんさんと降り注ぐなか、子供たちと海水浴をする父親の姿が見える。小麦色の肌と無邪気な笑顔が微笑ましい。日本初公開となるドキュメンタリー『ジェラール・フィリップ 最後の冬』の冒頭に映し出される、ジェラールの素顔だ。この人が『危険な関係』で複数の女性を翻弄する主人公を演じたのかと、その演技の幅の広さに感服する。
 36歳で世を去った夭折のスター、ジェラール・フィリップ。「俳優」よりも「役者」よりも「スター」という響きが何よりも彼にふさわしいように思える。初舞台で『ソドムとゴモラ』の天使を演じたジェラールは、映画の世界で花開く。『肉体の悪魔』ではモラルに反し、『美しき小さな浜辺』では絶望を抱え、『ジュリエット あるいは夢の鍵/愛人ジュリエット』では罪を犯す青年を演じる。暗い影をまとっても、かすかな光が見える。汚れ役と呼ばれる人物を演じても、そこはかとなく品が漂う。嫌味な男を演じても、どこか憎めない。きらきらと星のように輝く大きな目、おしゃべりな子供のような口元、細いあごの線とやや高めの声……出演する映画が変わるたびに、当然のように演じる役の名前も変わるのだが、どの映画を見終えたときでも、なぜかその映画を振り返るとき言葉に出るのは役名でなく”ジェラール”という名前だ。それほどに彼の存在感は強く、忘れられない痕跡を私たちの心に残す。会ったことがないのに、まるで自分の旧友のよう。そして決して年を取らない。『花咲ける騎士道』で私たちを魅了した”チューリップの騎士”は、星の王子さまに誘われて、バラの待つ星へと旅立ったのかもしれない。(Mika Tanaka)

<上映作品>

『肉体の悪魔 HDデジタル・リマスター版』
『パルムの僧院 2Kデジタル・リマスター版』

JPEG - 23.4 kb
Crédits : 1949 - PATHE FILMS

『美しき小さな浜辺 2K デジタル・リマスター版』
ジェラール・フィリップ自身が製作資金集めに奔走したと言われる作品。風に吹かれ、雨に濡れながら演じた苦悩する主人公の表情は、『花咲ける騎士道』でチューリップの騎士が見せる屈託のない笑顔とは対極にある。映画の冒頭で流れるオープニング・ロールから、製作陣の真摯な思いが伝わってくる。
監督:イヴ・アレクレ
出演:ジェラール・フィリップ、ジャン・セルヴェ、マドレーヌ・ロバンソン、ジャーヌ・マルカン
『ジュリエットあるいは夢の鍵/愛人ジュリエット 4Kデジタル・リマスター版』
『花咲ける騎士道 4Kデジタル・リマスター版』
『狂熱の孤独 2Kデジタル・リマスター版』

JPEG - 24.7 kb
Crédits : ©Transcontinental Films

『しのび逢い ムッシュ・リポアの恋愛修業HD デジタル・リマスター版』
「家に置いてあげてもよかったかな」。
食べ物を与えようとして犬を部屋に入れたものの、誘った女性に逃げ出されて機嫌を損ねたアンドレ・リポアが、追い出した犬の後ろ姿を窓から見下ろしてボソッとつぶやく。女たらしの情けない男の本音は、お腹をすかせた犬とよく似ていたのだろう。
タイムカードを押して会社から出ると、電話ボックスでネクタイを変え、二階建てバスに乗り込む。街のどこかに、自分にふさわしい女性がいることを信じて疑わないリポアの目線がすれ違う女性たちに次々と視線を送る。生まれ育った故郷を飛び出し、異国の街、ロンドンで生きていくリポアの孤独が滑稽に描かれる。ジェラール・フィリップ以外の俳優が演じるリポアは想像できない。彼だからこそ、どうしようもない男を軽やかに品よく演じ切れたのだろう。

原作:ルイ・エモン
監督:ルネ・クレマン
出演:シェラール・フィリップ、ウァレリー・ホフスン、ナターシャ・ハリー、
マーカレット・ ジョンストン、ジョーン・グリーンウッド、ジェルメーヌ・モンテロ
『赤と黒 2Kデジタル・リマスター版』
『夜の騎士道 4Kデジタル・リマスター版』

JPEG - 20 kb
Crédits : © 1958 Gaumont - Astra Cinematografica - Continental Film GmBh

『モンパルナスの灯HDデジタル・リマスター版』
 実際は、もっと違っていたのだと思う。主人公のモディリアーニも、そして伴侶となったジャンヌも。映画で描かれるよりもずるくて、映画で描かれるよりも弱くて……でも、それでいいのだと思う。映画というフィルタによって濾過された2人の人生は、それ自体が芸術作品のように美しくて繊細だ……舞台は第一次世界大戦後のパリ・モンパルナス。青年モディリアーニ(ジェラール・フィリップ)は、画家としての才能に溢れていながら、その繊細な心と誇り高さゆえ、孤独を抱えていた。あるとき、美術学校でジャンヌ(アヌーク・エーメ)と知り合い、駆け落ち同然で共に暮らすことに。彼の信念を貫く姿を誰よりも理解し、最後まで寄り添うジャンヌの健気さに目頭が熱くなる。
 ジェラール・フィリップは、この映画の1年後の1959年、偶然にもモディリアーニと同じ36歳でこの世を去った。一方、アヌーク・エーメはフランスを代表する女優のひとりとして長く活躍し、2019年には「男と女 人生最良の日々」(Les Plus Belles Années d’une vie)にも出演。年を重ねた2人が共演する映画を観てみたかった。
(Mika Tanaka)
フランス/1958 年/108 分
原作:ミシェル・ジョルジュ=ミシェル
監督:ジャック・ベッケル
出演:ジェラール・フィリップ、アヌーク・エーメ、リノ・ヴァンチュラ、リリ ー・パルマー

JPEG - 19.4 kb
Crédits : © 1960 - TF1 DROITS AUDIOVISUELS

『危険な関係  4K デジタル・リマスター版 』
『しのび逢い』のムッシュ・リポアも、『赤と黒』のジュリヤンも、この映画でジュリエット(ジャンヌ・モロー)の 夫、ヴァラモン(ジェラール・フィリップ)を演じるためのエチュードだったのだろうか……「悲しげな人ね」。ヴァラモンと会ったばかりの人が 印象をこう語る。ジェラール・フィリップのきらりとした品性は、どんなに堕落的な男にもその演技で救いを与えるのだろう。映画が公開された1959年、彼は帰らぬ人となった。共演のジャンヌ・モローも、ジャン=ルイ・トランティニャンも、この先何十年と活躍し、成熟した演技を見せた ことを思うと、若すぎる死が本当に悔しい。
原作:コデルロス・ド・ラクロ
監督:ロジェ・ヴァディム
音楽:セロニアス・モンク
出演:ジャンヌ・モロー、ジェラール・フィリップアネット・ヴァディム、
ジャンヌ・ヴァレリー、ジャン=ルイ・トランティニャン
『ジェラール・フィリップ最後の冬』 ※日本初公開
配給:セテラ・インターナショナル

Rétrospective de films avec Gérard Philipe pour le 100e anniversaire de sa naissance
Le diable au corps, La chartreuse de Parme, Le rouge et le noir, Les liaisons dangereuses ...

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