フラン•パルレ Franc-Parler
La francophonie au Japon

Rédaction du journal:
Rédacteur en chef: Éric Priou
Rédaction: Karen, Shigehiro Kobayashi, Utako Kurihara, Rika S., Hikaru Taga

La francophonie au Japon
Franc-Parlerフランス語圏情報ウェブマガジン フラン・パルレ
〒169−0075新宿区高田馬場1−31−8−428
1-31-8-428 Takadanobaba, Shinjuku-ku, 169-0075 Tokyo

Tel/Fax: 03-5272-3467
E-mail:contact@franc-parler.jp
http://franc-parler.jp

ジル・ロマン、バレエダンサー、ベジャール・バレエ団副芸術監督
投稿日 2002年7月1日
最後に更新されたのは 2017年5月19日
logo imprimer
Enregistrer au format PDF
ジル・ロマン:ダンスこそ我が人生
 
世界中の舞台で踊り続けるジル・ロマンは、ローザンヌのベジャール・バレエ団の副芸術監督を務め、これまで学んだ彼のダンスの全てを、若いダンサーたちに伝えています。2002年日本公演中、ジル・ロマンの話を聞くことができました。
 
<span class="caps">JPEG</span> - 58.5 kb
© Franc-Parler
フラン・パルレ:かなり早い時期にダンスを始めたようですが。
ジル・ロマン:7歳で始めました。私の経歴?ごく普通のものですよ。地方の学校でダンスを始め、19歳でベジャールバレエ団に入団するまで数々のコンクールを受けました。入団してから、ずっとここにいます。ですからモーリス・ベジャールという振付師と出会って以来、彼と共に仕事をしています。たまたま彼のところに入ったというのがふさわしいかどうかは分かりませんが、初めはそんなものでした。でもそれから彼の作品、人柄…といったものに惹かれていき、お互いの関係は深まって、ついには今のように発展したのです。
 
フラン・パルレ:7歳で始めたときは、ご自分の意志でですか?
ジル・ロマン:姉のダンスレッスンを見に行って、面白いと思ったんです。それからですよ。ダンスを無理やりさせられたわけではないですし、自分自身、特別にダンスをしたいと思ったことはなかったのですが、ダンスと出会ったその日、たまらなくやってみたいと思ったのです。
 
フラン・パルレ:普段はどんな練習をしているのですか?
ジル・ロマン:公演期間中かどうかによりますが、一般的に朝の10時半頃から夜まで練習をしています。ウオーミングアップにトレーニング、バーを使ったものから、いわゆるオーソドックスなレッスンまでです。こうして、肉体的、精神的にバランスを整えます。それから、数種類のバレエのリハーサルを始めます。だいたい一度の公演で2,3の作品を上演するからです。ですからまず、次々と公演作品の稽古をし、その後、今後のために創作活動をします。それから、次回の公演で行う作品のリハーサルをします。夜は、公演があるかないかで違ってきますが、このようにいつも仕事でいっぱいなんです。
 
フラン・パルレ:仕事以外では?人がうらやむような人生を送っているように思えるのですが。
ジル・ロマン:この職業はかなり修道士と近いものがありますよ。色々なことを体験できないのです。私は23年間、モーリスと一緒にいて、世界中を旅し、様々なバレエを踊ってきました。でも公演はいつも同じ都市で行われるので、たいして多くのものを見ることができませんでした。だいたい劇場とホテルの往復だけですからね。自分たちの時間なんてほんの少しだけですよ。たいてい夜中に外出しますが、翌朝には体調万全でなくてはいけません。そうすると、あまり物事を見るチャンスがなくなりますよね。私の職業は、100%身を投じなければやっていけない。皆さんが考えているような、そんな華やかなものではありませんよ。生活の全てが仕事と直結しているのです。
 
フラン・パルレ:あなたの団体のバレエには、音楽やサーカスのようなものがたくさん盛り込まれていますよね。
ジル・ロマン:ベジャールの頭の中には「ダンスは芸術の集合体」という考えがあります。彼はブリュッセルやダカールで学校を設立しましたし、ローザンヌでは、ダンス以外の多ジャンルにわたる芸術技術を学ぶ学校を設立しました。ですから彼は、演劇、ダンス、音楽、武術、即興…そういった全てのものがダンサーを育成するものだと考えています。ショーでは、しょっちゅう話したり、歌ったりしなくてはいけませんから。
 
フラン・パルレ:練習にはどんな武術を取り入れるのですか?
ジル・ロマン:学校では、日本の剣道をします。これは大変な集中力を要するものだからです。たやすく習得できるものではありません。姿勢を基本とする芸術で、あらゆる武術の中心ですし、ちょっと違った方法で身体の中心を知ることができます。ですからダンサーにとっては大変役に立つのです。時には話し、歌って、身体の中心であるお腹がどこかに気がつくことも大事ですけれど。そのことが分かると、技術は向上しますし、そのうち自然とあれこれ考えなくてもできるようになるのです。
 
フラン・パルレ:今回日本では何を踊りましたか?
ジル・ロマン:4,5年前に創った『Le presbytère』(邦題『バレエ・フォー・ライフ』)を踊りました。私はこのバレエを世界中で何度となく踊り、東京ではたて続けに三公演踊りました。実はこのバレエは私にとって、数年前から縁起物となっているからなのです。他に、ピエトラガラと私のために創られた『ホアンとテレザ』です。私たちのバレエ団にいる、お気に入りのダンサーとこれを踊りました。ガラ特別公演では、モーリスが数ヶ月前に私のために用意してくれた新しい作品を踊りました。これはマーラーの歌曲にのせて、パ・ド・ドウで踊るものです。それからベジャールの最新作『リュミエール』を、短いダンス組み曲にした『ブレルとバルバラ』を踊りました。ジャック・ブレル(ベルギーの男性歌手)の曲で綴った作品です。
 
フラン・パルレ:会場の都合でそのようにしたのですか?
ジル・ロマン:いいえ、リズムのためにです。『リュミエール』はリヨンのフルヴィエール野外劇場で行う際に創ったものです。これはリュミエール兄弟や、リヨンの事物をとりあげたもので、かなりセリフが多いのです。これはどうかなと思いまして、結局、振付けと歌の力だけを使うことにしました。それから、バルバラ(フランスの女性歌手)は日本ではあまり知られていないので、皆さんが分かってくれるか、感じてくれるか、戸惑いもありました。私たちフランス人はバーバラが大好きで、ちょっとフレーズを聞いただけで、すぐに彼女だと分かりますし、よく歌っていますけれど、ここ日本では違います。しかし、我々の心配をよそに、皆さん大変喜んでくれました。つまり音楽と振付けがうまく融合していたということでしょう。このバレエは、ブレルとバーバラの深い友情のお話なのです。一緒に映画だって作ったこともあるんですよ。モーリスはバーバラのことを良く知っていて、おかげで私は何度も彼女にお会いしました。ブレルのことはあまり知りませんでしたが。私がバーバラの曲にのって踊り、私のパートナーがブレルの曲にのって踊る。これは二人の偉大な歌手の友情物語なのです。
 
フラン・パルレ:ダンスの初心者へアドバイスはありますか?
ジル・ロマン:アドバイスはありません。とにかく、ダンスを愛する、それだけです。私は誰の忠告にも従ったことはありませんし、自分以外の人を信じたことはありません。大好きな素晴らしい先生方はいましたし、言っている事もよく理解できましたが、批評はしたことはありません。言っていることが、私にとって、明確だったので従いましたが、そうでなければ従いませんでした。ですから私は人にアドバイスすることなどありません。すべて通用する可能性があるからです。これが正しい、なんてことはないのです。人それぞれに正しいものがあるからです。これがバレエという芸術に対する意欲であり、愛であり、情熱なのです。
 
<span class="caps">JPEG</span> - 68.1 kb
©François Paolini
フラン・パルレ:教育のために子供を、特に女の子をバレエ学校に入れる親が多くいますよね。
ジル・ロマン:ダンスは規律が厳しいということで、昔からそういうことがよくありましたが、最近は規律が崩れ、クラシックダンスも人気がなくなってきました。意味のないルールを作るばかりで、規律の意味が勘違いされているようですね。問題は、現代社会が情けない、ひ弱なものになってきているからです。私が子供の頃は、先生に棒でたたかれましたし、顔をひっぱたかれたりしたものです。今は、先生は子供に触って、後からとやかく言われるのを恐れて、身体を通じて教えることができないのです。くだらない風潮で、これが大きな間違いなのです。ダンスを教えるのに身体に触れなければ、体得させることはできません。武道の世界でも、どの世界でも当然のことでしょ。力を緩めさせたければ、肩をたたいてやる。精神と同様に身体に教え込むのに、触らないでは分からせられませんよ。メンタル面で弱くなったことで、いい先生がいなくなってきてしまいましたね。それにフランスでは、“悪い先生をなくす”という理由から、教師に免状を与えるシステムができましたが、私は反対です。先生が悪ければ、そこには行かない。生徒の3人がその先生のせいで落ちこぼれてしまったら、もう誰もその先生には習わない。これは当然のことではないですか。ダンスを勉強したことはないけれど、自分達が舞台で学んだことを教える天才的な教師がかつてはいましたが、今の世の中は舞台に立つことなく先生になれますからね。本で勉強して、免状をもっていて、一度も舞台で踊ったことがない。けれども理論だけは何でも知っているという先生がいます。しかし、この人達にも知らないことがあります。それは、自分たちが真のダンサーではないこと。そして、決して真のダンサーを育て上げることができないことです。ダンスというものは、本当に注意深く、よく見て、そしてダンスというに値するよう作り上げていかなければいけないのです。それが芸術というものではないでしょうか。
 
2002年7月
インタヴュー:エリック・プリュウ
翻訳:三枝亜希子



チップお問い合わせ チップ管理ページ チップ

RSS

1998-2017 © フラン•パルレ Franc-Parler - All right reserved/Tous droits réservés
SPIP で制作されたサイト
使用したテンプレートは ESCAL-V3
バージョン: 3.87.22