フラン•パルレ Franc-Parler
La francophonie au Japon

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対談:ジャン=リュック・プトー(世界最優秀ソムリエ)& コシノ・ジュンコ(ファッションデザイナー)
投稿日 2002年12月1日
最後に更新されたのは 2017年7月6日
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ジャン=リュック・プトー氏 VS コシノ・ジュンコ:ワインは食卓のファッション
 
世界最優秀ソムリエ、ジャン=リュック・プトー氏は、ワインに対する情熱や喜びを人と共有することが大好きです。ファッションデザイナーでワイン愛好家のコシノ・ジュンコさんは、プトー氏を招いてワインの試飲会を催しました。美食の国が誇る芸術品、ワインと、エレガントなファッションの世界が、ここ青山のアトリエで出会いました。
 
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フラン・パルレ:ファッション界では大変有名なコシノさんですが、ワインにはずっと興味があったのですか?
コシノ・ジュンコ:フランスと関係がありますと、やっぱりフランス料理やワインとの関わりも自然にできてきます。25年間パリコレクションをやっていまして、2年前までモンテーニュ通りに私のブティックがありました。モンテーニュ通りでは毎年ヴァンダンジュというワインの収穫祭があります。昨年はNYテロの9.11事件があったので、中止になりましたが、今年も行ってきました。私は第一回目からずっと参加しているんですよ。プラザアテネの真ん前に私のアパートがあって、近所の方とお付き合いをしているので、今年もまた収穫祭に招待されたのです。
フランスではオートクチュール、またモードは、シャンパンやワインと切っても切れない関係があります。社交上、ワインなしにはなりたたない世界なのです。日本でも昔、日本酒と芸者、料亭という関係がありましたでしょ。
今、日本では世界中の料理を楽しめるようになって、ワインはどんなお料理とも合う飲み物だと思います。それに、日本酒を飲むとき、小さなおちょこでちびちびと飲む姿は洋服と合わないことがありますが、ワインはその点、見た目がオシャレな気がしますね。流行に敏感な人たちには、ワインはもう日常的な飲み物になってきているのではないでしょうか。
 
フラン・パルレ:ワインを飲む際、グラスを選ぶのはとても重要なことのようですが。
ジャン=リュック・プトー:先日京都で夕食会がありまして、シャトー・オー・トウレという甘味のあるワインを開けました。日本ではこの種のワインは小さなグラスでサービスするという伝統的な考えがあるようですね。私はそのままサービスをしてもらい、それからみんなにこのオー・トウレの香りをかいでみて、と言いました。この小さなグラスでどんな香りがするか分かったところで、今度はもっと大きなグラスにワインを移してもらい、回してから香りをかいでもらいました。するとどうでしょう。その香りの違いに皆びっくりしてしまいましたよ。グラスに触ったときの感触、視覚さえもが全く違うのです。
ほら、このグラスの中のシャンパンを見てください。下からとっても繊細な泡が上がってきて、花冠の形のようにぱあっと広がるでしょう。
コシノ・ジュンコ:まるでシャンパンが生きているみたいですね。
ジャン=リュック・プトー:生きているんですよ。シャンパンには生命があるんですよ!
 
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フラン・パルレ:ワインとファッションに共通するイメージはどのようなものですか。
ジャン=リュック・プトー:質素なワインもあれば、芸術作品と同様の素晴らしいワインもあります。コシノさんがデザインする洋服のようなね。一口にワインと言っても、色、形、香り、ぶどうの品種、醸造など様々な形態があります。これはファッションの世界でも同じことが言えるのではないでしょうか。
コシノ・ジュンコ:おっしゃる通りで、感性というのは、その人がどう感じるかであって、例えば、ダイヤモンドに価値をおく人もいますし、日本の和紙やコットンのような素朴な素材に価値を見出す人もいます。この二つはどちらが良いかなんて比較できるものではなく、それぞれに素晴らしい魅力があるのです。
 
フラン・パルレ:ソムリエのコスチュームをデザインしてみたいと思いますか?
コシノ・ジュンコ:是非やってみたいですね。今、私はオーケストラ指揮者のコスチュームをデザインしているのですが、ソムリエもまたワインの奏でる音楽を指揮するという点で共通していると思います。
ジャン=リュック・プトー:そうですね。食事の時にはワインと料理のハーモニーがありますしね。
 
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フラン・パルレ:ワインと関わる活動の計画はありますか。
コシノ・ジュンコ:今日こうしてプトーさんにお会いすることができたので、ボルドーに行ってみたいですね。そして、私が気に入ったワインを人に勧めたりしてみたいです。
ジャン=リュック・プトー:ちょっと提案があるのですが・・・あるドメーヌやシャトーのワインのラベルをデザインしてみるというのはいかがです?
コシノ・ジュンコ:それは私の分野ですから、是非してみたいですね。そういう意味でもデザインとワインの関係はとても大きいと思います。
 
フラン・パルレ:女性と男性ではワインの好みは違いますか?
ジャン=リュック・プトー:はい。フランスでは、女性はシャンパンと白ワインを好んで飲み、タンニンがきつすぎるワインや、木の香りが強いワインは好きではありません。それからワインの香りに大変敏感で、香水を選ぶようにワインの香りをかぎわけようとします。そしてワインの中の繊細さ、上品な部分や魅力を見つけ出そうとするのに対し、男性は強くて、男性的で、構成のしっかりしたワインを好むようです。
 
フラン・パルレ:ワインの色がもつニュアンスには惹かれますか?
コシノ・ジュンコ:ええ。ワインの持つボルドー色、ビロードのような美しさには影響を受けています。ワインの深い赤は落ち着いた大人の女性に合う色だと思います。ワイン色の赤は大人の赤ですね。私は赤い色を使うとき、いつもワインを連想しながら作り出します。原色は使わず、ワインの色からインスピレーションを受けて生み出すのです。男性の洋服にもこの赤を使いますよ。
 
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フラン・パルレ:テーブルマナーとして、ソムリエにグラスを差し出して、サービスしてもらっていいのですか。それともグラスは置いたままにするのですか。
ジャン=リュック・プトー:フランスではソムリエがサービスをするのですが、日本では女性が自分のグラスを差し出しているのを何度も見かけました。ソムリエはボトル、またカラフから直接ワインをサービスするか、もしくはテーブルが窮屈なときは、お客さんの邪魔にならないように、グラスをとって注ぐこともあります。
 
フラン・パルレ:グラスにワインを残したまま、食事を終えてもいいのですか?
ジャン=リュック・プトー:だめですよ。ワインを注いでもらったら、飲んでしまわないといけませんよ。もしワインを残していたら、そのワインはおいしくなかったということになりますから。私はいつだってグラスをすっかり空にして、お店を出るようにしています。
 
2002年12月
インタヴュー:エリック・プリュウ
翻訳:三枝亜希子
通訳:川村和子
 
ジャン=リュック・プトー氏からアドバイス
 
焼き鳥にはタンニンの強くない軽めの赤ワインがお勧めです。ボルドーの中でも、メルロ種がベースになっているサンテミリオン地区のものか、ボルドーシューペリゥーが良いですね。白ワインでも試してみましたが、酸味の強くないもの、つまりソービニヨンよりもセミヨン種を多く使っているワインとなら合うと思います。例えば、グラーブ地区の白ワイン、シャトー・ド・ベッサンヌは白身のお肉とは相性がいいです。あひるなんか、とっても合いますよ。
しゃぶしゃぶには赤ワインが良いですね。神戸牛、また他の牛肉とメドックやグラーブ地区の赤はぴったりです。
おさしみやお寿司のまぐろには白ワインが良かったです。赤ワインだとちょっと苦味を感じました。でも、まぐろを調理した瞬間、もう白ワインは合わなくなってしまいました。白ワインの影がすっかり薄くなってしまったのです。あれは赤を合わせるべきでしたね。



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