『皇帝と公爵』『アルマ橋で目覚めた男』『見出されたとき—「失われた時を求めて」より—』『クリムト』など、映画だけでなく、舞台やテレビシリーズといった多岐に渡る創作活動を精力的におこなってきた名匠ラウル・ルイス監督。彼は本作の撮影を目前とした2011年に惜しまれながらもこの世を去ったが、ルイス監督の生涯のパートナーであったバレリア・サルミエントがルイス監督の遺志を引き継ぎ、豪華キャストを招いて完成させた。ナポレオン皇帝と、その永遠のライバル・知将ウェリントンがただ一度、剣を交えた「ワーテルローの戦い」につながる、フランス軍のポルトガル征服と、その侵略を食い止めるイギリス・ポルトガル連合軍との「ブサコの戦い」の知られざる攻防が描かれる。さらに歴史の裏に隠れた名も無き人々の戦争も描き出し、動乱の時代に翻弄されながらも必死で生き抜く姿も見事、歴史絵巻のなかに織り込んでいる。(Tomohiro Mibu)監督:バレリア・サルミエント出演:ジョン・マルコヴィッチ、メルヴィル・プポー、マチュー・アマルリック2012年/ポルトガル・フランス/152分Les lignes de Wellington de Valeria Sarmiento avec Nuno Lopes, Soraia Chaves, Marisa Paredes; 2012, Portugal, France, 152 mn

『皇帝と公爵』Les lignes de Wellington
