フラン•パルレ Franc-Parler
La francophonie au Japon

Rédaction du journal:
Rédacteur en chef: Éric Priou
Rédaction: Karen, Mika Tanaka

La francophonie au Japon
Franc-Parlerフランス語圏情報ウェブマガジン フラン・パルレ
〒169−0075新宿区高田馬場1−31−8−428
1-31-8-428 Takadanobaba, Shinjuku-ku, 169-0075 Tokyo

Tel/Fax: 03-5272-3467
E-mail:contact@franc-parler.jp
http://franc-parler.jp

『冬時間のパリ』 Doubles vies
JPEG - 71.8 kb
Crédits : ©CG CINEMA / ARTE FRANCE CINEMA / VORTEX SUTRA / PLAYTIME

『冬時間のパリ』
 
  作家と編集者が話をしている。ツイッターのコメントに対して批判的な発言をする作家に対し、編集者はこう答える。短い名文句をひたすら繰り返すところは、アンシャン・レジームの頃と同じ。フランス的ではないかと。
  作家はレオナール(ヴァンサン・マケーニュ)、そして編集長はアラン(ギヨーム・カネ)。妻以外の女性との間に秘密がある。レオナールの妻はヴァレリー(ノラ・ハムザウィ)。政治家の秘書として経済的に夫を支える。アランの妻はセレナ(ジュリエット・ビノシュ)、人気テレビドラマシリーズに出演する女優だ。彼らには表の生活と裏の生活がある。
  映画は、電子書籍やオーディオブックの台頭で先の見えない出版業界に対する議論で散りばめられる。「装丁や販売計画に関する打ち合わせがいらなくなるから、中身を充実されることに注力できる」という発言もあれば「そのうち誰も家から出なくなって、さみしくない?」という投げかけも。映画の始まりから終わりまで飛び交うパリっ子たちの洗練された言葉の数々。だからこそ、ときおり登場人物が見せる怒り顔や泣き顔が愛おしい。取り繕わずに本気で向き合ったときの表情は、どんなに着飾ったときよりも美しいし、どんな雄弁な言葉よりも多くを語っていることを知る。イングマール・ベルイマン、ルキノ・ヴィスコンティ、ミヒャエル・ハネケ……映画の中で語られる名監督たちの映画を、合わせて観たくなる。 (Mika Tanaka)
 
監督:オリヴィエ・アサイヤス
出演:ジュリエット・ビノシュ、ギョーム・カネ、ヴァンサン・マケーニュ
2018年/107分
 
Doubles vies d’Olivier Assayas avec Juliette Binoche, Guillaume Canet, Vincent Macaigne; 2018, France, 107 mn
qrcode:http://franc-parler.jp/spip.php?article1422