フラン•パルレ Franc-Parler
La francophonie au Japon

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Rédacteur en chef: Éric Priou
Rédaction: Karen, Mika Tanaka

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東京で上映されるフランス語圏映画Les films en français à Tokyo
投稿日 2018年1月31日
最後に更新されたのは 2024年4月19日


新宿ピカデリー
ヒューマントラストシネマ渋谷 03-5468-5551
グランドシネマサンシャイン 池袋 03-6915-2722

4月12日(金)より

Linda veut du poulet
Linda veut du poulet
Crédits : ©2023 DOLCE VITA FILMS, MIYU PRODUCTIONS, PALOSANTO FILMS, France 3 CINÉMA

『リンダはチキンがたべたい!』

リンダはママの指輪が大好き。大好きなパパがママに贈ってくれたものだから。そしてママにとっても指輪は、とても大切なもの。今はいないパパの忘れ形見だから。そしてその指輪がきっかけとなって、事態は大きく動き出す。街じゅうがストライキの中、チキンを売っている店を探し回るママ。団地の前で元気いっぱいに遊ぶ子供たち……大胆な「省略」を魅力に変え、キアラ・マルタ&セバスチャン・ローデンバック夫妻のコンビが、鮮やかな色彩と軽やかな筆致で登場人物たちを動かしていく。子供たちの声は、スタジオ録音ではなく、実写映画と同じように撮影して声を拾っている。学校のシーンは学校で、おもちゃをいじっている音もそのままに、だから元気いっぱいではじけるようすがダイレクトに伝わってくる。ラウル・デュフィの世界が動き出したような、ミュージカルがアニメになったような、愉快でちょっぴり切ないこの映画は、子供たちへ向けて創られた、大人たちからの贈り物。あなたの心の片隅で眠っている「子供のままの心」が、喜びでいっぱいになりますように。 (Mika Tanaka)

原案・監督・脚本:キアラ・マルタ&セバスチャン・ローデンバック
キャラクター・デザイン:セバスチャン・ローデンバック
歌と音楽:クレマン・デュコル
声の出演(フランス語版):メリネ・ルクレール、クロチルド・エム ほか
76分/2023年/フランス

Linda veut du poulet! film d’animation de Chiara Malta et Sébastien Laudenbach avec les voix de Mélinée Leclerc, Clotilde Hesme, Lætitia Dosch; 2023, France,
Italie, 76 min

https://chicken-for-linda.asmik-ace...

ヒューマントラストシネマ有楽町 03-6259-8608
新宿武蔵野館 03-3354-5670
Yebisu Garden Cinema

上映中

À la belle étoile
À la belle étoile
Crédits : ©DACP-Kiss Films-Atelier de Production-France 2 Cinéma

『パリ・ブレスト 〜夢をかなえたスイーツ〜』

 つらいとき、悲しいとき、さみしいとき。
そんなとき彼は、お菓子作りに没頭する。その甘さと美しさが、彼の心を癒す。お菓子作りが彼の居場所となった……彼の名はヤジッド(リアド・ベライシュ)。父親が誰かは知らない。母親(ルブナ・アビダル)からの愛を感じることができない。それでも、里親とその家族には恵まれた。友達もいる。高級ホテルの厨房で幸運にも仕事を得ることができたヤジッドは、毎日180キロ離れた寄宿舎から電車に乗ってパリへ向かう。トラブルに巻き込まれて出勤が遅れたときは必死に窮状を訴え、終電に乗り遅れたときは野宿をしてしのいだ。数年の時が経ち、ヤジッドはコートダジュールへ。最高級ホテルの厨房でさらに腕を磨き続ける日々。しかし、彼が寝起きするのはホテル前のビーチだ。夜空の星を眺め、朝は簡易シャワーを使って出勤する。
屈託のない笑顔と、決してあきらめない前向きな姿勢。理想とはほど遠い幼少期を過ごしても、ヤジッドには夢を叶えるために必要なものが備わっていた。しかし、それを手放さない努力は並大抵のものではなかったはずだ。みじめな思いをすればするほど、孤独を強く感じれば感じるほど、彼の作るお菓子は洗練を極めていったのだろう。
監督は、これが長編デビューとなるセバスチャン・テュラール。がんで闘病中だった彼のもとに届いた脚本が「早く退院して映画を撮りたい」と彼の情熱を呼び覚ました。実在のパティシエ、ヤジッド・イシュムラエンによる実話をベースとしたこの映画が、夢をあきらめかけている若者たちのもとに届きますように。(Mika Tanaka)

監督:セバスチャン・テュラール
脚本:セドリック・イド
出演:リアド・ベライシュ、ルブナ・アビダル、クリスティーヌ・シティ、
パトリック・ダスマサオ、フェニックス・ブロサール、リカ・ミナモト
110分/2023年/フランス

À l’écran
À La belle étoile de Sébastien Tulard avec Just Riadh, Loubna Abidar, Christine Citti, Patrick d’Assumçao, Phénix Brossard;2023, France, 110 min

https://hark3.com/parisbrest/

新宿武蔵野館 03-3354-5670

上映中

La Nuit du 12
La Nuit du 12
Crédits : © 2022 - Haut et Court - Versus Production - Auvergne-Rhône-Alpes Cinéma

『12日の殺人』
 彼女の名はクララ(ルーラ・コットン・フラピエ)。21歳。友達の家のパーティーから帰る途中、突然何者かにガソリンをかけられる。翌日、焼死体となった彼女のもとに、捜査隊が駆けつける。冷静沈着な班長のヨアン(バスティアン・ブイヨン)、かっとなりやすいマルソー(ブーリ・ ラネール)。ひと癖もふた癖もあるとチームを構成するのはすべてが男性。容疑者として浮上するのもまた、男性ばかりだ。
「火あぶりになるのはいつも女。ジャンヌ・ダルクもそうだった」とつぶやくマルソー。「クララが殺された理由?それはクララが女の子だったからよ!」と怒りをぶつけるクララの親友・ステファニー(ポーリーヌ・セリエ)。女性であったがために、自由奔放に生きていたがために、それが理由で彼女の命が奪われてしまったのだとすれば……実在の未解決事件に基づいたこの映画には、絶望と同じだけの希望もある。迷宮入りした捜査は、3年後に現れた女性判事(アヌーク・ グランベール)によって再開となり、チームには女性捜査官のナディア(ムーナ・スアレム)が加わることに。クララの亡霊に取り憑かれたかのように悩み苦しむヨアン。彼の心に少しずつ光が差していく過程を見ていると、未解決事件に苦しむ被害者の家族たちの心も少しだけ救われるのではないかと思う。どうか、実在のこの事件がいつか「未解決事件」と呼ばれなくなりますように。
(Mika Tanaka)

原案 : ポーリーヌ・ゲナ「18.3. Une année passée à la PJ
監督 : ドミニク・モル
脚本 : ドミニク・モル/ジル・マルシャン
出演 : バスティアン・ブイヨン、ブ―リ・ランネール、テオ・チョルビ、ヨハン・ディオネ、ティヴー・エヴェラー、ポーリーヌ・セリエ、 ルーラ・コットン・フラピエ
114分/2022年/フランス

À l’écran

La Nuit du 12 de Dominik Moll avec Bastien Bouillon, Bouli Lanners, Théo Cholbi, Johann Dionnet, Thibaut Evrard, Pauline Serieys, Lula Cotton-Frapier; 2022, France, Belgique, 114 min

https://12th-movie.com

シネスイッチ銀座 03-3561-0707
アップリンク吉祥寺 0422-66-5042

上映中

Film annonce du film qui n'existera jamais : « Drôles de guerres
Film annonce du film qui n’existera jamais : « Drôles de guerres
Crédits : © SAINT LAURENT - VIXENS - L’ATELIER – 2022

『ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争』
 2022年9月。どれだけの人が彼を悼んだだろう。世界の映画界を揺さぶり、時代の寵児となったジャン=リュック・ゴダール。病に苦しんだ彼は、自らの意志で死を選んだ……そんなゴダールの最後の作品は、まるで本のようであり、展覧会のようであり、友人との会話のようでもある。ゴダールの手書きの文字、ゴダールの選んだ絵や写真、そして映像が映し出され、ゴダール自身が彼の声で熱く静かに語る。大がかりなセットがあるわけではなく、大人数のクルーがいるわけでもない。華やかなキャストもそこにはいない。コロナ禍を乗り越えて完成したこの短編には、最後まで映画作家としてこの世界に真摯に向き合った彼の生きざまが刻印されている。
―−もう少しだけ肩の力を抜いてもよかったのに、と思うだろうか。
−―自分のすべてを捧げた潔さに敬礼したくなるだろうか。
―−あるいは、あまりにも純粋なその魂に触れ、自分の通ってきた道、これから行こうとする道を忘れてしまうだろうか。
私たちはゴダールのいない世界にいて、これからもその世界で生きていく。しかし、彼の遺言(遺作)が届いた今、何かが少しだけ変わったような気がする。肉体が滅びようとも消えることのない確かなものがあることを、ゴダールが教えてくれているのかもしれない。(Mika Tanaka)
監督・脚本・出演:ジャン=リュック・ゴダール
2023年/20分/フランス

À l’écran
Film annonce du film qui n’existera jamais : « Drôles de guerres » de Jean-Luc Godard; 2023, France, Suisse, 20 min

https://godard-phonywarsjp.com/

アップリンク吉祥寺 0422-66-5042

上映中

Anatomie d'une chute
Anatomie d’une chute
Crédits : ©2023 L.F.P.– Les Films Pelléas / Les Films de Pierre / France 2 Cinéma / Auvergne‐Rhône‐Alpes Cinéma

『落下の解剖学』

 真っ白な雪に流れる真っ赤な血。 フランスの人里離れた山荘の前で、1人の男性の死体が発見される。彼 の名は、サミュエル(サミュエル・タイス)。視覚障害を持つ11歳の息子ダニエル(ミロ・マシャド・グラネール)と、ベストセラー作家の妻サンドラ(ザンドラ・ヒュラー)、そして愛犬のスヌープと静かに暮らしていた。
 検察は妻のサンドラを殺人の容疑で起訴、サンドラは弁護士のヴァンサン(スワン・ アルロー)に助けを求める。検事(アントワーヌ・レナルツ)は、夫婦仲が悪かったとして、死の前日の激し い口論が録音されたUSBを証拠に取り上げる。息子ダニエ ルの証言だけが、サンドラの行く末を握ることになる。
もし自殺だったら、父は自分を見 捨てたことになるのか?もし殺人だったら、父を殺したのは自分の母なのか?景色が見えない、真実が見えない、自分の記憶が正しく見えてこ ない……声変わりを迎える前の少年が、感情に流されず、知りうる事実だけを語らなければならない。どんなに忠実であろうとしても、嘘をつ くつもりがなくても、ぶれが生じても不思議はないだろう。小さな体に課せられた荷はあまりにも重い。
自分の語るべきことが何なのかを 悟った彼は、父をかばうのではなく、母を救うのではなく、自分が聞いた言葉と体験した出来事を冷静に再現する。見えないはずの彼の目の奥 にある「何か」に、心が吸い寄せられる。(Mika Tanaka)

監督:ジュスティーヌ・トリエ  
脚本:ジュスティーヌ・トリエ、アルチュール・アラリ
出演:ザンドラ・ヒュラー、スワン・アルロー、ミロ・マシャド・グラネール、アントワーヌ・レナルツ 
152分/2023年/フランス

À l’écran

Anatomie d’une chute de Justine Triet avec Sandra Hüller, Swann Arlaud, Milo Machado-Graner, Antoine Reinartz; 2023, France, 152 min

https://gaga.ne.jp/anatomy  

シネスイッチ銀座 03-3561-0707

上映中

La Passion de Dodin Bouffant
La Passion de Dodin Bouffant
Crédits : ©Carole-Bethuel ©2023 CURIOSA FILMS- GAUMONT - FRANCE 2 CINEMA

『ポトフ美食家と料理人』

 1885年のフランス。美食家のドダン(ブノワ・マジメル)は、料理人のウー ジェニー(ジュリエット・ビノシュ)と共に、森の中のシャトーで暮らしている。シャトーには、一流レストランにも劣らない厨房とダイ ニング、質のよい野菜やハーブが採れる庭がある。”美しい味”を描くという豊かな創造力を持つドダン。彼のイメージするものを形とし て完成させる技術を持つウージェニー。2人は20年来のパートナーとしてお互いを信頼し、高め合っていた。
厨房で料理にいそしむドダン の姿が映る。それは、ウージェニーへの一途な愛の表現。50年海底で眠っていたシャンパ ン、中国の詩人の言葉、そして料理を口に運ぶウージェニーをじっとみつめながら「食す」ときの口の中の動きを丹念に表現するドダ ン……何と官能的なのだろう。触れ合ったり抱き合ったりするわけでもないのに、ドダンの濃密な思いが、ウージェニーを包み込んでいく のだ。2人の関係は「夫婦」というよ り「同志」だ。死が2人を分つことがあっても、決 してその絆が消えることはない。2人が情熱を注いだ厨房がそこ にある限り。ウージェニーがその才能を見抜き、弟子にしたいと考えていた少女・ポーリーヌ(ポニー・シャニュー・ラヴォワール)の存 在が大きな役割を果たしている。
音楽はエンドロールまで一切 流れない。私たちの耳に届くのは、登場人物たちの会話と、調理の音や自然界の音だけだ。それゆえだろうか、エンドロールのピアノの音 の美しさが際立つ。監督は、トラン・アン・ユン。『エタニティ 永遠の花たちへ』(原題:Eternite)に続き、繊細で美しい映像が 私たちの心を優しさで満たしてくれる。
(Mika Tanaka)

監督:トラン・アン・ユン
脚本・脚色:トラン・アン・ユン
出演:ジュリエット・ビノシュ、ブノワ・マジメル
料理監修:ピエール・ガニェール
136分/2023年/フランス

À l’écran

La Passion de Dodin Bouffant de Trần Anh Hùng avec Benoit Magimel Juliette Binoche,
Emmanuel Salinger, Patrick d’Assumçao, Galatéa Bellugi; 2023, France, Belgique, 136 min

https://gaga.ne.jp/pot-au-feu/

下高井戸シネマ
4月20(土)〜4月26日(金)

VORTEX
VORTEX
Crédits : © 2021 RECTANGLE PRODUCTIONSGOODFELLASLES CINEMAS DE LA ZONE - KNMARTEMIS PRODUCTIONSSRAB FILMSLES FILMS VELVETKALLOUCHE CINEMA

VORTEX

 横長のスクリーンが2つに分割され、画面が左右に表示される。「スプリットスクリーン」と呼ばれるこの手法で映画は始まる。2つの視点で、私たちは老夫婦に訪れた最期の日常を追体験するのだ。
 夫(ダリオ・アルジェント)は心臓疾患、妻(フランソワーズ・ルブラン)は認知症を患っている。夫の職業は映画評論家。「夢と映画」をテーマに新作を執筆しているが、妻の予測不能な行動に振り回され、なかなか集中することができない。妻は、元精神科医。わずか3週間で坂を転げ落ちるように症状は悪化し、もはやその面影は感じられない。離れて暮らす息子(アレックス・ルッツ)が介護施設の入居をすすめるが、夫は「この家にはすべてがある。過去を捨てたくない」と拒絶する。「この家は悪夢だ!」と叫び声を上げるほどに追い込まれているにも関わらず。
 若者向けの過激な描写で知られるギャスパー・ノエ監督だが、彼が今回挑んだテーマは、「病」と「死」、それらと向き合う「家族」だ。彼自身が脳出血のため生死の境をさまよったこと、コロナ禍のロックダウン中に数々の日本映画に触れたこと(溝口健二、成瀬巳喜男、木下惠介、黒澤明、篠田正浩監督等の作品)は、この作品にさらなる深みを与えるこ とになったのだろう。死へと向かう妻と夫、やんちゃで生命力溢れる孫……老いと幼さが映像に強烈なコントラストを与える。映画の最後で、孫の質問に答える息子の言葉が印象的だ。
(Mika Tanaka)

監督・脚本:ギャスパー・ノエ
出演 : ダリオ・アルジェント、フランソワーズ・ルブラン、アレックス・ルッツ
148分/2021年/フランス

VORTEX de Gaspar Noé avec Dario Argento, Françoise Lebrun, Alex Lutz; 2012, France, 148 min

https://synca.jp/vortex-movie/

ヒューマントラストシネマ有楽町 03-6259-8608
新宿武蔵野館 03-3354-5670
アップリンク吉祥寺 0422-66-5042
立川シネマシティ 050-6875-3975

5月24日(金)より

『バティモン5 望まれざる者』

Bâtiment 5
https://block5-movie.com

シアター・イメージフォーラム

6月1日(土)より

ANIMAL ぼくたちと動物のこと』

ANIMAL
https://unitedpeople.jp/animal

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