『パピチャ 未来へのランウェイ』 Papicha
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Crédits : © 2019 HIGH SEA PRODUCTIONTHE INK CONNECTIONTAYDA FILMSCOPE PICTURESTRIBUS P FILMS - JOUR2FETECREAMINAL - CALESONCADC

『パピチャ 未来へのランウェイ』
 
 カラフルなヘッドフォンにカジュアルな服装。ちょっとおしゃれな女子大生の名はネジュマ(リナ・クードリ)だ。実家で姉や母と会話を楽しみ、大学寮へ戻ろうと歩き始めたとき、ネジュマの後方で銃声が轟く。振り返ることができないのはなぜか?何が起きたのか一瞬にわかったのだろう。ジャーナリストの姉、リンダ(メリエム・メジケーン)が撃たれたのだ。
 
 舞台は1990年代のアルジェリア。イスラム原理主義が台頭し、武装勢力が市井の人々の生活を脅かしていた時代だ。大学の講義中に黒いヴェールに身を包んだ女性たちが乱入し、女子大生の学業を妨げる。街頭には「女の正しい服装」というポスターが掲げられる。若さを謳歌することも、美しい肌を見せることも許されない。何かを主張することは、命がけの行為だ。
 
 姉の遺品となった血にまみれた”ハイク”(この地域のムスリム女性がまとう衣服布)を洗い流しながら、彼女はハイクを素材にしたドレスの”ファッションショー”を開催することを決心する。この時代のこの国で、”ファッションショー”というイベントが持つ意味の大きさはどれほどのものであろうか。大好きな姉を奪われ、自分らしさを否定されても、ネジュマはあきらめない。アルジェリアから離れることを選ばず、ファッションという武器で闘いを挑む。本作が監督初作品となるムニア・メドゥールはこう語る。「二度とこの過ちを繰り返さないため、残虐行為を起こさないためには、話題にし続けることが不可欠です」。だから、この映画の描写は希望に満ちたものばかりではない。暴力的なシーンをどこまで取り入れるか、メドゥール監督はそのバランスに熟考による熟考を重ねたという。
 
 ”PAPICHA(パピチャ)”とは、アルジェリアの言葉で「愉快で、魅力的で、常識にとらわれない自由な若い女性」という意味。ネジュマやその友人たちのはじける若さも魅力的だが、ネジュマの母が見せる茶目っ気と優しさに満ちた表情はさらに愛おしい。メドゥール監督その人自身も、パピチャに違いない。「どんな危機的な状況の中でも人生は続くのです」という彼女の潔いひと言が、この時代を生きる私たちの背中を押してくれる。(Mika Tanaka)
 
脚本・監督:ムニア・メドゥール
出演:リナ・クードリ、シリン・ブティラ、アミラ・イルダ・ドゥアウダ、ザーラ・ドゥモンディ、ナディア・カシ、メリエム・メジケーン
2019年/フランス・アルジェリア・ベルギー・カタール/アラビア語・フランス語・英語/109分
 
Papicha de Mounia Meddour avec Lyna Khoudri, Shirine Boutella, Nadia Kaci, Samir Houicha, Zahra Doumandji; 2019, Algérie, France, Belgique, Quatar, arabe, français, 109 min
 
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