『ポルトガル、夏の終わり』 Frankie
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Crédits : © 2018 SBS PRODUCTIONS / O SOM E A FÚRIA © 2018 Photo Guy Ferrandis / SBS Productions

『ポルトガル、夏の終わり』
 シニカルでメランコリック。イザベル・ユペールが演じる主人公フランキーを表現すると、こんな感じだ。職業は、女優。見ているうちに、フランキーにイザベル・ユペール本人を重ねてしまい、この映画がフィクションであることを忘れかけてしまう瞬間がある。残暑という季節、ポルトガルのシントラという場所、死期を悟った女優というテーマ。この3つのパズルの切れ端をつなぎ合わせることができるのは、彼女の他にはいないのではないだろうか。アラン・パーカー監督が彼女を念頭に置いて脚本を書いたと後で知り、納得した。
 この水を飲むと結婚できると言われた”結婚の泉”、”リンゴの浜”と呼ばれるマサンス海岸、そして大陸の西の果て”ロカ岬”…… 朝から夕方までの陽の移ろいが、シントラの豊かな自然と深い歴史を縁取る。そのシントラを舞台に、フランキーは即興の「芝居」を段取る。登場人物はフランキーの家族と親友。フランキーのひとりよがりの演出で、芝居がすんなりまとまるはずもない。それぞれがそれぞれの満たされない思いを抱え、ときにはぶつかり合う。しかし、そんな不協和音を、シントラの不思議な空気がまろやかに包み込み、調和させていく。カーテンコールのようなラストシーンの何と魅惑的なこと。人生は芝居、私たちは芝居の登場人物であることに、あらためて気づかされる。(Mika Tanaka)
 
監督:アイラ・サックス
出演:イザベル・ユペール、ブレンダン・グリーソン、マリサ・トメイ、ジェレミー・レニエ
2019年/フランス・ポルトガル/100分
 
Frankie d’Ira Sachs avec Isabelle Huppert, Greg Kinnear, Jérémie Renier, Pascal Greggory, Brendan Gleeson; 2019, France, Portugal, anglais, français; 100 min
 
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