『太陽のめざめ』 La tête haute16歳の問題児マロニー(ロッド・パラド)は、車の窃盗、無免許運転で裁判所に呼び出される。そこで待っていたのは、彼が6歳のときに出会ったフローランス判事(カトリーヌ・ドヌーヴ)だった。父を亡くし、ドラッグを手放せない母親(サラ・フォレスティエ)と弟と暮らすマロニー。彼を立ち直らせようと、フローランス判事は、新しい教育係となったヤン(ブノワ・マジメル)を指名し、少年院より自由に過ごせる「更生施設」送りを選択する。そこには、野生動物のような少年たちと、彼らを根気づよく支える指導員たちが待っていた。指導員の娘・テス(ディアーヌ・ルーセル)との出会い、母との関係、教育係のヤンやフローランス判事へ寄せる思い……挫折をくり返し、大人たちに迷惑をかけながらも「愛し愛されたい」という強い願いを捨てずに生きるマロニーを待つ運命は、険しいながらも希望の光に溢れていた。「手を出して。つらいときは手を握るの……」。冷静で、淡々と業務をこなすフローランス判事が、あるとき机越しにマロニーの手を握る。そのシーンに心が救われる。完璧なこどもがいないように、完璧な大人もいない。欠点だらけの大人でも、「見捨てない努力」を怠らないこと。そうすれば、こどもたちはいつかその思いを必ず受け取ってくれる。そんなことを教えてくれる映画。2015年の第68回カンヌ国際映画祭でオープニングに選ばれた本作は、「女性監督がカンヌの開幕を飾った作品」としては28年ぶり、史上2度めの快挙となった。(Mika Tanaka)監督: エマニュエル・ベルコ出演: カトリーヌ・ドヌーヴ、ロッド・パラド、ブノワ・マジメル、サラ・フォレスティエ、ディアーヌ・ルーセル2015年/119分
『太陽のめざめ』 La tête haute